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ぼちぼち日記

大切な日々のこと

2月に読んだ本

2011-03-02 12:58:51 | わたしの読書

いつから2月だったっけ?何してたっけ? 
ちょっと、考えこんでしまう程、忙しく過ごしていたのだけれど
ぼちぼちと読めました。(月末は、読めない日が多かったけれど)

2月の読書メーター
読んだ本の数:4冊
読んだページ数:1297ページ

クレスカ15歳 冬の終りにクレスカ15歳 冬の終りに
本を閉じた瞬間、ボレイコ夫人の小さく力強い、温かい、荒れた手が、優しく包み込んでくれたような、そんな気がした。辛く厳しい灰色の時代にあっても、人は、こんなにも輝いていられるのだということに安心する。勇気をもらった気がする。レルイカがかっこいい!
読了日:02月22日 著者:マウゴジャタ・ムシェロヴィチ


生まれてバンザイ生まれてバンザイ
ぷーさんの鼻やたんぽぽ・・・などに入っていた歌など、子どもの歌を中心としたアンソロジー。申し訳ないけれど、今まで出ているどの歌集よりも良かった。俵さんと童話屋の社長さんの対談を聞きに行ったのだけれど、一ページに一の歌、一行ではなく数行に、というこだわりが、歌の魅力を倍増させていると思う。編集って、すごいと思う。もちろん、歌が素敵だからこそなのだけれど。本当に良かった!対談後のサイン会で、俵万智さんのサインを頂きました!!!美しい字に、さらに感動デス。
読了日:02月14日 著者:俵 万智


ねじまき鳥クロニクル〈第3部〉―鳥刺し男編ねじまき鳥クロニクル〈第3部〉―鳥刺し男編
再読。学者でも評論家でもないから、難しいことは、何一つわからない。だから、悩みもせず、もがきもせず、そこに書かれているものを、謎は、謎として、まるごと受け入れることに集中する。はじめて読んだ時には、気づかなかった幾つかのことに気づく。気づいた気がする。たぶん。あと、10回くらい読んだら、謎が解明できるような気がする。たぶん。ラスト数章は、読むのを止めることができず。ただ今、午前零時半になろうというところ。ああ、明日、早いのになー。
読了日:02月13日 著者:村上 春樹


イルカの家イルカの家
辛い物語を続けて読んだ後だったので、最初は、物足りないような感じがしましたが、すぐに、物語の中に入り込むことができました。温かく、優しく、光に満ちた物語。イギリスには、もちろん、行ったことはないけれど、その美しい世界に、すっかり虜になってしまった。児童文学は、こうでなくてはと思わせる一冊。いつか、娘に読んで欲しい。そう、クリスマスに。
読了日:02月08日 著者:ローズマリー サトクリフ

読書メーター


『生まれてバンザイ』

2011-02-16 16:37:57 | わたしの読書

 『生まれてバンザイ』俵万智

銀座の教文館のナルニア国にて、俵万智さんと童話屋さんの対談を聞いてきました。
俵万智さんの歌。若い頃は、あまり好きではなかったのです。
それが、たまたま、古本屋さんでエッセイを見つけて読んだら、それが、とても面白くて・・・
まずは、エッセイを好きになりました。
でも、歌は・・・・・やっぱり、それほどでもなかったのです。

けれど、お子さんのことを書かれたエッセイを読んで、そこにあった歌に感動して、
そこから、一気にファンになりました。
なんというか・・・・・・・・歌が、優しくなった気がするのは、私の気のせいでしょうか。

特に、この『生まれてバンザイ』は、童話屋さんの編集のこだわりが、もう、最高に
効いていて、最高の歌集になっていると思います。
たぶん、俵さんの本の中で、一番好きな歌集です。

初めてお目にかかった俵万智さん。本当に、可愛らしい方でした。
恋の歌を多く書かれるだけのことはあって、もてたんだろうなーとか(笑)
勝手に、想像がふくらんでしまう程、可愛らしい方でした。
対談では、子育てのことも、色々触れられていて、それも、とても楽しくて。
あっという間の一時間半でした。

特に、俵さんが紹介して下さった本には、興味津々。
迷ったとき、悩んだときには、必ずとりだして読む育児書なのだそうです。
欲が出てきたとき、原点に返ることができるのだと仰っていました。

 『子どもへのまなざし』 佐々木正美

本に書かれているという、俵さんが「目から鱗」の「過保護と過剰干渉、自律と他律」
についてのお話は、私も、「目から鱗」。特に、心に残りました。
過保護で悪くなる子は、いないのだそうです。
過保護だと思っていることの殆どが、過剰干渉というお話。
思い当たる節、大いにアリです。

「あれしたら。これしたら。」「こうしたら、いいんじゃない?」

あー。あー。あー。
今でも、言ってるよ。あたしゃ。

そんな訳で、本日、この本を借りてきました。

育児書に惑わされ、(産科から退院してきてすぐに)育児ノイローゼになりそうになって以来、
そういう類のものは、一切読まないことにしてきた私ですが、久しぶりに、開いてみようと
思います。俵さんご推薦の本。楽しみです。

でも、個人的には、『生まれてバンザイ』こそ、素晴らしき育児書じゃないかしら?
なんて思います。
子どもが生まれてきた喜びに溢れる、この歌たちを読めば、それ以外に、何も大切なこと
なんてないと、心から思えるから。


読書のまとめ

2011-02-08 18:59:23 | わたしの読書

一月の読書。
登録するのが簡単なので、最近は、こちらに頼りきりです。
ゆっくり、自分の思いをまとめてみたいけれど、それは、また、ぼちぼちと。
一ヶ月のまとめを見るのは、ちょっと、楽しい。

1月の読書メーター
読んだ本の数:8冊
読んだページ数:1488ページ

聖☆おにいさん(3) (モーニングKC)聖☆おにいさん(3) (モーニングKC)
昔、聖書のことを書いた子どもの本を読んだことがあり、つい、ああ、あのことかーと思い出しながら読んでしまう。疲れた。さらっと読むべきだと判ってるのに、ついついね(笑)
読了日:01月25日 著者:中村 光


