浪漫亭随想録「SPレコードの60年」

主に20世紀前半に活躍した演奏家の名演等を掘り起こし、現代に伝える

アーノルド・ロゼ 弦楽四重奏團

2006年08月27日 | 器楽奏者
アーノルド・ロゼは作曲家マーラーの妹の夫で、マーラーが指揮していた当時の1881年から57年の永きにわたり維納フィルハーモニーのコンサートマスターを勤めた名提琴家である。

自ら弦楽四重奏團を結成し、数々の録音を残しており、こちらの方が有名であるが、元はライナー・キュヒュル、ボスコフスキー、バリリと歴史を遡ったところにこのロゼが居る。ロゼがナチに追われて維納を去った1938年に17歳の若さで副コンサートマスターに就任したのがバリリである。戦前の維納フィルと共に生きた人である。その人のレコヲドは、即ち当時の維納の演奏スタイルを知るための貴重な遺産でもある。

バッハのアリアを聴いた瞬間、その時代のスタイルがそのまま飛び込んでくる。後期浪漫派の息遣いそのものを堪能することができる。ベートーヴェンの四重奏曲が3曲収められているが、こちらはバッハほど甘い演奏にはなっていないが、官能的で好きな演奏である。マーラーがワルターよりもフリートやメンゲルベルクを好んだことも、ロゼとの親密な関係も無縁ではないやうに思われる。それにしても、写真の二人の表情とこの距離には、なにか危ないものを感じるのは僕だけだろうか。

ロゼの提琴独奏もいくつか録音が残されている。これについては、後日、紹介することにしよう。

盤は、英國BiddulphのSP復刻CD LAB056/7。


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