TOBA-BLOG

TOBA2人のイラストと物語な毎日
現在は「続・夢幻章伝」掲載中。

「約束の夜」136

2019年03月22日 | 物語「約束の夜」


「・・・・・・で」

戒院はじろじろと、海一族と山一族を見る。

「俺にどうしろこと?」

ちょうど病院を出てきた戒院は、彼らに声をかけられた。

「だから」

ヨシノはグイっと前に出る。

「砂一族の捕まり方を教えてちょうだい!!」
「ずいぶんなこと云うな!」

そして、いつもの。
距離が近いよ、ヨシノ。

「教えてほしいの!」
「びっくりするほど、距離が近い!」
「距離なんか関係ないわ!」
「えーっと、砂の捕まえ方?」
「つ、か、ま、り、方!」
「意味が判らん!」

戒院は歩き出そうとする。

せっかくの務め終わり。
早く帰り、たい!!

「ちょちょちょ、東のお兄さん!」

ツイナがその前に出る。

「あなたは、俺の先視で選ばれました!」
「先視?」
「つい最近、砂にさらわれた女の子を助けたよね!?」
「え~」
「だから、話を聞きたいんです!」
「先視なのに、過去の話??」

戒院は、海一族を見る。

そんなことも確かにあったけれど。
なんだか、この海一族。
ごく最近見た気がするなぁ。

いつだったか、川遊びのときか?

「どうやったら、砂一族に捕まりますか!?」
「ええぃ、めんどくさい!!」
「「あっ!!」」

戒院は走り出す。

「ちょっと!」
「待って!」

ツイナとヨシノも走り出す。
戒院を追いかける。

「残念だったな! ここは、ホームだ!」

戒院は、すっと、道を曲がる。

「どこ!?」

すぐに、その姿は遠くなる。
さすが東一族のホーム。

「はぁあああ、・・・どうする、ツイナ?」

ヨシノは肩で息をする。

「こうなったら」

ツイナは、手をかざす。
出るのか、魔法!
てか、他一族でそんなことして、大丈夫なのか!?

「こっちだ!」
「えぇえ? 今、何をしたの、ツイナ?」
「ふふ」

ツイナとヨシノは走る。

「居場所を感知する魔法」
「まあ!」
「すごかろう!」
「地味なのね!」
「もちろん、いざと云うときは魔法よりも力! 力はパワー!」
「ツイナったら!」

あはは、うふふ、と走りながら笑う、ふたり。

えっ
これって何なの?

と、沿道で見守る東一族ズ。

「ほら、ここだ! 東のお兄さんっ!!」
「げげげっ!?」

なんだか、うまいこと先回り。
細道を抜け
出たところは、

ちょうど、戒院の目の前。

「は~よかった。捕まえたわ!」

その手をしっかりと、ヨシノが握っている。



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