聖☆おにいさん (2) (モーニングKC)聖☆おにいさん (2) (モーニングKC)
読了日:01月25日 著者:中村 光

 


鳥に魅せられた少年―鳥類研究家オーデュボンの物語 (わくわく世界の絵本)鳥に魅せられた少年―鳥類研究家オーデュボンの物語 (わくわく世界の絵本)
本当に好きなものに出会える人生は、どんなにか素晴らしいのだろうなと、夢見る気持ちで読み終えた。オーデュボンの描いた絵を、もっと、もっと、見てみたい。
読了日:01月23日 著者:ジャックリーン デビース


ねむりねむり
春樹さんの短編が好きなので、こんな風に読めるなんて嬉しい。内容は、見事に忘れていたので、新たに読んだと言っても良い。いつまででも眠りたい、眠り願望の私とは、対極にある主人公。でも、なんだか、彼女の気持ちが判るような気がして、怖かった。この判る気がする・・・が、たまらない。春樹さんの短編は、怖いだけ、不気味だけでは終わらせない何かがあるから好きなのだと、改めて思う。
読了日:01月23日 著者:村上 春樹


聖☆おにいさん(1) (モーニングKC)聖☆おにいさん(1) (モーニングKC)
娘の幼稚園の牧師先生お勧めの本だそうで・・・ママ友に借りました。信者さんには、ぷっと笑えるネタが満載なんだとか。どこで笑えるのかな?と思いながら読んだので、ギャグ漫画なのに、真剣になってしまいました!最後の方は、真剣に読むのが疲れたので、普通に読んで、ニヤニヤしました。
読了日:01月23日 著者:中村 光


ねじまき鳥クロニクル〈第2部〉予言する鳥編ねじまき鳥クロニクル〈第2部〉予言する鳥編
再読。すべてが完璧だった第一部から、ねじれた世界へと突入。第二部は、完璧じゃないけど、そこが、すごくいい。やっぱり、春樹さんは面白いよー!と叫びたい衝動にかられる。それを我慢しているうちに、一気にラスト。ねじまき鳥、何度読んでも大好きです。1Q84の後に読むと、さらに、世界がこんがらがって見える気がする。新刊が出るたびに再読しようかな。
読了日:01月21日 著者:村上 春樹


ビリー・ジョーの大地ビリー・ジョーの大地
痛々しいまでの少女の叫び・・・と表現すればいいのだろうか。そんな言葉が、まるでペラペラに薄っぺらく感じられるほどの叫びだった。痛みをこらえながら、身を削り、心を搾り出すように語られる言葉。凶器のような大地に、足をふんばり、生きていこうとする少女。最後に見出された希望が、淡い光ではなく、土ぼこりの向こうに、ギラギラと輝く太陽のように力強かった。すごい。
読了日:01月19日 著者:カレン ヘス


大海の光―ステフィとネッリの物語大海の光―ステフィとネッリの物語
戦火を免れた人は、幸運な人なのだと思ってきたけれど、それは、間違えだった。免れた故の悲劇。もう一つの戦争の物語。ユディスの心の痛みが、胸に突き刺さる。精神を病まなくても、免れた人達は、みな、同じような苦しみを耐えて生きてきたのだろう。それでも、ステフィが、この世の果てをこの世の真ん中だと思えたこと、ラストが「希望」であったことは、せめてもの救いである。世界中の人々が平和に暮らせますように。4冊すべて良かった。
読了日:01月18日 著者:アニカ トール

読書メーター


冬の読書

2011-01-20 15:55:40 | わたしの読書

色々なこと考えすぎていたから、なんだか気が抜けてしまって・・・。
人生、本当に、色々あります(笑)。で、滞っていた読書を開始しました。
放り出していた本たちに、読みふける毎日。夜の時間の短かったこと!!!
寒い夜は、読書には向いないと、身にしみて感じたけれど、久しぶりに、狂ったように
読んで、楽しかったです。

『太陽の光』アニカ・トール  菱木 晃子・訳

ようやく、四巻まで読了。でも、四巻、あっという間だったように感じます。
ユダヤ人収容所を免れることができた少女たちの、もう一つの戦争の物語。
免れた故の苦しみ・・・そんなこと、今まで、考えたこともなかった。
その心の叫びが、胸に突き刺さります。
唯一の救いは、希望に満ちたラストだったこと。
世界が平和でありますように。心から、そう祈りながら・・・本をとじました。

四巻、すべてが素晴らしく、飽きさせなかった。
何より、主人公の姉妹以外の登場人物が、とても丁寧に描かれているのが、良かった。
良い本に出会ったなーと、しみじみ。
息子は、読んでくれるだろうか?女の子が主人公だから、無理かな?


 『ビリー・ジョーの大地』 カレン・へス 伊藤比呂美・訳

昨年、「ことり文庫」さんで、店主さんに薦められた本。
すごかったです。

詩のように語られる物語は、痛々しいまでの少女の叫びで出来ていました。
いや、痛々しい・・・なんて、そんなペラペラに薄っぺらいものじゃない。
痛みをこらえながら、身を削り、心を搾り出すように語られる言葉。
凶器のような大地に足をふんばり、生きていこうとする少女の姿に、こちらまで、歯を食いしばる。
耐えられなくなって、何度も何度も本を閉じ、少し時間を置いてから、もう一度、本を開いた。
(でも、ビリー・ジョーは、その痛みから、一時も逃れられることは、ないのだけれど)
最後に見出された希望が、淡い光ではなく、土ぼこりの向こうに、ギラギラと輝く太陽のように
力強かったことが、この物語を象徴しているようで、素晴らしかった。

