モノトーンでのときめき

ときめかなくなって久しいことに気づいた私は、ときめきの探検を始める。

松江の味『皆美(みなみ)』の「鯛めし御前」

2009-07-19 06:32:41 | グルメ
「鯛めし」というものはいろいろあるものだと思った。
これまでは、焼いた鯛を炊き上がったご飯に乗せ、小骨を取り身をほぐし混ぜ合わせた炊き込みご飯のようなものだとばかり思っていたが違ったものもある。

島根県松江といえば、小泉八雲が1890年から居住し、翌年小泉節子と結婚し「八雲立つ出雲の国は・・・」から日本名を付けたと知られているところだが、ここには古い格式のあるいい旅館があることを何かの折に聞いていた。

名前を忘れていたが『皆美館(みなみかん)』というそうだ。

東京では御茶ノ水にある「山の上ホテル」もそうだが、文人・作家が静養なのか原稿書きでのカンヅメなのかわからないが逗留する隠れ家のようなところのようだ。
カンヅメされるほうとしては、逃げ出したい欲求との格闘でつまらないことにいちゃもんをつけてしまうが、こじんまりしていて落ち着けてうまいものが食べれるところだと我慢しやすい。こんなわがままに答えられるところが『皆美館』のようだ。

日本橋でお昼を食べるつもりで友人に聞いてみたら、この「皆美」を薦められ松江の老舗旅館だということを思い出した。

きっと、納得できる和食が食べれるだろうという期待感が高まり、さらに、珍しいものがあれば申し分ないと思い行ってみた。

お店の場所は、地下鉄日本橋で降りてすぐのコレド日本橋ビルの4階にある。
このビルは、高層のオフィスビルと5階までの商業ビルで成り立っている。4階以外は特別によさそうな店が入っている感がなかったので、日本橋の集客力が停滞しているのかなと思った。

『皆美』の名物は、「鯛めし」だが、“鰻まぶし”“鮎めし”など魅力的なものがあった。多少迷ったが、「皆美家伝の鯛めし」を頼んだ。

(写真)鯛めし御前


(写真)鯛のデンブと薬味(そば具)


(写真)だし汁をかけて鯛茶


何が変わっているかというと、鯛の影も形もなくデンブになっていて卵の黄身、白身と別々に山に盛ってあった。
これをお茶碗に盛り付け、独特のだし汁をかけて茶漬けとして食べる。
ワサビ、海苔、大根おろし、万能ねぎを薬味としてちらし、ワサビがピリッと上あごを刺激して淡白な味に活を入れる。

良く聞こえなかったが、一通りの作法をセットする間に由来に関して仲居さんから口伝があった。後で調べるとこんな内容だった。
“江戸文化文政時代の頃、松江藩七代藩主松平不味公、この人は不味流の茶道の開祖のようだが、消化のよい汁かけご飯が好きでそば具と呼ばれた調味料を工夫していたようだ。ちょうど長崎帰りの用人がオランダ料理を持ち帰りこれを工夫してそば具と汁かけをミックスして日本風の御殿料理に仕立てたという。”

『皆美』は明治21年に創業し、初代の板前長がこの汁かけご飯を「鯛めし」として考案し家伝料理として伝承したという。

確かに御殿料理として洗練されていた。

私の理解では、これは「鯛茶づけ」であり「鯛めし」とは言わないが、新橋の『宇和島』などにも「鯛めし」というのがあり、これは生の鯛の刺身を汁と一緒にぶっ掛けて食べる野趣あふれるものがある。瀬戸内の海賊が考案したというから荒削りだが無駄な様式がない。

「皆美の鯛めし」「宇和島の鯛めし」とも甲乙つけられないが違いがあって面白い。



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7 コメント

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Unknown (isabella)
2009-07-19 08:45:25
不味公?好みなのしょうか?コレドに入っているとは知りませんでした。皆美の緑色のお菓子も召し上がりましたか?銀座の鳩居堂隣のビルの中にもあったような。宇和島の「丸水」のは本当に野趣のある「鯛めし」です。私も鯛めしとは土鍋で炊いたご飯の上に鯛一匹が丸ごと載っているようなものを想像していたので切り身を卵につけて食べる方法にびっくりしました。どちらも美味しいですね、鯛ご飯!
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isabellaさん (tetsuo)
2009-07-19 10:37:21
所変われば品変わるの例でしょうか?
皆美でも天ぷらとは言ってませんでしたが”赤身天”というのがあり、東京ではいわゆるさつま揚げ、九州では天ぷらというのも大分違いますね。
この天ぷらで地酒の李白を飲んでしまったので、デザートとコーヒーにはたどり着きませんでした。今度食べてみます。(銀座の方で)
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Unknown (kazuko)
2009-07-19 14:35:04
東京には、田舎にはない別の楽しみがありますね。山の上ホテルだけはすぐ近くにおり素敵なところと思いみてましたよ。私は、海育ちながらなぜか魚は食せず、おいしさを想像の中だけで味わわせていただきました。(^-^)
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和さん (tetsuo)
2009-07-19 19:55:47
魚が食べれないと食の範囲が狭くなり選択が厳しくなりませんか?
最近は、野菜、魚、鶏肉中心で、ここから魚が抜けると献立が狭くなります。
まあ、今回の鯛めしは魚の影も形も生臭さもないので、食べれると思いますが?
機会ありましたらお試しください。
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そうですね (kazuko)
2009-07-19 23:04:04
そうですね、魚は体にいいこともわかるのですが、・・。子供のころから、家族の中で私一人だけダメでした。今は義父の分もあるので、気をつけて、魚を買うようにしてます。食べず嫌いはよくないですね。
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和さん (tetsuo)
2009-07-20 01:55:11
選択肢を狭めるのは司るトップとしてあまり良くないと思います。好き嫌いをなくすアレンジメントが家庭の料理長の心がけかと思って、今は作っています。好き嫌いが激しいカミサンは食べていませんが、志を曲げずに嫌なものを作り続けています。
好みが激しい性格は、短命なような気がしますので、あえて嫌なことをしています。
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なるほど。 (kazuko)
2009-07-20 03:45:24
お返事有難うございました。食べ物の好き嫌いは人間の好き嫌いにもつながるそうですね。私も、いつのころからこうなってしまったのか、好きなものだけを食べてます。tetsuoさんのような料理長がいると奥様も安心ですね。多分幸せすぎる奥様でしたのでしょうね。
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