「ひろし!おまえ幾つになった?」
「昨年済ました成人式の記憶はもう消えたよ。」
「なぜだ…?」
「この1年ですごい老けたような気がする。」
「志願してこの今の状況にいるけれど、人からとやかく言われるのが嫌で、どうせ早い遅いはあっても幸せはもう来るはずはあるまい…!」
裕次郎は自分より先に散るひろしに心の中で手を合わせた。
生きたいという強い気持ちを押し殺して、
志願して戦場に消えた多くの素晴らしい若者がいたことを忘れることはできない。
頑張れ早起き鳥Please your click !
自分は特攻という美名と功名心の虜になってはいなかったか?
国家とか軍隊とかの見えざる巨大な意志に同調し、引きずられ流されて来た。
そうではないと言い切れるか…?
お仕着せの男の生き様に飛びつき、そこから外れてしまうのが怖くて、
生きていたいという本能を無理やり捻じ伏せ、封じ込めてきた。
他の誰よりも勇敢たらんと虚勢を張ってきた。
出口のない海 横山秀夫
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