息子が、高校生になったら、この本を差し出してみようかと、ふと思う。「豚の死なない日」と一緒に。
どうだろう?人間のたくましさ、強さ、弱さ、醜さ、美しさ。
生きていくことの苦しみ、そして、素晴らしさ!!!
その時には、この本、きっと、ことり文庫さんで買えるだろう。

村上春樹が二冊、もうすぐ読み終わります。
来週には、図書館から、何冊か届く予定。
風邪をひかない程度に読もうと、自分に言い聞かせてから、取りに行こう。


読書

2010-12-05 11:49:30 | わたしの読書

9月から、仕事を始めました。仕事と言っても、週に4日、しかも、午前中だけ。
娘との時間を第一に考えるつもりで、仕事の勘が鈍らないようにと、選んだつもりでした。
なのに・・・・・。始めたとたん、生活に余裕がなくなってしまいました。
中学校のPTAの仕事も大詰めとなり、なんだか、ひっちゃかめっちゃかです。
もう少し、慣れてくれば、心のゆとりを取り戻せるのかなあ・・・。

反省しながらも、読書は、ぼちぼちと続けています。
中耳炎に苦しんだ11月は、その殆どを病院の待合室で読みました。
夢中になって、診察が終わってもやめられず、病院の隣にある喫茶店に駆け込み、
読んでしまったことや(土曜日、娘を旦那に預けているときに)
夜中まで、読み続けてしまったこともあったけれど (どこかの小学生みたいですねえ。)
なかなか、丁寧に、感想を記す時間がとれないので、最近、利用している「読書メーター」
というサイトに記した短い感想文を、ブログに貼り付けることにしました。

「読書メーター」。
教えてもらった時は、使い方が全くわからなくて、なんて、扱いにくいんだ・・・と思いましたが、
慣れてしまえば簡単なもので、かなり、ハマッています。
気軽さと、他の読書家の方との距離が近いことが魅力。
読みたい本が、さらに増えるのが、難点ですが。このサイトを眺めていると、人生が、いかに
短いかを実感します。こんなに、読みきれないよー

師走。幼稚園では、お楽しみ給食、クリスマス会と行事が続きます。
中学校では、個人面談に、PTAの来年度役員選出 無事に乗り切れますように。
12日の日曜日には、最後の「ことり文庫」さんへ行くことになりました。
仕事は、年中無休の職場なので、年末も年始も続きます。

忙しいけれど、大切なことを見失わないように行きたいです。

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11月の読書メーター
読んだ本の数:6冊
読んだページ数:1133ページ

海の島―ステフィとネッリの物語海の島―ステフィとネッリの物語
迫害を逃れるために、外国に向かった子ども達がいたという事実を、今まで知らなかった。言葉もわからない見知らぬ国に下り立った子ども達のことを想うと、それだけで胸が痛くなる。ステフィの辛さが、ぐいぐいと迫ってきて、久しぶりに、声をあげて泣いてしまった(娘が、びっくりしてとんできました)。それでも、ページをめくる手を止められなかった。死と隣り合わせに生きていた人々もいれば、こういう子ども達もいたのだ。戦争の恐ろしさをつくづく思う。
読了日:11月29日 著者:アニカ トール

英国プライベートガーデンを訪ねて―English garden (主婦と生活生活シリーズ 374)英国プライベートガーデンを訪ねて―English garden (主婦と生活生活シリーズ 374)
言葉を持つということは、不幸なのかもしれない。言葉に頼って、大切なものを見落としてしまうことがあるから。草花には言葉がない。会話するには、五感すべてを使って感じることが必要だ。本当は、人間同士が会話するときも、それが重要なのにね。時間と五感をかけて作り上げられた美しい庭の写真を見ながら、忙しすぎる毎日を反省する。そういえば、ここ数ヶ月、娘と、草を摘みに散歩に出かけていない。気づかせてくれてありがとう。貸してくれたママ友に感謝。
読了日:11月23日 著者:土井 ゆう子,二宮 英児

ターシャの庭ターシャの庭
お友達に借りました。ため息しかでませんでした。本当に素敵な方だなあ。こういう暮らしに心から憧れます。年末ジャンボがあたったら・・・・・無理か。
読了日:11月23日 著者:ターシャ テューダー


こんにちはアグネス先生―アラスカの小さな学校で (あかね・ブックライブラリー)こんにちはアグネス先生―アラスカの小さな学校で (あかね・ブックライブラリー)
小さな学校の小さな物語。何か、重大な事件が起こるわけでもない。それなのに、ものすごくワクワクする。涙がこぼれる。素敵な先生に出会えるって、なんて、素晴らしいことなんだろう。世界中の、すべての子ども達が、アグネス先生と出会えることを祈って。
読了日:11月19日 著者:カークパトリック ヒル

ねじまき鳥クロニクル〈第1部〉泥棒かささぎ編ねじまき鳥クロニクル〈第1部〉泥棒かささぎ編
友人に「村上春樹を貸して」と言われると、何冊かの好きな本と共に、必ず、この本を入れることにしていたのだが、一度も、「2巻も貸して」と言われたことがなく、なんだか、不安になっていた。再読。私にとっては、やはり、最初から最後まで、完璧な本だった。人には、好き嫌いがあるのだから、仕方ない。私にとっては、完璧。素晴らしい。
読了日:11月14日 著者:村上 春樹

夕凪の街桜の国夕凪の街桜の国
原爆のお話は、何度も聞いたり、読んだり、見たりしてきた。知っているつもりだった。ああ、こんなにも知らなかったんだなあ・・・・・・・。生き残った人たちの想いに触れ、言葉もなく、ただただ、涙を流すしかなかった。それでも、この世界には、まだ、あの爆弾があるのですね。
読了日:11月02日 著者:こうの 史代

