「旅の坊主」の道中記:常葉大学社会環境学部・小村隆史の防災・危機管理ブログ

日本唯一の防災学部はなくなっても、DIGと防災・危機管理を伝える旅は今日も続いています。

【9月30日】国際防災協力を考える日?!

2009-09-30 23:17:23 | 国際防災協力
日本のTV、特に地上波を見ることが本当に少なくなった。
ニュース系は、ほぼBBCのWorld News Today。
そのWorld News Todayで、30分に4つも、
国際的な関心事としての災害が報道される日もそうはなかろう。
JCO臨界事故10周年の今日は、そんな日となってしまった。

未明のサモアでの津波、
夕方のスマトラ島パダン近くでの地震、
そして台風16号(Ketsana)によるフィリピン、カンボジア、ヴェトナムでの洪水、
さらにインドでの干ばつ。

被害は現場で起きている。そして、
そこに助けを求めている人がいるなら、
何かができるのではないか。

書生論と笑うなかれ。
そんな素朴な思いを本気で考えている人間だって、
世の中にはまだいるのだ、と。

有難いことに、今日は式典で大学は全学休講。
式典には出ず、10時から24時過ぎまで、
食事の時間を除いて研究室にてともかく仕事。

何とかメールを20通書き、多少はたまったものを処理できたものの、
それでも仕事は終わらず、研究室の書類の山は低くならない。

それでも、夕食を同僚S先生と、いつもの魚河岸丸天富士店。
多少ぜいたくに時間を使ってしまったが、良い気分転換にはなった。

現地に飛ぶことも考えつつ、今日が締め切りの原稿も全然進まず。

【9月29日】神戸町風水害対策図上型防災訓練

2009-09-29 23:16:21 | 地域防災
焼酎のせいか、何のせいかはさておき、
翌日に集中力が求められる仕事があるというのに、夜更かしになってしまう。
3時間ほどうとうとしたのみで、朝を迎える。

それでも、朝が比較的ゆっくりなのに助けられる。
珍しく風呂もシャワーも抜きだったが、朝食はしっかりとって
9時過ぎに大垣駅を出る近鉄養老線で、広神戸駅経由で神戸町役場へ。

夜の間につくっておいたメモに手を入れてもらい、
配布資料として準備。さらに、
その資料を元に進行用パワーポイントを作る。

13時から本番。
前段では、「避難が必要とされる事態とはどういう事態なのか」を
改めて確認する。
内水氾濫ならば、うかつに外に出ないほうが賢明であろうし、
それだけで済むなら、上(二階)への避難はあっても、外への避難は考えにくい。

しかし、気象庁のOさん曰くの「ベルトコンベア」によって、
西の台風と東の高気圧の間に湿った空気が継続的にもたらされるならば、
降雨が続く時間は、ひょっとしたら数日になるかもしれない。

とすれば、怖いのは、いわゆる「ゆでガエル現象」となる。
何せ、町の南東部は、
揖斐川が破堤すれば5m以上の浸水深は覚悟せよ、という場所。
細部では、どういう事態が考えられるか。頭を抱えるしかない。

低頻度ないし極低頻度だが、巨大被害をもたらす事態への対応。
しっかり考えてもらえるような仕掛けを作らなくては、である。

休憩後、気象や水位の警報段階を意識しつつ、
町として取るべき対応について、
まずは避難準備に相当する段階について検討してもらう。

印象的だったのは、岐阜地方気象台のM防災気象官の
警報にもいろいろな「顔つき」がある、との弁。
なるほどなぁ、うまい言い方をするものだ、と。

各種の警報の「顔つき」を見て判断せよ、と。
機会的な処置は決して賢明ではないよ、との教え、肝に銘じる。

総括のフリーディスカッションを経て、17時に閉会。
片付けの後、30分ほど頭が熱いうちに反省会。

ヘトヘトにはなったが、得るところの大変多い1日であった。

富士に戻り、洗たくまではしたが、さすがに疲れ果てる。
明日以降を気にしつつ、ガス欠で布団へ。


PS
このブログをご覧になっている、
防災・危機管理関係のみなさまへ。
今日の配布資料についても、ご関心があるならば、
お名前・ご所属を明記の上、メールをいただければ、
一般化した資料に加工したものになりますが、
添付ファイルで差し上げます。

【9月28日】父の命日に

2009-09-28 23:08:47 | 地域防災
前職時代のフレックスタイムの感覚がずっと残っていて、
何もなければ10時前に職場に、というのが、体に染みついてしまった。
で、本来ならば9時からの1限があると考えて
日々のスケジュールを組むべきなのだろうが、
いつものように?10時前の大学となる。

ゼミ生B君の就職相談。志望動機の書き方で議論する。
さらにH君。彼の場合は深刻で、退学したいとの希望を持ってくる。
学生に「現実社会を直面してくれ」と言うほうが高望みなのかもしれないが、
それにしても、大学全入の時代に高卒で、まともな将来設計を描けようはずもない。

ただ、彼には彼の事情があることもわかった。
そして、その事情のかなりの部分は、大学側にあるように思われてならない。
わざわざ、インターネットで探して本学を志望してくれた学生。
その学生に2年半後、退学願を持ってこさせるようなことをしてしまったのだから……。
考えるところ、深刻な話である……。
「馬鹿な大将、敵より怖い」、か……。

H君の件は、夜にも親御さんに電話することとして、
ともかく、打ち合わせに遅れないようにと、新富士へ。
名古屋・大垣経由で、明日の図上訓練仕込みのため、岐阜県神戸町へ。

