梅之芝居日記

歌舞伎俳優の修行をはじめてから15年がたちました。
日々の舞台の記録、お芝居ばなし等、お楽しみ下さい。

『研辰』稽古場だより・四

2005年04月30日 | 芝居
今日は午前十一時から、舞台上で「総ざらい」です。朝一番の稽古ということもあり、何とはなしに出演者のテンションも低め。セリフに詰まる場面もあったりして、昨日の快調さにひき比べるとどうも舞台が弾みません。
随時に照明のチェックもあり、今日は通し稽古とはなりませんでしたが、野田さんも「前半はみんな目が覚めてなかった」とのダメ出し。見抜かれてますね。後半はまあまあだったようですが、今日初めて、私に対するダメ出しがありました。私、例のお化け提灯の他に、第四場「峠の場」で、勘太郎さんが扮する平井才次郎が引っ掛かる「松の木」を演じておりまして(やはり迷彩黒衣で)、両手を広げ片足を上げたポーズで松の木を表すのですが、今日はふとした思い付きで、形をつくるまでのわずかな時間を、ぐるぐる回転してつないでみましたら、目が回ってしまいバランスがとれなくなってしまいまして、静止すべきところで止まれずに、上げた片足を落としてしまったのです。「ああ、しまった」と思っていましたが案の定指摘され、「(私は)結構細かいですよ」と、野田さん独特の目つきで見つめられ、恥ずかしくなってしまいました。
ともあれ小返しをすることもなく一時半に稽古終了。 今日は四時半から「顔寄せ」、引き続き「弥栄芝居賑」の稽古がありましたからしばしの休憩。四時には師匠梅玉の楽屋入り。実にひと月ぶりにお会いいたしました。「顔寄せ」は、今月の出演者全員が顔をそろえる大切な儀式。今月は役者だけでも二百人近いのでロビーは大混雑でした。
続く「弥栄芝居賑」、師匠梅玉、そして私のもう一つの出番です。「口上」を芝居仕立てにしたものですが、私を含め同じ役の六人は、約三十分立ち尽くしというちょっとツライ仕事。しかしながら、他の出演者は幹部俳優さんだけなのですから、一緒に出られるだけでも有り難いことでございます。
五時過ぎには終わりまして、師匠を見送り、私も今日の仕事を終えました。今日は実家にかえりました。パソコンも持ってきましたので、この文章は、横浜からお送りしております。
明日はいよいよ舞台稽古。楽しみです。