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【質問】イエズス・キリストが王であるとはどういうことか

2007年03月26日 | 質問に答えて

アヴェ・マリア!


【質問】
 イエズス・キリストが王であるとはどういうことですか。イエズスは「私の国はこの世のものではない」と言ったのではないですか?


【答え】
 イエズス・キリストは、教会の王、キリスト教信者たちの王というだけではなく、全ての人々の王、全人類の王、全ての国家の王です。私たちの主イエズス・キリストは昇天の前にこう言われました。「私には、天と地との一切の権力が与えられている。」(マテオ28:28) イエズス・キリストは全世界の王であり、主の主権から逃れられるものは何一つありません。


【王権の根拠】
 教皇ピオ十一世は、回勅「クアス・プリマスQuas Primas」でイエズス・キリストには二重の王権があるといっています。

(1)イエズス・キリストが天主だから。<天主の御言葉>として見れば、御父と一体であり、既に万物を御父と共有し、全被造物の上に最高絶対の主権を有しておられるから。人たるキリストはその位格的結合によって全被造物の上に権力を獲得されているからから。(キリストの生まれながらの権利)


(2)イエズス・キリストが贖い主だから。(救い主として獲得された権利)


【全人類に及ぶ王権】
 ピオ十一世は、レオ十三世の言葉を引用してこう言います。「キリストの支配権はカトリック信者ばかりでなく、異端によって脇道に逸れたもの、或いは離教によって愛の絆を切って離れた派のものであっても、正しい洗礼によって清められ、法の上から見てやはり教会に属している人々にまで及びます。しかしそれのみならず、その支配権はキリスト信者以外の全ての人々をも包括するものでありますから、全人類がイエズス・キリストの権力のものに」あるのです(回勅「アンヌム・サクルム」1899年5月25日)。


【キリストの王国はこの世からのものではない】
 イエズス・キリストはピラトの前で、ご自分の王国は「この世のものではない」(ヨハネ18:36)と言われました。これは、イエズス・キリストの王国がこの世の起源のものではない、この世からものではないという意味です。主の国は、この地上の王国よりもはるかに優れた本性をもった王国であり、この王国は地上にも力を及ぼしています。イエズス・キリストの王国は、この世のものではないけれども、この世に存在するものです。


【聖書の用語】
 私たちの主イエズス・キリストは言われます。私はこの世のものではない(ヨハネ17:16)、と。 Ego non sum de mundo. ラテン語の前置詞 de は、ギリシア語の ek の訳であり、起源や出発点を現す同じ意味を持っています。
 しかしイエズス・キリストは、聖父によってこの世に送られました。Tu me misisiti in mundum. この前置詞 in はギリシア語の eis の訳で運動の方向と到達点を意味します。
 そしてその同じ言い方で、私たちの主イエズス・キリストは「私の国は、この世のものではない。・・・私は王である。私は真理を証明するために生まれ、そのためにこの世に来た。」 Regnum meum non est de hoc mundo... Rex sum ego. Ego in hoc natus sum, et ad hoc venit in mundum, ut testimonium perhibeam veritati. と言います。


【教父たちの教え】
 聖アウグスチノ、聖ヨハネ・クリゾストモなどの教父たちも(聖トマス・アクィナスは『カテナ・アウレア』で引用している)ヨハネ18:36を、私たちの主イエズス・キリストは「私の国は、ここにはない」ではなく「私の国はここからのものではない Regnum meum non est hinc. 」と言った、従って、主の王国はこの世に力を及ぼしていることを強調しています。


【何故イエズス・キリストはご自分の王国がこの世のものからのものではないと強調したのか】
 何故なら、イエズス・キリストの王国はその当時のユダヤ人たちが考えていたような、ローマ帝国からの独立とかローマの世界支配からの解放といったものではなく、本質的に超自然の王国であり、ローマ帝国の支配を脅かすものではないと言うためでした。イエズス・キリストの王国は、この地上の諸王国と対立する王国の一つではなく、制限も限界も弱さも野心もこえた、永遠の王国であり、地上の全ての王はこの王たるキリストに奉仕し従順たるべく、この世の全ての国々を包括する王国であるからです。


【イエズス・キリストの王国は本質的に精神的・霊的なもの】
 ピオ十一世はこう教えています。
「しかしこの王国は何よりもまず精神的なものであり、精神的な事柄に関する」と。


【イエズス・キリストの王国は、この世のことにも力を及ぼす】
 ピオ十一世はこう言います。
「しかしキリストの王職がそうであるからと言ってこの世の事柄について人たるキリストが何の権威もないと考えるのは大きな誤りです。というのはキリストは御父から被造物に対する絶対の権利を与えられ全ての者を意のままにすることがお出来になるからです。」


【何故イエズス・キリストの社会的王権が大切なのか】
 人間は純粋に霊的な存在ではないからです。ピオ十二世はこう教えています。
「社会に与えられた形が、天主の掟と調和するか否かにより、霊魂たちの善と悪の影響が決定する」と。
RADIOMESSAGGIO DI PENTECOSTE 1941  di S.S. Pio XII
Dalla forma data alla societa, consona o no alle leggi divine, dipende e s'insinua anche il bene o il male nelle anime,

 

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