読書メーター


マリア・グリーぺ

2010-11-08 23:01:18 | わたしの読書
    

『エレベーターで四階へ』『自分の部屋があったら』『それぞれの世界へ』  
 マリア・グリーぺ 山内清子・訳

一ページ目から、一気に物語にひきこまれました。
面白かった!最高に、面白かった!
マリア・グリーぺは、生意気で、大人を困らせる女の子を描く天才ではないかしら!
興奮しながら、シリーズ3冊、あっという間に読了でした。

主人公・ロッテンは、十一歳の女の子。ママは、シングルマザー。
食べるものにも、住む所にも苦労する生活を抜け出そうと、ママが、裕福な家の住みこみの
お手伝いさんの面接を受けるところから、物語は、はじまります。

ご主人の家は、エレベーターがある立派な建物の四階。
そこには、美しい奥様と拒食症のお嬢様・・・など、魅力的な人々が暮らしていました。
そんな暮らしの中で、一人の少女が、成長していく姿が描かれています。
けれど、前に読んだ「サリー」のように、すんなりとはいきません。
マリア・グリーぺの描く女の子ですからね!!!

それにしても、ロッテンは、すさまじい
3歳にして生意気な娘を持つ母親としては、正直、ちょっと胃が痛くなり、
あまりの生意気さ加減に、ちょっと腹を立て、でも、かつての自分と重なる所が多々あり、
苦笑いしたり。もう、面白くて、面白くて、たまりませんでした。
もし、男の人が読んだら、「ただの嫌な女の子の話」と、思うかもしれません。
この生意気さ、複雑な心情からくる意地悪さ・・・・・うーん。男の人って、理解できるかしら?

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ロッテンの、お屋敷の美しい奥様への憧れが、あまりに激しくて、ずっと、奥様とロッテンには、
何か秘密が隠されているのでは?と、疑い続けていましたが、それは、下世話な想像でした。
ラストの別れのシーン。
このシリーズの素晴らしさを、さらに、突きつけられたような気がしました。
ロッテンは、一つ、大きくなったのだなあ。。。

3巻、どの巻とっても、すべてが素晴らしく、これは、即買わなくては!と思って検索したら、
なんと、絶版でした。ショック。
ああ、どうして、この本ともっと早く出会えなかったのだろうか。
時間を巻き戻せるなら、中学生の頃に出会いたかった。

『サリーの帰る家』

2010-11-02 13:33:30 | わたしの読書
 『サリーの帰る家』 エリザベス・オハラ作 もりうちすみこ訳

パソコンが壊れていた間に読んだ本。舞台は、アイルランドです。
アイルランドが舞台の小説は、はじめてかもしれません。
アイルランドは、いつか訪れたい地の一つ。
若かりし頃、一度、夏休みに短期語学留学を申し込み、みなに反対されてやめたという
(テロが多かった頃だったので)思い入れのある土地でもあります。
ああ、今思えば、行けば良かった・・・。美しい表紙を見て、深々とため息をつきました。

さてさて、読書記録。

父親の不慮の死により、主人公の家族の生活が一変するところから、物語は始まります。
夢見がちの少女サリーは、学校をやめ、妹と共に、住み込みの仕事に出かけていくのです。
住み込みと言っても、知り合いの家にではありません。雇われ人の市に立って、雇われるのです。
そこまで読むと、悲惨な物語のようなのですが、そんなことはなく、その試練によって、
夢見がちの少女が、大人の女性へと成長していく姿が描かれていきます。
とても読みやすく、良い意味において、いつかどこかで読んだことのあるような、懐かしさで溢れていました。

アラフォーの女にだって、少女の頃があった訳で
私にとって、「夢見がちの少女の頃」は、自分の一番良かった時代だと思っていました。
でも、成長したサリーの凛とした美しさに接し、その後の私の人生だって、捨てたもんじゃなかったわね
と、なんだか、その後の人生が愛おしくなったのでした。

雇われ人の市での母親の毅然とした態度に涙し、妹が契約した家の魅力的な老婆にワクワクし、
器用で、見事に家事をこなしていた妹が、夢見がちの少女になっていく姿に微笑み、と、
サリーの成長以外にも、見所はたくさん。楽しい読書でした。
続編もあるのだとか。
成長したサリーの活躍や恋の物語だろうかと、想像がふくらみます。
日本語に訳されるのが、待ちきれないです。

読書の秋

2010-10-26 22:52:07 | わたしの読書

パソコンが修理に出ていた間に読んだ本の中から、まずは、二冊。
読了後の「興奮気味」の感想は、もう書けないのだけれど・・・。

 『くじらの歌』 ウーリー・オルレブ作 ・母袋夏生 訳

本を読みながら、小学生の頃から、いつも、繰り返し見ていた夢のことを思い出した。
ああ、あの夢を見なくなったのは、いったい、いつからだっただろう?
物語を読みながら、そのことを何度も考えた。

眠りが浅いのか、夢を見ることが多い私にとって、なんともドキリとする物語だった。
夢の中に自由に入っていくことができる(夢を作ることができる)祖父と、跡取り候補として、
夢の中に連れていってもらうことになる、主人公の少年。
誰かの夢に入ることができたら、どんなに楽しいだろう。
誰かと一緒に夢を見られたら、どんなに楽しいだろう。
そんなことを思ったり、夢を誰かに見られるなんて、耐えられないわ・・・と思ったり。

夢の中の永遠に生きられる世界で、永遠に生きていてくれるおじいさんと、永遠に子どものままで
いなくてはいけない自分とを計りにかけて、主人公が悩む場面が、とても印象的だった。
それから、自転車で空をとぶ夢も!(私の繰り返し見ていた夢は、まさに、空を飛ぶ夢でした)

残念だったのは、挿絵。
表紙は、とても素晴らしかったのだけれど・・・・・・。挿絵が多すぎる!
加えて、主人公の顔や夢を、詳細まで見せられたのには、ガッカリした。
学園ものとか、推理小説とかだったら、何の文句もなかったのです。
ああ。夢の場面では、私だけの「絵」が出来上がっていたのに・・・

挿絵で「これだ!」と見せられた途端、本の世界から放り出されたような感覚を感じた。
パン!と、自分の中の絵がはじけて消え、それからは、物語に入り込むことができなくなってしまった。
今の子どもは、文章だけでは、自分の「絵」を頭に描けない、ということなのだろうか。
描ける人には、魅力半減だった。


 『プーさんの鼻』 俵万智

若い頃は、俵さんの短歌は、あまり好きではなかったのだけれど
(エッセイは、読みましたが)
俵さんの子育てエッセイを読み、その中に出てくる子どもを詠った歌が、とても良かったので
もっと読みたくて、歌集を借りてきました。
子どもを詠ったものは、もちろん良かったのだけれど・・・・・・・・・

恋人を詠った歌の艶かしさに、圧倒されてしまいました!!!

