隊長のブログ

元商社マン。趣味:ヒップホップダンス、ジャズダンス、日舞(新舞踊)、旅行、映画、スポーツ観戦。阪神タイガースのファン。

演劇 63幕 『劇団キンダースペース 「新・復活 2024」』

2024年04月03日 | 演劇

隊長が鑑賞した芝居・ミュージカル・古典芸能・演芸を、紹介する「演劇」の63幕(回)は、『劇団キンダースペース 「新・復活 2024』をお送りします。

 


今日は、既に四月三日。東京では、ようやく桜の開花宣言が出て、今週末が見頃かと言われています。そんな季節になりましたが、1ヶ月前の観劇の記事を遅ればせながらアップします。


3月初めに、劇団キンダースペース 「新・復活 2024」を観に行きました。


「劇団キンダースペース」は、1985年、オリジナル演劇の製作と上演という目的をもって、代表の原田一樹を中心に結成されました。創立以来、年間2本から4本のオリジナル創作劇を、製作・上演し続づけています。 


同劇団の作品は、『紙屋悦子の青春』 を記事にしています。


本作品の原作は、帝政ロシアの小説家・レフ・トルストイによる小説「復活」。

 

 


翻訳・脚色:島村抱月


上演台本・演出:原田一樹


音楽:和田啓


出演者:古木杏子、森下高志、狩野謙、伊藤勉、瀬田ひろ美、川野誠一、深町麻子、榊原奈緒子、関戸滉生(こうき)、ほか。

 

 

あらすじ:19世紀末帝政ロシア。ネフリュードフ公爵(森下高志)はある殺人の裁判に陪審員として出廷した。そこで目にした被告はかつて叔母たちの邸の使用人、カチューシャ(古木杏子)だった。十年前、カチューシャの知性と容姿に触れたネフリュードフは恋におちた。その後兵役についた彼は復活祭の休暇で叔母の家に寄る。強引にカチューシャを口説き関係を持つ。これは将校仲間との賭でもあった。後悔から金を渡し去る。カチューシャは絶望。妊娠が分かる。甥の将来を考えた叔母たちは彼女を放逐。カチューシャは私生児を生み、困窮から娼婦に。酒に溺れ、泥酔したところ仲間の陰謀で殺人の罪を着せられる。

 
法廷。カチューシャはネフリュードフに気づかない。関係の露見を恐れたネフリュードフは有罪に反論せず、陪審員誰もが無実を感ずるが、偏見も手伝いカチューシャは有罪。


大正三年、芸術座「復活」の稽古場。松井須磨子(古木杏子:二役)「カチューシャの唄」の適否を巡って稽古が中断。澤田正二郎ら俳優達と秋田雨雀ら劇団幹部が島村抱月(狩野謙)を取り囲み須磨子の増長を抗議。演出と抱月の「二元の道」にも反発が噴出、多くが脱退する。抱月には須磨子への負い目があった。本妻市子(瀬田ひろ美)が訪れ、離婚を拒否する。


トルストイ「復活」の場面。ネフリュードフはカチューシャの赦しを求め面会に、カチューシャは援助の申し出に不信を募らせる。再審請求も元老院が手続きの不備を理由に却下。カチューシャはシベリア送りとなる。ネフリュードフは周囲の反発を他所に彼女を救う決心を固め、彼女を追い詰めた身分制度も解体しようと自分の土地を小作人に分配。が多くの農民たちは土地を売り堕落する。ネフリュードフはカチューシャを追ってシベリアへ、それは自分自身を救う事でもあった。


大正七年、芸術座。海外公演も成功させて帰国した抱月だが猛威を振るっていたスペイン風邪に感染。稽古に出る須磨子を見送るが、その場で倒れ看る者のない中、絶命する。


シベリア近くの列車、ネフリュードフはカチューシャに結婚を申し出る。カチューシャはネフリュードフへの愛を自覚。だがシベリアで生きることを選ぶ。。。

 

会場は、東京・両国 「回向院」 に隣接する「シアターX(カイ)」。

 

 

感想:九年前のキンダースペース『新「復活」 ネフリュードフとカチューシャ』の再演なのだが、初演を観たことのない隊長にとっても、格段にスケールアップしたと思わせる公演でした。


その一端を感じさせるのが、舞台美術(佐々波雅子)。劇団の公演記録を見ると、初演の会場は同じ「シアターX」なのだが、舞台上に大きく段差を付け、そこがある時は、"ネフリュードフの屋敷” となり、また"法廷” となり、"監獄” となり、最後にはカチューシャたちがっシベリアに送られる "駅のプラットフォーム” になります。立体感のある演出が見事でした。


和田啓が、この作品のために造り上げたオリジナル音楽も、臨場感を増しています。シベリア鉄道のシーンは、まさに映画の一シーンを観ているかのような錯覚に襲われました。


俗っぽい表現になってしまいますが、古木杏子のカチューシャを演じる時の"体当たり演技”と、松井須磨子のクールな演技の使い分けも素晴らしかった。


ネフリュードフ役の森下高志の舞台は、何度か観ていますが、見る度に器の大きな俳優さんになっていると感じました。


唯一、理解できなかったのが、劇中劇としての扱い。本来は、大正三年、芸術座「復活」の劇中劇として、トルストイの「復活」が演じられるのなら理解できるが、トルストイの「復活」で始まり、途中に芸術座「復活」が演じられるのが、分かりませんでした。

 

尚、他の方の感想と舞台写真は、こちらでご覧いただけます 

 

 

==「演劇」バックナンバー ==
http://blog.goo.ne.jp/taichou-san2014/c/e1e335843a7bf9f47fc197f5958cfbd8

1~50幕 省略

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60幕  2023/8/14  『桂宮治独演会』 文京シビックホール 小ホール

61幕  2023/10/12 『劇団匂組 「本郷菊坂菊富士ホテル」』下北沢 シアター711 

62幕  2023/12/10 『劇団民藝「巨匠」』 紀伊國屋サザンシアター


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