浪漫亭随想録「SPレコードの60年」

主に20世紀前半に活躍した演奏家の名演等を掘り起こし、現代に伝える

アーサー・ブリスのクラリネット五重奏曲を初演者サーストンの演奏で

2009年12月24日 | 器楽奏者
英國近代の作曲家、アーサー・ブリスのクラリネット五重奏曲の終楽章をサーストンの独奏で聴いてみた。楽しめる作品で、特に何風といふ色も思いつかない。ブリス独自の世界だ。

ブリスの作曲ジャンルは広く、洋琴協奏曲、オーボエ五重奏、セロ協奏曲が、当時人気の独奏者、ソロモン、グーセンスやロストロポーヴィッチらによって初演された。このことからブリスは当時の人気作家であったことが分かる。今日、聴いてゐるクラリネット五重奏曲もBBC響の初代主席に抜擢された名手、フレデリック・サーストン(写真)によって初演された作品である。

曲は分かりやすい構成で、音楽も十分に楽しめる。この録音には第4楽章しか収められてゐないが、全曲を聴いてみたくなる内容である。サーストンのクラリネットは端整で現代的だが、協演してゐるグリラー絃樂四重奏團の演奏も精緻なアンサンブルで聴き応えが或る。名曲名演の類に含まれるべきレコヲドだと思ふ。1935年のデッカへの録音である。

盤は、英國Clarinet Classics によるSP復刻CD CC0005。


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