「旅の坊主」の道中記:常葉大学社会環境学部・小村隆史の防災・危機管理ブログ

日本唯一の防災学部はなくなっても、DIGと防災・危機管理を伝える旅は今日も続いています。

【10月7日】母の誕生日に

2009-10-07 23:06:55 | 日常の一コマ
台風18号が接近中ゆえ、雨模様の一日。

1限に「災害と人間社会」。1年生向けの、防災・危機管理入門コース。
冒頭、学生時代に身につけておくべき能力と、その目標について話をする。

「読み」 文庫・新書本クラスならば、1時間に60~100ページ
「書き」 1テーマ当たり1200字~1600字を1時間~1時間半で
「パソコン」 ワード、エクセル、パワーポイントを人並みに
「プレゼンテーション」 人前で、聞いている人の目を見ながら話ができるように

ちなみに、後でゼミ生に確認したところ、
「そんなものじゃないですか」「そのくらいなら自分もこなせてます」とのこと。
目標レベルとして、決して高望みではないことが確認できてよかった。

給料カーブの上昇を期待できる職につけるかどうか。
大学4年の間に、しっかりと基礎学力をつけ直すことが出来れば、
そこから先の社会人人生は、決して暗くはない。
だからこそ課しているA4×1枚のレポートなのだ、と。

前回の課題への優秀レポート3名を紹介したのち、今日の本題へ。
「地震防災を考える基本的な視点」として、「分数のイメージを持て」ということ。

分母に、「その場所はどのくらい揺れるか」
分子に、「その建物は、その揺れに耐えられるか」
静岡県地震防災センターの第三次地震被害想定と、全壊率テーブルを手がかりに、
自分の家に想定される被害を考える、ということ。
それを出発点にしない限り、本当の意味での地震防災を考えることにはならない。
地域差もある。個々の家による差もある。「災害は、格差を反映する」

そのことを直視することから、防災は始まる、ということを、最初に説く。
何人かでも、モノを考え始めてくれることを期待しつつ。

2限、3限は、東京消防庁に内定したゼミ生K君を講師に、
1、2年向け教養セミナーのコマを活用した、就職活動の体験談を聞く会。
合計8人の先生が、ゼミ生を連れて参加して下さる。

先輩が後輩に語ることは、教員が学生に語るものとは異なる説得力がある。
そのことを改めて感じさせられる。
一人でも多くの学生が、K君の言葉に触発され、ささやかでもいいから、
何か、具体的な行動を始めてくれるならば、と願うのみ。
そして、教員としては、この種の後輩に語る場をもっとセットしなくては、と、
改めて思う。

毎月第1水曜日は合同学部会議、いわゆる全学教授会に相当する会議。
縁の浅かったゼミ生ではあったが、ゼミ坦として、一人の退学希望者の事情を説明する。
明らかに、防ぎ得た退学であった。

入学直後にGet Together Party的なものを持つだけで
彼を孤独に陥らせるようなことはなかっただろう。
対人コミュニケーション能力が高くはない学生は多い。そうであればこそ、
この種の機会を設けるのが、教員、いや、大学の役割であったはず。
その意味で、悔やまれてならない。

夕方の沼津消防の皆さんとの飲み会は、台風接近によりドタキャンとなる。
臨戦態勢なのだから当たり前のこと。日を改めることとする。

10月7日は母の誕生日。夜、電話を入れる。
何ということではないが……。

「野菜をしっかり食べていますか?」との母の言葉に、
そういえば……、と思い、嵐の前の静けさの中、リンガーハットに。
大手ファミレスとして初めて、食材はすべてを国産野菜にした、とのこと。
野菜ちゃんぽんは、確かに美味であった。そして、
ファミレスで、フードマイルという言葉を聞こうとは思ってもいなかった。
本気で挑戦を始めたみたい。応援しよう!と、心に決める。