浪漫亭随想録「SPレコードの60年」

主に20世紀前半に活躍した演奏家の名演等を掘り起こし、現代に伝える

ジョン・バルビローリ チャイコフスキー4番のリハーサル

2006年08月26日 | 指揮者
クライスラーのコンチェルト伴奏などでSP時代から数多くの録音を残してきたバルビローリだが、現在では、英国や北欧の音楽に対して一定の評価を受け、ハルレ管絃團に一時代を築いた指揮者として知られている。

レオ・ブレッヒやアルトゥーロ・ローターらと同様、伴奏指揮者として一流の道をまっしぐらであったバルビローリだが、英国に活躍の場を見出したことがコンサート指揮者としての一定の成功を招き寄せたのだろうと僕は勝手に想像していた。しかし、彼のリハーサルをどこかで見たとき、その考えが誤りだったことに気づいた。大変厳しい表情で団員に指示を出す姿は目に焼きついている。その姿は、チャイコフスキーの交響曲4番のリハーサルを耳にし、再び甦った。

決して音楽に流されることなく、自分の創ろうとする世界を次々と具体的に示していく様が録音に残されている。その指示は的確で、分かりやすく、バルビローリを知るうえで大変貴重である。4番のフィナーレの盛り上げ方を幾度も止めては指示している。もちろん同じCDには本番のレコーディングも収められており、興奮を呼ぶ名演奏である。

スラヴ行進曲もともすれば田舎侍の滑稽な行進のやうなイメージに陥りやすいが、バルビローリがやると気品を保ちながら重々しく聴こえるから不思議である。

盤は、英国EMIのCD CDM7 63960 2。



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