浪漫亭随想録「SPレコードの60年」

主に20世紀前半に活躍した演奏家の名演等を掘り起こし、現代に伝える

アンドレ・ナヴァラ&ミュンシュによるサンサーンスのセロ協奏曲第1番

2009年03月08日 | 器楽奏者
アンドレ・ナヴァラの演奏は、子供の頃にブラームスのドッペルコンチェルトで初めて聴いた記憶がある。アンチェルの指揮だったと思ふ。今宵は、ミュンシュとのサンサーンスを聴いて脳を休めることにした。

サンサーンスの作品はいずれも親しみやすく、聴き所も沢山あって万人受けする。この協奏曲も久しぶりに聴くが、第2楽章などは、とても19世紀末の作品には聴こえない。いつも思ふが、サンサーンスはもう少し早く生まれてゐて、ウェーバーやシューマンの同時代人だったら、恐らくもっと高く評価されてゐたに違いない。

全楽章が続けて演奏される流れで18分程度の短い協奏曲である。非常に浪漫的で美しいメロディに満ち溢れてゐて、聴く者に心地よい興奮を味わわせてくれる。ミュンシュの指揮はやや速い目のテンポ設定できびきびと進めるのでナヴァラの独奏も直線的に感じる。ミュンシュはこの協奏曲でもいつものやうに高揚して加速するがナヴァラはついてきてゐないといった場面も第1楽章にある。しかし、第1楽章後半ではナヴァラも熱を帯びた表現で応えてゐて、手に力が入る。

ミュンシュとラムルー管絃團とのレコヲドでは、以前にルーセルの第3交響曲の名演奏を取り上げたことがあったが、この録音では低音部が弱く、ちょっとどっしり感のない録音になってしまってゐるのは残念な気がする。

盤は、仏蘭西Warner MusicによるリマスタリングCD CD76。


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