恋しい気持ちを三十一字で表現すると、どうして、こうも美しく、切なく、艶かしいのだろう。
やっぱり、恋の歌は短歌がいいなあ。失恋も含めて。
昔、昔の人たちが、短歌に気持ちを込めて、恋人に送った訳が、とても良くわかる。
恋しい気持ちは、文章より、詩より、短歌のほうが、数段、ドキドキする。
恋愛小説を読むより、ずっと、艶かしい。

31字に凝縮された想い。切り取られた時間。
その前後を想像する余地が、ありすぎる位にある。
ドキドキさせるには、何より、読み手に「想像させる」ことが、大切なんだなー。きっと。

夏休み読書の記録 

2010-09-12 17:43:16 | わたしの読書
 『忘れ川をこえた子どもたち』マリア・グリーぺ 大久保貞子 訳

『夜のパパ』のマリア・グリーぺ。
だいぶ前に、妹から借りていたのだけれど、すっかり忘れていました。(妹よ、ごめん)
『夜のパパ』に比べると、なんだか、題名が地味な気がして、なかなか開けなかったのです。
でも、それは、間違いでした。
最初から、「何か起こる」という予感が、読む者を支配します。
ずっと、ドキドキしっぱなし。特に、事件が起こる前までが、怖かったー。
いつの間にか、物語の世界に入り込んでいました。

登場するのは、心に問題を抱えた人間たち。
問題は、ちょっとしたことなのです。
旦那さんが、仕事ばかりして構ってくれないとか。
自分は、子どものために、犠牲になっていると思ってしまったりとか。
人に「ありがとう」と言ってもらいたいばかりに、周りの人を傷つけてしまうとか。
そんなことが、複雑に絡み合って、事件は起こります。
それに立ち向かうのは、フラクサという占い師と大ガラスのクローケ。

結局、二人が立ち向かったのは、何だったのだろう。
そんなことを、とりとめもなく考えました。

誰もが主人公である、不思議な物語。人物描写、心理描写が素晴らしかった。
すっかりハマッてしまい、読み終わるやいなや、図書館へ行って『エレベーターで四階へ』を
借りてきました。(昨日、読了)
マリア・グルーペ。ちょっと、ハマリそう。

 『お話を運んだ馬』 I.Bシンガー作 工藤幸雄訳

某大型古本屋さんで、150円で売っていました。
しかも、創刊40年記念の装丁のもの。びっくり~

人が作り出す「物語」とは、なんなのか?人は、どうして物語を求めるのだろうか?

答えが書いてある訳ではありません。
読み手が、答えを感じる本だと思いました。
言葉では表現できない、感覚のようなもので。

本を閉じたとき、私は、きっと、死ぬまで本を読み続けるだろうと、改めて思ったのでした。

 『Love,★Stargirl』 ジェリー スピネッリ 千葉 茂樹・訳

『スターガール』が好きで、好きで・・・どうしても、続編を読む気になれませんでした。
続編に、「前作の世界」を台無しにされてしまうのが怖かったから。
ところが、たまたま行った図書館で、この本が、返却ボックスに置かれているのを、
通りがかりに見つけ、釘付けになりました。

なんて、美しい色!
一度、通り過ぎて、でも、どうしても気になって・・・引き返して、手に取りました。
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・運命の出会い?

その後のスターガールの物語が、彼女の日記として描かれています。
その後のスターガールは、以前と、全く変わらない女の子。スターガールそのものでした。

変わった女の子。

その特異さが、前作では際立っていたのだけれど(だから、「いじめ」の本と捉える人も
いたのかもしれません)、この本では、前と何も変わらないのに、その特異さを感じること
がありませんでした。
変わった女の子は、ごく普通の悩みを抱える、恋する女の子でした。
ああ、私ってば、どうして、こんな当たり前のことに気づかなかったんだろう。
(あのハイスクールの子たちと同じじゃないか!)
特異な友達を、周りは、どう受け入れるのか?そう考えていた、私が恥ずかしい。

スターガールの悩み、苦しみ、痛み。
それは、実は、私達が抱える悩み、苦しみ、痛みと、なんら変わらないということに気づきます。
そして、それらに出される答えは、私達をも導いてくれるものでした。
なーんだ。私たちは、みんなスターガールなんじゃないか!

ぜひ、YA世代に読んでほしい!1冊ではなく、2冊一緒に。
これは、2冊一緒で、一つの物語だと思うから。
希望に満ちた、素晴らしい本でした。
息子にも、いつか、娘にも(気が早すぎ!)読んで欲しいと思いながら、本を閉じました。

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夏休み終了1週間前。
終わりが見えたとたん、萎えていた「読みたい気持ち」が、ムクムクと湧き上がってきました。
一週間とちょっとで、この3冊読了です!
最後の一冊は、始業式後に読み終えたけれど、ギリギリ、夏休みの読書に入れました。
夏休み、さようなら!

