「・・・・・・で」
戒院はじろじろと、海一族と山一族を見る。
「俺にどうしろこと?」
ちょうど病院を出てきた戒院は、彼らに声をかけられた。
「だから」
ヨシノはグイっと前に出る。
「砂一族の捕まり方を教えてちょうだい!!」
「ずいぶんなこと云うな!」
そして、いつもの。
距離が近いよ、ヨシノ。
「教えてほしいの!」
「びっくりするほど、距離が近い!」
「距離なんか関係ないわ!」
「えーっと、砂の捕まえ方?」
「つ、か、ま、り、方!」
「意味が判らん!」
戒院は歩き出そうとする。
せっかくの務め終わり。
早く帰り、たい!!
「ちょちょちょ、東のお兄さん!」
ツイナがその前に出る。
「あなたは、俺の先視で選ばれました!」
「先視?」
「つい最近、砂にさらわれた女の子を助けたよね!?」
「え~」
「だから、話を聞きたいんです!」
「先視なのに、過去の話??」
戒院は、海一族を見る。
そんなことも確かにあったけれど。
なんだか、この海一族。
ごく最近見た気がするなぁ。
あ
いつだったか、川遊びのときか?
「どうやったら、砂一族に捕まりますか!?」
「ええぃ、めんどくさい!!」
「「あっ!!」」
戒院は走り出す。
「ちょっと!」
「待って!」
ツイナとヨシノも走り出す。
戒院を追いかける。
「残念だったな! ここは、ホームだ!」
戒院は、すっと、道を曲がる。
「どこ!?」
すぐに、その姿は遠くなる。
さすが東一族のホーム。
「はぁあああ、・・・どうする、ツイナ?」
ヨシノは肩で息をする。
「こうなったら」
ツイナは、手をかざす。
出るのか、魔法!
てか、他一族でそんなことして、大丈夫なのか!?
「こっちだ!」
「えぇえ? 今、何をしたの、ツイナ?」
「ふふ」
ツイナとヨシノは走る。
「居場所を感知する魔法」
「まあ!」
「すごかろう!」
「地味なのね!」
「もちろん、いざと云うときは魔法よりも力! 力はパワー!」
「ツイナったら!」
あはは、うふふ、と走りながら笑う、ふたり。
えっ
これって何なの?
と、沿道で見守る東一族ズ。
「ほら、ここだ! 東のお兄さんっ!!」
「げげげっ!?」
なんだか、うまいこと先回り。
細道を抜け
出たところは、
ちょうど、戒院の目の前。
「は~よかった。捕まえたわ!」
その手をしっかりと、ヨシノが握っている。
NEXT