梅之芝居日記

歌舞伎俳優の修行をはじめてから15年がたちました。
日々の舞台の記録、お芝居ばなし等、お楽しみ下さい。

女形の化粧番外・私の悩み

2005年04月05日 | 芝居
女形の化粧は、立役のそれと比べていくぶん繊細。より美しく見せるために苦労もいたしますけれども、私にとっては別のことで、実は大変悩んでおります。
私、顔の部分だけが極端に「乾燥&敏感肌」でして、女形の化粧をすると、ひどい肌荒れがおきてしまうんです。
女形に限らず、白粉を顔に塗る前に、つきをよくするために「びん付け油」という固形の油を、やわらかく伸ばして顔につけておくのですが、これがどうも私には合わないらしいのです。もちろん、この油はもとより、白粉、紅、砥の粉など、舞台化粧品全般は決して体にいいものではありませんから、様々な要因があるのでしょうが、普段の立役の化粧では「びん付け油」はほとんど使っておらず、それほど荒れもしないことから考えれば、この油こそ、私の肌を苦しめる最大の敵といえるでしょう。
もう六年くらい前なのですが、やはり女形をいたしましたとき、ただでさえ荒れているのに、しっかりと化粧を落としきらないまま寝てしまい、翌朝顔がお岩様のように腫れ上がり、目が開かないくらいになってしまったことがありました。すぐさま皮膚科に行き、ステロイドを処方してもらいましたが、そのときのお医者さまのアドバイスによって、今ではクレンジング、スキンローション、洗顔石鹸など、全て完全無添加のものを使用しています。それからは、化粧後の肌荒れもだいぶ軽減されましたが、まだまだかさつき、ひりひり感、かゆみがおこります。
寝ている間に掻きむしるのか、朝起きると顔中傷だらけ、なんて日もままあって、こちらの事情を知らぬ仲間達からは、やれ痴話喧嘩をしたのか、やら、アブない遊びを楽しんだのか、などとからかわれ、ちょっと悲しくなってしまいます。