でも、終わったと思ったら、忙しい「秋」が待っていました。
体育祭、文化祭、幼稚園の運動会、バザー!
おまけに、午前中だけの仕事が決まりそうです
しかも、息子の部活、今月の土日は、ほとんどすべて遠征。すべて、集合時間が6時台!
結局、5時起きか・・・・・。でも、毎日じゃないんだから、いいじゃないのと、自分を慰めています。

読書の記録

2010-08-24 02:29:32 | わたしの読書
 『佐藤さとる幼年童話自選集1 遠い星から』

幼稚園のママ友が貸してくれた本。
小学生の頃、コロボックルシリーズが大好きだという話をしたら、翌日、「読んだことある?」と
持ってきてくれました。ありがとう。
読んだことがある物語もあり、知らなかったものもあり。
あの頃は、ほとんど読みつくしたと思っていた「佐藤さとる」。
やはり、所詮、田舎の小学生の情報収集力だったのだなあ~(笑)

それより何より、「佐藤さとる」という作家を久しぶりに読んで、その言葉の「姿勢の良さ」に驚く。
最近の作家さんが悪いと言いたい訳ではないけれど、こういう背中がピンとなるような文章を
書く人が、いなくなったなあ・・・と、つくづく思ったのでした。


 『おおきな木』 シェル・シルヴァスタイン

娘が、「Nちゃんがいっつも笑っているのは、Nちゃんのママが、いつも笑ってるからだよ」
と言った、幼稚園のNちゃんのママが教えてくれた絵本。
ママは、この本の題名と同じ名前の雑貨やさん(不定期開店)しています。
本を読み終わった後、つくづく、彼女が教えてくれた、お店の名前がついた理由を思いました。
正直に言って、衝撃の内容でした。

途中、投げかけられる「ほんとかな?」の言葉が、私の心に突き刺さりました。
今でも、この本を思うとき、その問いが頭をめぐります。ぐるぐるぐるぐる。
棘は、まだ抜けていないようです。答えは、今も出ません。

『たんぽぽの日々』 俵万智

たんぽぽの 綿毛を吹いて 見せてやる いつかおまえも 飛んでゆくから

表紙の歌で、すでに、ノックアウトです。
「ちいさな言葉」同様、今、この時期に、この本に出会えたことを、心から感謝したい気持ち。
日本語オタクなので、国語の先生としての俵万智の子育て論?が、とにかく面白かった。
そうかあ、こうやって、子どもは、言語を獲得していくのねーと、関心しきり。

勉強大好きの俵万智さん、家事が苦手?な俵万智さん、ビールが好きな俵万智さんにも、
激しく共感。私は、勉強好きでも出来が悪かったから、一緒にするなと言われそうですが。

 『冬の光 続・優しさごっこ』 今江祥智

絵本大好きのママ友さんに借りた本。

前作では、お父さんの恋愛に、激しく嫌悪感を抱いてしまった私ですが、今回は、お父さんの
恋愛話が「熱く」なかったおかげで、穏やかに、物語そのものの持つ雰囲気や、独特な時間の
流れを、楽しむことが出来ました。
京都や倉敷の風景描写が美しく、かつて訪れた町並みを、何度も思い返しながら読書出来たの
も、嬉しかった。
何より、中学生になった「あかりちゃん」が、とても素敵な女の子になっていたのが、嬉しかった。
自然体で、二人の生活を楽しんでいる姿が、嬉しかった。

あとがきで、「離婚家庭は、あんなものだろうか、作者は、きれいごとを書きすぎているのでは
ないだろうか。」という批判があったということが、記されていた。
たしかに、そうかもしれないけれど・・・。でも、ありえるんじゃないかなあとも思う。
こういうお父さんなら。

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娘がお昼寝をしない日が増えた上、息子を部活に送り出すために、4時半起床の日々。
パソコンをあける日(あけられる日)は、ほとんど皆無の夏休みでした。
本を開く時間も、とれませんでした。それでも、ぼちぼちと・・・少しずつ。

特に、家のデッキにプールを出して、そこで遊ぶ娘と、犬を眺めながらの読書タイムは、
最高の幸せでした。(日焼けが怖かったけれど)
暑い毎日。どこにも行かない日は、一日中、パンツ一枚で過ごしていた娘。
まさに、朝から晩まで、何回も、プールにドボン!
水が嫌い犬は、その周りをウロウロ。
時に、娘に、ジョウロで水をかけられ、追い回される犬くんは、少々、気の毒ではありましたが、
それでも、後をついて回るところを見ると、まんざらでもなかったのかな。

あっという間の夏休み。もうすぐ、新学期です。
息子の宿題は、危機的状況にありますが、でも、これ以上、夏休みが続いたら、
私の身が持ちません(4時半起きは、毎日やっても慣れません)。
息子にとっては、恐怖の9月が、私にとっては、待ち遠しい9月が、もうすぐやってきます。
やっぱり、朝は、早くても5時半でしょう。ぶつぶつ。

                                      めずらしく眠れない夜に

『ちいさな言葉』

2010-06-17 10:11:37 | わたしの読書

 『ちいさな言葉』 俵万智


してやれることまた1つ減りゆきて子が殻をむく固ゆで玉子   俵万智

幼稚園では、一人でパンツをぬいで、トイレに座って、ちゃんと拭いて出てくるらしい。
お弁当も、自分で袋から出して、全部食べ終わるまで席は立たない。
食べ終わったら、きちんと袋に入れて、ご丁寧にゴムまでかけてくる。
なーんだ、全部、自分で出来るんじゃない。娘が幼稚園に行き始めて、わかったことでした。

でも・・・・うちでは、未だに、パンツ一枚、自分ではかないよ。
ご飯も、口に運んでもらう。
「あーん。赤ちゃんになっちゃったよー」が口癖。

だけどそれは、ほんの一瞬で過ぎてしまう幸せな時間。
いつの間にか、当たり前にパンツはいて、ご飯食べて、「ごちそうさま」と言うんだろうね。
ああ、大切に、大切に、この豊かで、愛おしい「木馬の時間」を過ごそうと思う。

