浪漫亭随想録「SPレコードの60年」

主に20世紀前半に活躍した演奏家の名演等を掘り起こし、現代に伝える

ウラッハ&エールベルガーら維納フィル・メンバーによるロッシーニ

2007年12月28日 | 器楽奏者
ロッシーニの弦楽ソナタは何かのテーマ曲にも使われてゐた有名な作品だが、今宵の我が家を和やかな雰囲気にしてくれてゐるのは、ベーアが管楽四重奏に編曲したものである。1年の仕事の疲れをとるのにうってつけのこの演奏は、維納フィルのメンバーによる戦時中の録音である。

ウィンナホルンの包み込むやうな響きはなんとも言へず、トリルのたどたどしさも何故かありがたく聴こえるから不思議だ。編成は、フルート、クラリネット、ホルン、ファゴットの四重奏だが、ニーダーマイヤー、ウラッハ、フライベルク、エールベルガーがそれぞれのパートを受け持っており、豪華そのものだ。

全楽章とも大変情緒があってすばらしいのだが、僕は特に第3楽章が気に入ってゐる。この絶妙なテンポ感覚が良い。弦楽とは異なり、これ以上速く演奏するとホルンの余裕ある雰囲気が壊れて超絶技巧練習曲になってしまふからかも知れないが、のどかそのものでこころが落ち着くのだ。ニーダーマイヤーの奏する暖かみの在る主旋律は、ウラッハやフライベルクの柔らかな音色に受け継がれていく。正に至福の境地である。

録音は、世界に暗雲立ち込める1940年に行はれており、SP盤のサーフィスノイズはかなり残った復刻になってゐる。

盤は、国内新星堂が企画し、東芝が制作した復刻CD SGR8242。


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