「太陽にほえろ!」当直室 仮設日誌 PART2

6年半ご愛顧いただいた『太陽にほえろ!当直室』(since2002年5月)復活ブログ、引っ越しました。(2014年7月)

ゴリさん苦悩編の陰に山さん奮闘にボスの苦悩も・・・

2012-05-30 23:51:35 | ファミ劇日誌
【ファミ劇日誌2012】

第173話 一発で射殺せよ!

ゴリさんの銃に対する信念は太陽作品ではメインテーマのひとつなのですが、この作品でこれまでのゴリさんがどうにか切り抜けてきた「撃つことを生業にすること」が現実味を帯びてきます。

本庁狙撃チームの創設。

警視庁内でも銃の腕は折り紙つきのゴリさんが選抜されないのは逆におかしい、ボスはその殺伐としたチームを何とかゴリさんに変えてほしいという思いも込めて七曲署選抜として推薦したとは思いますが、表面的には毅然としていても内心は穏やかじゃなかったと思います・・・裏ではチーム計画を無きものにしようと奔走していたわけですから・・・こういう部分でもボスが一所轄の係長とは格段に違うところを見せ付けます(^_^;)・・・ラストは元の鞘に収まって涙ぐんでいるようなボス。
多分、ゴリさん並に苦悩したのではないかと。

一方ゴリさんは、公務員としての自らの立場を改めて自覚し、道代に人を殺したことやこれからも人を殺さなければならないこと、それが自分の「宿命」として受け入れている胸中を告白します・・・道代は「人が死ぬのが怖い」という。ある意味一方的に道代に「決断」を迫る格好になりますが・・・・。
「人が死ぬのが怖い」のは恐らくゴリさんも同じ。
ただ、ゴリさんとしてはそういう自分の思いをちょっとだけぶつけることが出来るのが、あの状況で道代しか居なかったわけで、そりゃ、道代が焦ったり怒ったりするのも当然なのですが(^_^;)

そんな中で、とうとう射殺命令がゴリさんに下るわけで・・・。

ボスの射殺命令、ダンプの運ちゃんの戦中の話、道代の話、現場へ向かう途中に身重な妊婦を助けたり、ゴリさんの頭の中には生と死というテーマが頭の中をぐるぐる廻りますが、これほど一発に込める思いが悲痛だったのもこの話ぐらいだったと思います。
ゴリさんの顔が歪みもう一度思い直し、また歪み・・・。

一方犯人を説得する山さんは、若手の「ゴリさんに撃たせたくない」という気持よりもっと深い思いで説得しています。
いつもはあそこまで手練手管を繰り出すことの無い山さんが必死です。
これは、ゴリさんの思いを受け止めているのと同時に、ボスの真意を汲んでいたものと思います。
ボスは立場上、射殺命令で非情に徹している、それに現場の長としてはこの状態を何とかしなければならない、そういう強い思いが説得に出ていますが・・・。

結果的にゴリさんが犯人・立川の右肩を撃ち抜くことで事件は収束するわけですが、やっぱりそのゴリさんの信念を貫いた部分で、山さんもそしてボスも安心したというのが本音ではないかと思います・・・。

ただし、ゴリさんにも道代にも、ボスにも山さんにも大いなる災難ではありました・・・。
誰が悪いってわけでもないし。

という実は非常に複雑な人間模様をこの作品は描いているわけで、見た目はゴリさんの苦悩編ではありますが、かなり隠し味が効いています。

太陽の中でも傑作に数えられる話ですが、深く観るほど面白い作品であります。


*アッコ登場
ゴリさんが友人(大高)を射殺した話ではチャコが登場、このタイミングは意図的なような気がします。
しかしボン、ボスが長年愛用している縦柄茶碗のみを間違える怪(^_^;)
木村さんは18歳、アッコ役は当時友人だった大竹しのぶさんがゲットする可能性もあったようですが、個人的には無垢な木村さんで良かったなぁ・・・と。

*豪華ゲスト
戸川組の組長に内田朝雄さん、若頭に中庸介さん、老婆に本間文子さんなど、ちょっとしたシーンが豪華です。
さらにすばらしい被弾シーンを披露した今井和雄氏も評価に値すると。
また、前回の苅谷さんに続き、今回も石原プロから森正親さん(飲み屋でゴリさんに絡む男)も登場。
しかし、戸川組での格闘シーンがカット、それもボスが出馬という異例さをあります。

*中条静夫さん
今では港署の近藤課長が代表作という感じになっていますが、私にとってはガードマン小森、大映ドラマなので、地味ながら粋で自然な役柄と、それこそ「殿下とライオン」の感じが中条さんのイメージです。今回は飲み屋のシーンのみの登場ながら私のイメージの前者的な感じで味わい深い・・・。
辰平さんと中条さんというのが、私の中でイメージが似ているんですよね・・・こういう俳優さんは個人的に大好きなので(^_^;)
でも、近藤課長以後の中条さんは演技を愉しんでいる感じがしていて、「あぶ刑事」などは実は中条さん目当てに観ていたフシがあります。

ロケ地:新宿中央公園、妊婦をのせて走るクラウンの背後の工務店建物は現存・町田市小野路町(都道156号)など町田市内でのロケのよう。

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