Unseasonable Shore

映画の感想を中心に、普通の生活をおくる30代ゲイの日々感じるできごと。

チェ・28歳の革命

2009-01-15 14:51:12 | 映画
今回は今公開している作品「チェ・28歳の革命」について。スティーブンスダーバーグが監督し、ベニチオ・デル・トロが主演で、全編スペイン語、しかもあの革命家チェ・ゲバラの生涯を描くとなれば、観ないわけにはいきません(笑)。以前のモーターサイクルダイアリーズでは、貧しい人々と出会い、「自分が何ができるか」ということを考えていた青年でしたが、この映画では、いかにそれを実行していくかという「過程」を描くストーリーになっています。

ここでストーリーを少し。25歳のチェ(これは彼が相手のことを「チェ」と呼ぶことが多いのでそれが愛称になったそうです。ちなみにチェは少しくだけた表現で親しみを込めた「おまえ」ということらしいです)はカストロを出会い、キューバでの農民の苦悩を聞きます。これをほっとけない二人は協力しあってキューバを救おうとするのです。これがキューバ革命の始まりでした。船で密航し、キューバにもぐりこんだ彼らはゲリラ戦をしかけながら、少しずつキューバ軍の施設を破壊し、農民達に自分達の信念を話し同士を集めていくのです。幾多の戦いを制してついにハバナを攻略するのです。今回の映画ではここまでが描かれます。そして、ところどころその後の国連での演説、アメリカのジャーナリストとの対談の様子などがインサートされていきます。


Tシャツやマグカップのデザインにまでなっているチェ・ゲバラですが、僕は本当のところ、その活動や人生をよく知らなかったのです。でも、この映画を通じて彼がどういう人物だったのかということがわかってきました。本当に「人のために何かをしなくてはいけない」と強く願う人なんだと。その思いが時には強すぎて反対の立場の人にとってみると、殺人も辞さない野蛮な人物に映ってしまうのでしょう。でも農民達に読み書きを教え、自分達の権利をしっかり主張できる人物にしていく教育にも「愛」が感じられましたし。自分がえらくなりたいと思って、革命をおこす人達とはまったく違うのです。むしろ自己犠牲をもいとわないという強い気持ち。

今の日本にもこういった人物がいたらどうなるのかと考えてしまいました。もちろん、人を殺してまでということではありませんが、本当に貧しく暮らしている人達のことを考えられる人物ということで。

この後編である「チェ・39歳別れの手紙」では、その後のゲバラが描かれています。この後編こそ本当に知らなかったゲバラを観ることができると思っているので、今からとても楽しみにしています。


映画館で観てほしい作品です。でも、今回とても残念なことに、映画の途中で退出する人達が数名いました。きっと、「退屈」と思ったのかもしれません。派手な音楽や演出があまりなく、ドキュメンタリーのような映像だからかもしれません。でも、それだからこそ、この映画がすばらしいのだと思います。

日本の政治家達に見せたい1本です。