力はパワぁあああああああああ!!(エコー)
「そして、私はトキシン(生物毒)!!」
「よしよし、面白いやつらだ」
うんうん、と、砂のお兄さんが笑う。
とりあえずは、東一族の村はずれにやって来る。
人目に付くのは、あまりよくない、と。
「砂一族だから、東の村では隠れてるってこと?」
「そうそう」
砂のお兄さんが頷く。
何度も明記してるが
とにかく、東一族と砂一族の争いは、今なお続いている。
砂一族が、そうやすやすと、東の村にいていいわけがない。
「諜報員?」
「そんなもの」
砂のお兄さんが云う。
「東一族は黒髪が主だから、白色系は目立つしな」
「俺たちも」
「白色系だけど・・・」
ふたりが思っていた以上に、東の村では目立っていました。
「そうやって、他一族の出入りもあるから、俺も潜り込めなくはない」
よく見ると
フード&マントからちらりと見える髪飾りは
砂一族のものをしているが、格好は南一族なのだ。
「すごいわ、砂先生!!」
がしっと恒例、ヨシノ近距離。
「よく考えているのね!」
「近いっ!」
「ヨシノ!!」
一応危険だから! と、ツイナはヨシノを放す。
「ヨシノ、危険!」
「いいえ、ツイナ!!」
ものっすごい、磁石のM極S極のように、ヨシノは離れない。
「行きましょう、砂先生!」
「近い!!」
「私、砂先生にくっついていくわ!!」
「違うよヨシノ! 付いて行く、んだ、よ!」
「くっつくな!!」
なかなか、先は遠い。
3人は砂漠へと踏み出す。
「下調べは万全だろうが」
砂のお兄さんが云う。
「砂一族の村が近付くにつれて、砂漠には地点が増えるからな」
「地点?」
「踏むと爆発するやつ」
「「あぁあああぁあ」」
ガイドブックに書いてあったね。
ツイナとヨシノはきょろきょろと、砂漠を見る。
が
当然、その地点とやらが判るはずもなく。
「爆発しませんように~」
「こうやってくっついていると、2人とも犠牲だな」
まだ、くっついている。
「どうやって、その地点を避けるの?」
「いちかばちか!」
「まさかの!?」
「なら、俺の先視で!」
時間かかるやつ。
「砂一族って怖いのね~」
「世の中にはいろんな一族がいるんだなぁ」
「安全に砂漠を渡れたとしても、砂一族の中でも気を付けるように」
「「何を!?」」
「食べ物とか」
「やっぱりトキシン!!」
ヨシノの目が輝く。
「男とかも」
「男!!」
「腕を掴まれたら、払う!」
「わぁお」
自らくっついてくる女性の場合、どうなのか。
砂漠を進む。
砂嵐。
「砂一族の村は、」
「まだー!?」
目が痛い。春の嵐。
花粉・黄砂・PM2.5・・・云々。
ほとんど目が開けられません。
「ところで君たちはなぜ砂の村へ?」
「私たち?」
ぴたりとくっついたまま、ヨシノが云う。
「私たちは、ねえ、ツイナ」
「囚われの、知り合い?」
「生き別れの兄弟姉妹?」
「よもや、観光?」
「本当は?」
ぴしりと、砂のお兄さんが云う。
「本当の理由は?」
「それは、・・・」
「それは、・・・」
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