梅之芝居日記

歌舞伎俳優の修行をはじめてから15年がたちました。
日々の舞台の記録、お芝居ばなし等、お楽しみ下さい。

木更津のオバサン

2005年04月02日 | 芝居
楽屋も舞台も、落ち着いてまいりました。
昼の部三幕目『与話情浮名横櫛』、第一場「木更津海岸見染めの場」に私は出演しておりまして、役名は「貝拾う浜娘」。同じ役名で十数人が出ます。潮干狩りに来ている土地の女の役なのですが、娘、とは書かれていても、若い女ばかりでは不自然ですから、実際は、おばさんもいれば娘もいる(もちろん「貝拾う浜男」も出てきますし)、とりどりの登場となります。
当然、娘役には、赤や朱鷺色(薄いピンク)の色みをつかった若いめの衣裳が選ばれますし、逆におばさんには鼠色や茶をつかった地味なものになります。かつらにしても、その年に相応の結い方になっております。
実は舞台稽古で、扮装をし終えてみたら、衣裳が娘でカツラがおばさんという、なんともチグハグな格好になってしまいました。
衣裳さんと床山さん(カツラを結う係)との連絡の行き違いでしょうが、カツラは各人の頭に合わせて作られておりますから替えがききません。カツラの方に合わせて、私と逆でカツラが娘で衣裳がおばさんだった人と衣裳を取り替えっこして、めでたく私、「おばさん」になりました。
娘の方が良かったかな、なんていう気も少ししましたけどね。