横浜市泉区にある天王森泉館でひな祭りに因んで、創作アート吊るし雛が飾られている。
庭の梅の木の下には早咲きの三寸アヤメが花開いている。今年は、寒い冬で咲が例年より遅いという。
現在では、吊るし雛(雛のつるし飾り)は奥方の趣味の手芸で各地に広がっているが、もともとは、江戸時代後期から伝わる伊豆稲取地方の風習である吊るし飾りのことのようだ。
長女の初節句に、無病息災、良縁を祈願して雛壇の両脇に細工を吊すものであり、古くは庶民の雛壇代りでもあった。
この建物、もとは清水製糸場という製糸工場の本館であった。
本館左側を復元し現在の建物となっている。
右側1階はまゆ選(え)り場と食堂で、2階は女工の宿舎となっていた。1916(大正5)年当時は90名の女工が寄宿していた。
ここで使用されていた道具類などが、近くの中和田南小学校の郷土資料室に展示されている。
天王森泉館の公園には、冬に花弁の様な形になるシモバシラがつくられる。
このシモバシラというのは、シソ科の多年草のシモバシラ(霜柱、学名:Keiskea japonica)という日本固有の植物の枯れた茎に霜柱が出来る現象である。
シモバシラの茎は冬になると枯れてしまうが、根はその後長い間活動を続けていて枯れた茎の道管によって水が吸い上げ続けられる。そして、外気温が氷点下になると、道管内の水が凍って、茎から氷柱・シモバシラが出来るようだ。
訪れた日の朝は気温が下がり、この公園近くの田んぼには氷がはり、霜柱が立っていた。この気候ならもしかしてと期待があった。
公園には、シモバシラのなごり程度の形が出来ていた。手前の枯葉からシモバシラの大きさが想像出来ると思う。公園の係の方に伺うと、今期は12月ごろからその現象が起こり、最盛期は1月上旬から中旬にかけてで、風がなく放射冷却でよく冷えた朝に見られるという。ほんとに花弁のような時もあるとのことだ。最盛期過ぎると吸い上げる力が弱くなって、いくら寒くても写真のようななごり程度の大きさにきりならないようだ。また、年によっては全く出来ないこともあるそうだ。
この近くでは、高尾山のシモバシラが有名である。
ここのシモバシラ、来年に期待である。