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TOBA2人のイラストと物語な毎日
現在は「続・夢幻章伝」掲載中。

「約束の夜」135

2019年03月19日 | 物語「約束の夜」

「キャッサバ!!」

「どうしたの、ツイナ。
 急に大きな声を出して」

ヨシノに問われ、あれ、と
ツイナは首を傾げる。

「どうしたんだろ。
 突然、このワードが浮かんできて」
「インスピレーションは大事よ」
「うん。
 ………この飲み物に入っている、
 ぷちぷちもちもちのイクラみたいな物体」
「ええ、イクラではない」

「なぜだか分からないけど、
 俺達海一族がフグを食べるときのように
 なんか、本来であれば食べるのが難しい物を
 あれやらこれやら手を加えて
 食卓に上がっている感が、する」

ツイナ、何か電波を受信した模様。

横を見ると瞳を輝かせるヨシノ。

「ツイナ。
 もしかしてあなた、フグが捌ける?」
「うん」
(※ツイナは特別な資格を有しております。
 フグの調理は専門の資格を持った人が行いましょう)
「すごいわ、ステキよ!!」
「え~、そうかな?」

照れ照れ。

「やっぱ、司祭だけじゃ食っていけないし、
 手に職?就職に有利な資格取得?っていうか」
「そうよね。
 私も思っているのよ。
 やっぱり植物(毒)が一番好きだけど、
 知見を広げて動物(毒)も学んで行こうかなって」
「今度、海一族の村においでよ。
 フグ刺し、ごちそうするよ」
「ごめんなさい。生魚はちょっと」
「ええ~!!」

魚を生で食べるのは、
この世界では
ほとんど海一族だけ。

「でも、その、取り除いた部分、には
 すごく、とても、興味があるわ!!」
「手トロ度々寄進(変換一発目)!!」
「そのためにも、まずはやっぱり
 砂一族よね。
 基礎の学び直し。
 彼らは一体どのような抽出と調合等々を!!」

「……手のひらのアザの仲間達は?」

「保管管理、(毒の)入手ルートも気になるわ。
 自家栽培?それとも他一族からのお取り寄せ?」

「アザ―ズは?」

はっ、とヨシノが首を振る。

「あら、いけない。
 ついつい自分の事ばかり。
 ツイナ、私のこと見損なった?」
「いや、そんな」

だから、距離感が、近いって。

「全然オッケーだよ!!」

さぁて、と
観光ガイドを開く2人。
ここに来て!!まさかの!!ガイドブック!!

「あ、ヨシノこれ見てよ。
 まさに、俺達の事じゃない?」

ツイナが指差したのは
砂一族紹介ページの
Q&Aのコーナー。

『砂一族の村を訪れたいあなた』

すすす、と
指で文面をなぞる。

『村へ向かう砂漠は大変危険です。
 砂漠という自然環境はもちろん、
 外部対策として、要所要所に爆薬が隠してあります。
 そう、知らずに踏んでしまうと………。
 ご想像の通りです』

「「わあぉ」」

『それでも向かうというあなた。
 素人の砂漠横断は無謀です。
 蛇の道は蛇。
 砂一族に道案内のガイドをお願いしましょう』

「道案内、の」
「ガイド……」

それが、この砂一族と敵対している
東一族の村で見つかるわけもなく。

「もしかして、
 このガイド、北一族の村では
 見つける事が出来たのでは」

北一族の市場には
彼らの出入りも多い。
少なくともここよりもアテはある。

「………」
「………」
「私ったら!!!」

なんて手ぬるかったのかしら。と
落ち込むヨシノ。

「こんなに砂一族の事、尊敬しているのに。
 こんなに色々調べていたのに」

マイノートを握りしめ、
よよよ、となる。

「しっかり。
 元気出してヨシノ!!」
「戻る!?戻る、北一族の村!?」
「大丈夫だよ、
 俺の先視で、一歩進んで未来を先視。
 そしてまた一歩と歩んでいこう!!」

果てしない、未来!!

「……この(東一族の)村に、
 砂一族が忍び込んでいたりしないかしら」
「そんな都合良く」

東一族は砂一族と敵対している。
なぜなら。

はた、と
ヨシノはマイノートを開く。

先程の、砂一族について
彼女が調べた事が一覧で並ぶ。

その1つ。

『他一族から、女子どもをさらってきたりする』

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