梅之芝居日記

歌舞伎俳優の修行をはじめてから15年がたちました。
日々の舞台の記録、お芝居ばなし等、お楽しみ下さい。

よりよき職場へ

2005年04月22日 | 芝居
一部の新聞に、「歌舞伎座改築」の記事が出たそうですね。現在の歌舞伎座は、一九五〇年に完成しましたが、すでに五十余年が経ち、舞台も楽屋も、だいぶ老朽化してきています。その古さ加減が、いかにも「歌舞伎の小屋」の雰囲気をかもし出しているとも言えましょうが、いざその中で働く身になってみると、なかなか不便なところも多いのです。
まして歌舞伎座よりあとに出来た大阪松竹座、九州博多座などの、現代建築によるビルの中の劇場の、使い勝手の良さと比べてしまうとなおさらです。
三階建ての楽屋棟は、エレベーターがないために、年輩の役者、あるいは膝痛に苦しむ役者には、階段の昇り降りが苦痛ですし、部屋の中以外の、芝居の荷物を置く場所が少ない。また洗面台が少ないので顔を洗うのに行列ができてしまうし、さらに驚くべきことには「女子トイレ」が無い!歌舞伎の世界に女性が携わることが無かった時代の名残りが、こんなところに見られるわけですが、今は衣裳さん、床山さん、付人さんに沢山の女性が働いております。その人たちの不便さといったらないでしょう。さらには永年の埃、汚れの堆積による空気の悪さ。業者の測定によると、実に高速道路のすぐ横と同じくらいの汚染度なのだそうです。そんな環境で、ほぼ一日を過ごすのですよ…。