揺れながら前へ進まず子育てはおまえがくれた木馬の時間    俵万智

前へ前へと進むことは、願わずも、また、出来るから。
今はただ、このぐるぐる回る毎日を、慈しんでいこう。
万智さん、時々忘れそうになる大切なことを、文字にして下さってありがとうございます。

今朝、8時を過ぎた頃から、「もう、待ちきれないよう。幼稚園に行きたいよう。」という娘と二人、
車ではなく、バスに乗って、てくてくと、のんびりと歩いて幼稚園までいきました。
今日は、とても暑くて、アスファルトの道からは、熱気がもうもうと。
夕方の散歩のようにはいかないと、きっと、3歳ながらに悟ったに違いない(笑)

途中で、「もう、歩けない~」と泣き出して、そのくせ、幼稚園が近くなったら
「もう下ろして!自分で歩けるんだから」と言う生意気な娘に、くすくすと笑顔でいられたのも
万智さんのおかげでしょうか。

幼稚園に送った帰り道、バスの時間まで、駅前のミスドに寄って、15分だけコーヒータイム。
この本を読了し、宝石のような言葉がちりばめれた歌を、手帳にうつしました。
たった15分だけど、なんという豊かな時間だったでしょう。



ああ。なかなか手元に回ってこない(順番待ち、何番目まで来ただろう?)『たんぽぽの日々』
が、楽しみで楽しみで、たまらなくなりました。
これは、二冊一緒に購入になるかな



子の声で神の言葉を聞く夕べ「すべてのことに感謝しなさい」 俵万智


★『ちいさな言葉』は、俵さんと息子さんのやりとりを記したエッセイが中心で、短歌は、
少ししか収録されていません。

息子さんが言葉を獲得していく様子が、言葉を紡ぐ歌人としての万智さんの目で、生き生きと
描かれています。サクサク読めてしまう本。でも、とても、とても、豊かな読書でした。


リチャード・ペック

2010-04-23 07:59:56 | わたしの読書

 『ホーミニ・リッジ学校の奇跡!』

『シカゴより・・・』のリチャード・ペックの本を二冊、借りてきました。
シカゴのように、何もかもが完璧に面白い!という訳には、いかなかったけれど、それでも、面白かった。
豪快なおばちゃん(おばあちゃん?)が二人と、カッコイイ女の子が出てきたのも、嬉しかった。
脇を固める情けない男性陣もまた、個性豊かで、憎めない人たちばかり。
リチャード・ペックの描く人々は、人間くさくて(弱さも強さもひっくるめて)、とても魅力的です。

何より、私が気に入ったのは、お父さん。
情けなく、影が薄いなあと思っていたのだけれど、要所要所を、しっかり締めてくれています。
こういうお父さんって、いいな。
こういう魅力的な男性陣がいてくれるからこそ、女性陣の活躍があるのですよね(笑)。

物語は、町の学校の先生が亡くなるところから始まるのだけれど、そこのブラックユーモアだけは
日本人には(いや、私には、かな?)、ちょっとキツスギテ、笑えなかった。
でも、それ以外は、とても、楽しく読みました。
最後の最後、それぞれの子ども達の結婚相手が明かされるのだけれど、それが、大どんでん返しで
愉快でした。どんなロマンスがあったんだろうな?と想像するのも、また、楽しい。

 『ミシシッピのくれたもの』

この本を読んでいる途中で、村上春樹氏の新刊が、発売されました。
今回は三巻目だから、売り切れなんて事態にはならないだろうと、予約しないでいたのだけれど、
朝から、ニュースで、本を買い求める人々の映像を流すものだから、夕方のニュースの頃には、
酷く焦ってきてしまい・・・
結局、夜、旦那が仕事から帰ってきたと同時に、家を飛び出しました。

あまりに興奮して、本屋さん行く道を間違え、夜の住宅街で、道がわからなくなるというハプニング。
本屋の帰り道、とうとう、手に入れたのだという想いで胸が一杯になり、涙が溢れてしまうという
イカレップリ。
それでも、家に本があると思ったら、落ち着きを取り戻してきて、途中まで読んだ本を最後まで読もう
という気持ちになりました。
いえ、村上春樹を待とうと思えたほど、この本が、面白かったと言わなければなりませんね。
面白かった。本当に、面白かったです。

南北戦争。誰でも、知っている歴史的事実。
でも、そこに、どんな血が流され、どんな想いが交錯していたのかなんて、想像もしたことも
ありませんでした。

歴史というのは、今の私たちの立っている時間軸の延長上にあるのだということ、
(もしも、時間の流れが、ねじりドーナツのようになっていなければという話だけれど)
過去があるから、今の私たちがいるのだということ。
そのことを、そして、この事実を、きっと、忘れまいと思ったのでした。
それが、アメリカという地で起こったことだったとしても。

そして、自分の力では、どうしようもない悲惨な状況に陥ったときにでも、前を向いて生きること、
いつでも、誇りをもって生きることを、本の中の、二人の少女に教わった気がします。
そういう力のある本でした。
多くの子ども達に読んでほしいな・・・そう思った一冊でした。


『引き出しの中の家』

2010-04-21 08:51:51 | わたしの読書

 『引き出しの中の家』 朽木祥

もしも、娘が出来たら、一緒にやりたいことが、いくつもあって・・・その中の一つが、一緒に、
小さい部屋を作ることでした。
小さいお人形さんは買おうか?それとも作ろうか?から始まって、部屋には、何を置こうか?と
まだ、赤ちゃんの娘を抱きながら考えていました。
かつて、妹と二人で楽しんでいた、あの部屋を思い出しながら。

