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現在は「続・夢幻章伝」掲載中。

「約束の夜」134

2019年03月15日 | 物語「約束の夜」

「あれ?」

ツイナは振り返る。

「何か聞こえた?」
「いいえ、何も」

その隣のヨシノは、首を傾げる。

「おかしいな?」
「ふふ」

ヨシノは、もともと近い距離を、さらにツイナに詰める。

「今まで大勢だったから、淋しくなっちゃったわねぇ」
「おぉお」

その距離に、ドキマギするツイナ。
いや、でも!

「たった2週間! またすぐに北に戻るからね!」

ツイナとヨシノ。

ふたりは、砂一族の村へと向かっていた。
砂一族の村へ向かうには、
最短距離は、東一族の村経由か、谷一族の村経由。
満樹がそう教えてくれた。

と、云うことで、

ふたりは、東一族の村へ向かっている途中。

谷経由でもいいなら、谷まで満樹と一緒に行けばよかったじゃん。

「でも、あの場はかっこよく、すぱっと解散だったしね!」
「そうよねー♪」

云いながら、ヨシノはマイノートを取り出す。

「うふふ。楽しみだわ。あれとこれと、・・・ふふ」
「ヨシノ・・・」
「見たこともない調合なのかしら~」
「・・・・・・」
「私。体にいい薬、たくさん覚えるからね、ツイナ!!」
「うん!!!」
「待っていて、砂先生!!」

誰!!?

ツイナとヨシノは東一族の村へと入り、必要なものを買いそろえる。

一段落すると、ふたりは、市場に並ぶ椅子に腰かける。
飲みものを頼む。

「ねえ。ツイナは、砂一族の村ははじめて?」
「もちろん!」
「そうよねぇ」

ヨシノが云う。

「ちなみに、私もなんだけど」
「砂一族のこと知ってる?」
「ええ。調べてあるわ」

情報収集は万端。
いつの日か、聖地に行くために!!

「好戦的な一族で、薬と毒が得意」
「それは、有名だよね」
「砂一族の薬は、効きに関しては、すごく信頼があるわ」
「おけしょー水とか、高価で取引される」
「北一族の村では、砂一族の品を取り扱っているのよ」
「へえ! 見ればよかった」
「おみやげに大好評」
「ふーん」
「砂に行けば、安く手に入るかしら?」
「交渉しよう、ヨシノ!!」
「ええ!」

以下。
ヨシノの説明。

砂一族は、名まえの通り、砂漠に住む一族。
水や植物が乏しく、それを、他一族から仕入れている。
もしくは、奪っている。

家族観が他一族とは違い、非常に希薄。
一族全体が家族のようなもので、
全体で仕事、家事、育児を分担している模様。
血縁者と分かるのは、実母、同母きょうだいのみだとか、なんとか。
そのため
必然的に血が濃くなり、一族の数は少ない。
なので
他一族から、女子どもをさらってきたりする。

「・・・・・・」
「・・・・・・」
「大丈夫かな!?」
「大丈夫よ!!」

ヨシノはツイナの手を握る。

「ヨシノー!!」
「砂一族はけして、悪い一族ではないわ!」
「え~え~(照)」
「だって、本当に悪いことをやっていたら、他一族に滅ぼされちゃうわ!」
「あ~うん~。だよね~」

海一族と山一族は、砂一族からは遠い一族。
隣接している東一族の苦労なんか、知ったこっちゃない。

「さあ、少しお腹に入れましょ!」
「そうだね!」

ツイナとヨシノは、飲みものを飲む。

「これ、ぷちぷちもちもちして、おいしいわ」
「うん。なんだろうね?」
「何かしら?」
「イクラ?」
「イクラ??」
「・・・・・・」
「・・・・・・」
「ツイナ、これ、イクラではないと思うんだけど・・・」



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