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ぎんぐの紅茶

紅茶初心者の奮闘記

深夜特急(沢木耕太郎)

2005年02月16日 | お茶が出てくる本&紅茶関係の本レビュー
チャイといえばこの本を思い出す。
主人公(作者)がツアーではなく、自分の足で各国を歩く旅行記?だが、独特の迫力がある。

主人公はインドに長いこと滞在するのだが、かなりの貧乏旅行なので
格安で食べ物を手に入れなくてはならない。
そこで重宝するのがチャイだ。
文中には何度もチャイが出てきて、いかに人々の食生活に根付いているものかわかる。
以下、「深夜特急3-インド・ネパール」(新潮社刊)より、その一例を引用。


インドの紅茶はこってりしたミルク・ティーが普通だが、駅売りのチャイはどちらかといえば薄目で、素焼きのぐい呑みのような容器に入ってくるため呑むとかすかに土の味がする。インドの人はチャイを飲み終わると、その容器を窓から叩きつけるようにして割ってしまう。私には素朴で魅力的な器に思え、もったいなくてどうしても割れなかったが、考えようによっては、大地のものを台地に戻すだけのことで、理にかなっていないことでもなかった。その一杯が三十パイサ、約十円。暑い車内でそれが唯一の水分の補給源だった。
(本文75~76ページ)

二人連れのヒッピーは一ルピーほど貸してくれました。これもあとで知ったのですが、一ネパール・ルピーは約二十円に相当します。したがって一杯十パイサのチャイは二円ということになります。物価の安いインドと比べても、確かに「安い!」と言わざるをえません。僅か一ルピーで、十杯ものおいしいミルク・ティーが飲めるのですから。
(本文123ページ)


これを読む私まで、暑くて埃っぽい空の下でチャイを飲んでいるような気分になる。
初めて読んだ当時は、チャイを飲んだことがなかったのだけど。

インド料理を専門とするお店には結構行くが、まだチャイを頼んでみたことはない。
近々大好きなインド料理専門店でチャイを頼んでみよう。
コメント (4)
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紅茶王子(山田南平)

2005年02月13日 | お茶が出てくる本&紅茶関係の本レビュー
紅茶が出てくる漫画といったら、これははずせない。
リアルタイムで最初の方を読んでいたが、紅茶から紅茶の精が現われるという可愛い設定にわくわくし、詳しい紅茶の入れ方にちょっと優雅な違う世界を見るようで感心したものだった。

私も一応紅茶を入れることに興味を持ち始めたので、何年ぶりかに第1巻を購入して読み直してみた。

第3話「紅茶の入れ方教えます」が、ものすごく胸にせまった・・・。
生徒会書記の女の子が大好きな女性会長に、試行錯誤しておいしい紅茶を入れようとする話。
(お茶入れは書記の仕事の一つ)
私が身につまされたのは以下のシーン。


1.お茶を入れるようにと命じられて戸棚を開けたところ、「ティーバッグじゃない!葉だ!」と驚愕する彼女。

2.とりあえず適当に紅茶をいれる彼女。会長たちにおいしくないと言われてがっかり。

3.おいしい紅茶の入れ方がわからず、校内の階段でしょんぼり。

4.紅茶の入れ方を教えてもらって、必死にメモる彼女。

5.紅茶を入れることに再度挑戦。何故かやはりおいしくないといわれて、彼女は「もう一度入れなおします!」と叫ぶ。

6.緊張でどきどきしながら、必死に考えつつ紅茶を入れる。とりあえず自分の分だけ飲む。→失敗。どうしていいかわからなくなり、思わず涙をこぼす。

7.上手な紅茶の入れ方を実際に見せてもらい、「今度は自分でいれてごらん」と言われて「だめです、わたし。とろいし、きっと才能ないんです」という彼女。


とにかく、全てが胸にせまる。
試行錯誤して、泣きそうになりながら必死に紅茶の入れ方を模索する彼女に、手に汗握って応援してしまう。
彼女と自分が重なってしまい、お話だからと余裕を持って読めない。

この漫画、色々あったようだが、先日無事に完結したらしい。
全25巻。大人買いしたものかどうか迷うところだ。
コメント (2)
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瞳子(吉野朔実)

2005年02月01日 | お茶が出てくる本&紅茶関係の本レビュー
瞳子という、大学を卒業したのち無職状態の女性を主人公とした短編漫画集。
この中の「俄か雨」という作品は、中国茶が重要な?小道具となって展開する。

部屋の掃除やごはんといった家事に明け暮れるとても現実的な自らの母親と、
中国茶をたしなみ、夢野久作?の話もできる友人の母親とを比べて瞳子は自分の母親を疎んじる。

この友人の母親がいかに文学的な(浮世離れしたともいう)感性の持ち主かをあらわすのに
中国茶が大事な役割を果たしている。
読んだ当時、中国茶などに全く興味のなかった私は(今もそんなにあるとはいえないが)、その世界に驚愕したものだ。

100グラム(10グラムだったか?)で数千円の茶葉。
ほとんどお茶が入らない、おままごとみたいな小さな小さな茶器(しかも高そう)。
においをかぐだけが目的の恐ろしく高額な茶葉(これは違うか?)。 

ちなみにこの作者は、これ以外にも読み応えのある叙情的な作品を出していておすすめ。
「少年は荒野を目指す」「ジュリエットの卵」等。


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ナイト・フォーク(新井素子)

