モノトーンでのときめき

ときめかなくなって久しいことに気づいた私は、ときめきの探検を始める。

6月に読みたい一冊の本『ジューンドロップ』

2009-06-01 05:25:17 | Weblog
『ジューン ドロップ』
        

“六月の雫”を意味するこの本は、平成不況とでも言ってよい長く続く日本社会の混迷の日々に、そういう中においても日々にドラマがあるということを気づかせてくれる本となる。
あじさいの葉から落ちる雫が太陽の光を受けキラッと輝いて落ち、その時、美しさを発見した喜びが湧くように、この本には日々にドラマがあるということを教えてくれ、みずみずしさを失いつつある日々の感性に活を入れてくれる。

そして団塊の世代の私にとっては、私たちが歩んできたあの戦後の混乱期をプレイバックすることが出来、あの時の忘れていた或いは気づかなかった感情を再生させ共有できる。
何もない中での明日があるという期待が元気を与えてくれていたことに改めて気づかされ、平成不況で悩んできる人々に生きる元気を与えてくれることとなりそうだ。

この本は、自費出版であり出版業界のプロの編集者の手が入っていないので、逆に作者の息吹きが感じられ新鮮な読後感を得ることが出来る。
著者の上杉和子さんとはブログで出会い、その時から文章の魅力というかその背後にある観察眼に注目していた。

またこの本には、詩人である父、木村徳太郎氏の未発表の詩も含まれていて、親娘二代に亘る詩或いは文として表現することに至るまでの生きる葛藤も垣間見ることが出来る。
木村徳太郎氏の詩は、数少ない言葉で宇宙或いは世界を表現していて、初めてに近く詩というものの世界観の広さを教えられたほど突き抜けている。

自費出版であり、本屋で手に入れることが出来ないのがちょっと残念だが、興味をもたれた方は、上杉和子さんのブログ「風にのって 花ひとひら」にアクセスし、連絡をとるとよいだろう。

「風にのって 花ひとひら」

『ジューン ドロップ』
絵・文 上杉 和子
詩   木村 徳太郎
頒布価格 1500円(郵送料別途)
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