だから、この本を開いたとき、カバーに書かれてある言葉に、ノックアウトされました。

花明かりにふさわしい
大きさのものを仕立てれば
花明かりは、きっと、やってくる


心の中に、パッと何かが灯った瞬間です。
その瞬間、一気に、本の中に引き込まれました。

以前、「かはたれ」を読んだときも、お母さんと娘さんのやりとりが、とてもとても素敵で、以来、
味噌汁の出汁を「煮干」からとっている位なのですが、この本にも、素敵なお母さんが登場します。
亡くなっているのが、残念なのだけれど・・・。
それでも、そのお母さんの手仕事が、またまた、私をときめかせてくれました。
何もかもが素敵で、ただただ、ときめきながら読んだ第一部。

だからでしょうか。
最後に、驚くべき結末がやってきて、あまりにもショックで、私は、本を置いてしまったのでした。
ひどいじゃないですか!朽木さん!
わが娘の口癖を借りるなら、「ゆるさない!絶対に、ゆるさない!」
そう思って、本をとじてしまったのです(笑)

本を再び開いたのは、独楽子をそのままにしておけなかった、ただそれだけの理由でした。
ああ、そのまま読むのをやめてしまわなくて、良かった!本当に、良かった!!
第二部に描かれていたのは、温かく、希望に溢れる結末でした。
ああ、よかった。うれし涙が、あふれました。
読みながら、すぐそばに花明かりがいるような気がして、ワクワク。
これも、どうしようもなく楽しい体験でした。

中学生になった息子にすら、携帯電話を持たせない、頑固おばさんとしては、主人公の小学生の
女の子が、パソコンのメールで友だちとやりとりする所だけは、どうしても、違和感を抱かずには
いられなかったけれど、それを差し引いても、やっぱり、素敵な物語でした。

何より、小さい人が、「花明かり」である、というところが好き。
「花明かり」という言葉も素敵だし、夜、花に照らされた闇を想像するだけで、もう、胸が一杯に
なってしまいます。

今、我が家の庭は、色とりどりの花で一杯です。
思いがけず寒い春。それでも、お花は、けなげに咲いていています。
ミツバチの訪問がないのが、心配の種ではあるのだけれど・・・。
ブルーベリーに実がなるかな?今、我が家の一番の関心事です。
花明かりが、やってきてくれないかな。


『ケニーのまど』

2010-04-19 13:15:15 | わたしの読書

『ケニーのまど』 モーリス・センダック

お友だちからのプレゼント本。
先日読んだ「魔法使いの少年」に比べると、毒の具合は少なく、読みやすいかった。
それでも、ケニーの謎解きは、なんとも哲学的で、センダック的!
ああ、なんと素晴らしい世界。
やっぱり、センダックだなあーと、また、感嘆の吐息なのでした。
続けて、センダックを読んだせいだからでしょうか・・・
センダックの世界を、以前より、自由に行き来できるようになった気がする私です。


最後、四本足の雄鶏の出した謎、一つ一つに対するケニーの短い答えが書いてあるページが、
最高に好き。
それまでの物語が、この場面で、ストンストンと心に落ちていくのです。
ストン。ストン。ストン。ストン。
そして、雄鶏が、ケニーにかける最後の言葉へと続きます。

ねがいごとは、いきたいところへ とちゅうまで いったのと おんなじなんだ。

願わなければ、何もはじまらないのですよね。
いえ、願ったときに、すべては始まっているのです。心に、ずっと留めておこうと思います。


『優しさごっこ』

2010-04-19 13:12:01 | わたしの読書

『優しさごっこ』 今江 祥智

娘のお友だちのママが、貸してくれた本

大好きだった、思い出の本なのだそうです。
何度も何度も読んだであろう文庫本には、楓の葉が、何枚も挟んでありました。
清水寺のものだろうとのこと。素敵。

あらためて、本っていいなあと思います。
読まれた本は、まるで日記帳。その時に感じた想いや、胸の痛みや、ときめきや
涙は、そのまま、その時の自分なのです。
そんな大切な本を読める幸せを感じつつ、本をひらきました。

京都弁で書かれた本は、初めて。
それにしても、京都弁って、なんと、しなやかな言葉なのでしょう。
その言葉の響きは、私にとっては、どんな形にでもしなる若い枝のようで・・・。
両親の離婚後、父親と二人暮らしになる少女。
そんな暗い設定も、京都弁なら、どうにかなるような気がしてくるから不思議です。

さてさて、物語は、父子の揺れる心情が、丁寧に、細やかに描かれた作品。
和久さんの講演を思い出しました。
子どもが、どんなにか幼い心で傷つき、親を想い、気遣っているのかという話。
あらためて、ドキリとします。

ただ、私は、物語の後半、離婚後半年で、好きな女性ができる父親を、どうしても、
受け入れられなかった。
多感な少女時代、父親が男であるということを想像するだけで、鳥肌がたっていた女の子は、
今だに、父親というものへの理想があるらしいです。
そのムカムカを、男性作家が書いた作品だから仕方ないかということで処理していたら、
あとがきで、半分私小説だということを知りました。
そうかあ。これが、現実なんだなあ。
リアルなあかりちゃんも、ちゃんと、お父さんの恋を応援したんだなあ。

いやあ、私ってば、中学生の頃から、父親に対する感情が、ちっとも成長していないんだな。
私のお父さん、大変だったねえ。すごい、反抗・娘だったもんねえ。
今、天国で笑って見てるかもしれないな。
そんなことを考えて、おかしくなりました。

ムカムカしながらも、それでも、小説の中のお父さんの恋の行方は気になります。続きが楽しみ。
ただ今、4月16日発売の本で、心も頭も一杯なので、そちらを読み終えてから、落ち着いた心で、
もう一度、京都に向かおうと思います。

追伸
この作家さん、はじめて読むはずなのに、どこかで聞いたことがある気がしてならず・・・
読んでいる間中、ずっと、小骨がつかえたような状態だったのですが、「ことりタイムス3月号」を
見て、問題が解決しました。
そうか、「わたしのスミレちゃん」の作者さんだ!
妹に貸してもらったまま、本棚にしまわれている本でした。
(妹から借りた本は、いつ返してもよいという安心感から、ついつい、後回しに)
早く読もう。