2005年01月31日 | お茶が出てくる本&紅茶関係の本レビュー
これは泥棒3人組の話だ。
主人公の泥棒は17~8才の「千秋」という女の子。
残る2人は「CAT」と呼ばれる30台くらいの女性と、「明拓ちゃん」と呼ばれる30台くらい?の男性。
3人は一緒に住んでいる。

3人で住んでいれば時には言い争いもある。
そんなときに千秋が感情的になりすぎてしまうと
CATが必ず千秋に出すのが、リーフで入れた「プリンスオブウェールズ」なのだ。

千秋はこの紅茶が大好きで、これが出されると必ずその香りで気持ちがほぐれていく。
そして、言うまでもないが、この紅茶がすごくおいしそうに描かれているのだ。

この紅茶は長いこと気になっていた。
だが、随分前のことになるが、ようやくこの紅茶をティーバッグで飲む機会に恵まれた。
・・・くせがあってのみにくい・・・。

そのころの私はティーバッグの飲み方も知らなかった。
お湯の中でティーバッグをふりふり、色がでたらOKと思っていた。
だから味も香りもきちんと出ていない。
今なら、多分あのときより味も香りも多少まともなものが入れられるはず。
もちろんCATと同じようにリーフで。

最近、スーパーでプリンスオブウェールズを見かける。
だが、なかなか購入に踏み切れない。
理由は

きちんと入れても口に合わなかったら、その後の茶葉はどうしよう

これに尽きる。
きちんと入れたらおいしいかもしれない。
しかし、「くせがあってのみにくい」というかつての感想はあながち間違いではないかもしれないのだ。
プリンスオブウェールズは、くせがあると言われるキームンがベースなのだから。

当分、スーパーに行くたびに悩むことになりそうだ。
あー、どうしよう。


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キッチン (吉本ばなな)

2005年01月14日 | お茶が出てくる本&紅茶関係の本レビュー
紅茶が出てくる本ではないけど、紅茶を入れるたびに思い出す話ということで。

この本を読んだのは10年以上前だ。
ストーリー自体はもう覚えていないが、強烈に印象に残ったシーンがある。

主人公はプロの料理人だ。
小説では、彼女が料理人になる過程が描かれているのだが
それは「料理を作っては失敗し、また作り直しては失敗しを繰り返す」というものだ。
いつも料理のことを考え、挑戦し続ける毎日。いつも持ち歩いてぼろぼろになった食品成分表。
端から見ると、修行のようなかなり過酷な日々ではないかと思うのだが、彼女は言う。
「次の日の朝が来るのが楽しみで仕方ない。なぜならまた新しく料理を作ることができるからだ」

当時、「そんなのは嘘だ!」と思った。
作家の頭の中だけで作られたシーンなのだろうとも考えた。
私にとって好きなことをするということは、ゆったり楽しむことであり
修行のような日々を楽しいと言えるのはありえないことだった。
だが、それがものすごく羨ましいと思ったことも事実である。
次の日の朝が来るのが楽しみな趣味を持ってみたかった。
そんな趣味はありえないと思っていたけれど。

だが今、紅茶を入れるのがものすごく楽しい。
体調と時間さえ許すならば、一日中だって紅茶を入れていたい。
その紅茶にあった入れ方を追求したい。
低血圧気味で朝が来るのが憂鬱だった私が
次の日の朝が来るのがすごく楽しみだ。
また紅茶を入れることができるから。

このシーンは作者の想像の産物だと思っていたが、
今は、作者がプロの作家になる過程がこうだったのだろうと考えている。
小説を書くのが楽しくて仕方なかったのだろう。
毎日ボツを繰り返し続け、それでも次の日が来るのが楽しみなほどに。

毎日紅茶を入れながら、このシーンを思い出し、かつての私に語りかけている。
そういう趣味ってあるんだよ~、と。


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千と千尋の神隠し

2004年12月11日 | お茶が出てくる本&紅茶関係の本レビュー
本ではないけど、昨日は「千と千尋の神隠し」をテレビでやっていたので
思わず見入ってしまった。
見応えがあっていい映画だ。
今回は、紅茶を入れるのが好きになってしまったために
違うものに目をとまってしまった。

千尋が銭婆を訪ねて行くシーン。
銭婆は訪ねてきた千尋をケーキやクッキー、紅茶でもてなす。
銭婆の住んでいるところはこの世の場所ではないようなところなので
このお茶請けや紅茶は買ったのではなく、すべて手作りか魔法と考えるのが自然だろう。
これらがすごくおいしそうなのだ。
しかし、千尋は心配事があるために、折角の銭婆が出してくれたおいしそうな紅茶も一口飲むだけだ。
あー、もったいない。あの紅茶は何の茶葉だろう。
もしかして魔法の茶葉?
やはりあの紅茶はゴールデンルールで入れたと考えるべきか。
いやいや、銭婆ならばゴールデンルールは抑えた上でその紅茶を一番おいしく入れる自分流の入れ方を持っているに違いない。

銭婆は千尋と一緒に来た顔無しに向かって、「あんたはここに残って私の手伝いをしな」と言う。
銭婆のもとに残る顔無しが少しだけうらやましかった。
だって、あのお茶の入れ方やお茶請けの作り方を教えて貰えそうだしなあ。
まあ色々と厳しそうではあるけど・・・。


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