浪漫亭随想録「SPレコードの60年」

主に20世紀前半に活躍した演奏家の名演等を掘り起こし、現代に伝える

ブッシュ弦楽四重奏團による「ラズモフスキー」第1番

2008年11月09日 | 器楽奏者
弦楽四重奏はハイドンによって確立されたそれほど古くない時代のジャンルである。ベートーヴェンの16曲の作品によって音楽史に確固たる存在意義を打ち立てた。最近、僕は床に入ると枕元のCDプレイヤーの「おやすみタイマー」を60分にセットしてベートーヴェンの四重奏全集をかけながらスコアをながめる。一つの楽章が終わらぬうちに意識は無くなって熟睡してゐるため、いつまでたっても先に進めない。

寝室に置いてゐるCD盤はデジタル録音のアルバムで演奏団体が誰なのかも知らずに聴いてゐる。これ以外にはバロック時代からルネッサンス時代のリコーダー音楽が中心だ。ベートーヴェンを鳴らすと嫁さんが必ず文句を言ふ。どうも嫁さんには耳障りのやうだ。そのやうな訳で、今日はバトミントンの試合の為、嫁さん不在の我が家でラズモフスキー第1番をじっくりと聴いてゐる。第1楽章冒頭のセロの朗々とした歌、その後登場するフーガなど、ブッシュ弦楽四重奏團の力強く繊細な表現にしばし聴き入る。アドルフ・ブッシュの提琴の魅力は、第3楽章に登場する憂いのある旋律の表現に聴くことができる。

それにしてもハイドンの68曲の四重奏といふ数は驚きである。ハイドンは交響曲の父であるが弦楽四重奏の父でもある。交響曲は初妻のマリア・アンナ・ケラーとの間に、そして弦楽四重奏は歌手ルイジャ・ポルツェッリとの間に産まれたことから交響曲と弦楽四重奏曲は異母兄弟であることが分かる。その後、モーツァルト、ベートーヴェン、シューベルトに受け継がれた弦楽四重奏のスタイルはブラームス、ドヴォルザークらに継承されたがラヴェルで打ち止めとなる。僕の好きな四重奏はベートーヴェン、シューマン、ブラームスの作品だが、交響曲とは違って、凝縮された音楽のエッセンスを聴いてゐる思ひで背筋が伸びる(但し、寝た状態で)。

盤は、伊太利亜StringsによるSP復刻CD QT99-364。


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