水府大垣の北側、揖斐川の西に位置する神戸(ごうど)町。
輪中も残っているが、木曾川水系揖斐川最上流部にできた徳山ダムのおかげで、
まず間違いなく、揖斐川の破堤は考えなくてもよいと思われる場所ではある。

ただ……。
防災・危機管理を考える上での極めて大きな課題であるが、
低頻度か極低頻度だが、巨大な被害をもたらす災害について、
どこまで考えればよいのかは、
私たちに突き付けられた、大きな課題である。

前日の打ち合わせとして神戸町役場で2時間。
さらに、夕食を兼ねたアルコール付きの場で、2時間半。
消防科学総合センターのTさん、Eさん、
消防庁応急対策室のNさん、Aさん、
さらに、先日海浜幕張駅で一緒に飲んだL先生にはご足労をいただいた上で、
いろいろと議論する。

ホテルに戻り、明日の配布資料を作り直す。
まぁ、明日の午前中は仕込みで使えるので、何とかなるだろう。

PS
このブログをご覧になっている、防災・危機管理関係のみなさまへ。
この配布資料を見てみたいという方は、このブログ宛て、メールをいただければ、
一般化した資料に加工したものであれば、添付ファイルで差し上げます。

【9月27日】帰国&日本での日常は寝不足解消から、か……

2009-09-27 23:38:33 | 日常の一コマ
5時半にホテル発。
昨秋、北京での国際会議で一緒したCさんが見送ってくれる。
スムーズにチェックイン&出国手続き。
KALラウンジで搭乗までの時間を過ごす。

免税店でウィスキーや海苔、キムチを買うことを考えたが、
結局冷やかしのみで終わり、ロビー内の「セブン・イレブン」(!)で
キムチのパックを2つ、韓国風かっぱえびせんを1つ、買ったのみ。

JL960便、成田行き。
入国手続きも荷物のピックアップもスムーズに終わったが、
タイミングが悪く、総武線快速は出たばかり。
少し考えた末、稲毛海岸駅を通るリムジンバスを使うことにする。
稲毛海岸駅からはタクシーで、自宅へ。

明日が父の祥月命日。母と線香をたむける。
もう丸三年が経つ。時の流れの速さにはただただ驚くしかない。
仕事ぶりを、どのように見ていてくれているのだろうか……。

母と昼食。土産のキムチ1つを一緒に食べる。
デザートのブドウを食べた後、富士へ向け出発。

途中、買い物などするも、明るいうちに仮寓には戻る。
でも、さすがに徹夜明けの寝不足が出て、
夕食までの仮眠のつもりが、そのまま朝まで、となってしまった。

【9月26日】「中国科学アカデミーの正教授と」「釜山で」「北国の春」を歌う

2009-09-26 23:24:14 | 国際防災協力
さすがに8時間寝ると、気合の入り方が違う。
7時過ぎに自然に目がさめ、シャワー&ゆっくりと朝食をとる。
9時20分過ぎにホテルを出て、前日に引き続き国立プキョン大学へ。
漢字では釜慶大学と書くのだそうな。

午前中に座長を一つ。食糧の安全保障がテーマ。
サハラ以南のアフリカ諸国における絶対的貧困に関わる議論と、
韓国における食品衛生行政の議論なのだから、
同じ言葉を使っていつつも、趣は相当異なる。
しかも、英語を母国語とする者はともかく、第二外国語とする者が多いゆえ、
正直議論は厳しい。でも、何とかかみ合ったようでホッとする。
勇気ある女子学生が質問。
後刻、飲み会の場で大いに讃えたが、妙に照れまくっていたのが新鮮だった。

学食で昼食。その後、理事会。
2010年の北京、11年の京都、12年のフロリダと、
次年度以降の開催地が概ね決まる。
学会誌刊行に向けたタスクフォースのメンバーを引き受ける。

午後はラウンド・テーブルが2つ。
聴衆がいないのは残念だったが。
防災・危機管理の将来方向について合わせて3時間議論。
得難い頭の体操の時間であった。

他国の参加者と、どうも話がかみ合っていなかったのだが、
その理由も見えてきた。
枠組みを考える上での、幾つかの軸も見えてきた。
あとは英語力の向上だが、これは一にも二にも量をこなすことと場慣れしかない。

ともあれ、かくて3日間のプログラムが終わる。
焼肉と焼酎の夕食パーティー。アルコールが入り始めると、
大変なことになるのは、経験済み。ともかく飲ませる&飲まされる。

そのあとはカラオケのはしご。
日本が世界平和に貢献したものがあるならば、それはカラオケの発明ではないか、
との議論を以前どこかで聞いた覚えがあったが、
この日の飲みで、妙に納得してしまった。

国際会議に出るようなメンバーだけあって、選曲は確か。
一人の世界に入るような者は誰ひとりいない。みな、意識して、
みんなで盛り上がれる曲を選んでいる。こういうところはしっかりしているなぁ、と、
感心することしきり。大学&学生では、この逆の例が何回もあったなぁ、と。
つい、比べてしまった。こちらはちょいと(かなり)情けない話だが。

2軒目のカラオケボックスでは、有名な韓国の「バクダン」、
ウィスキーのビール割の一気飲みを2ラウンド。

中国科学アカデミーの正教授と、釜山で、「北国の春」を、
日本語と韓国語?のチャンポンで、1フレーズずつ歌う。
アルコールで気持ちをほぐし、自分の世界に半ば入らせつつ、
でも、キャッチボールもしっかりとする。
こういう時間を一緒にとってこその国際協力なのだろうなぁ、と、
改めて思う。

午前2時にホテルに帰ったのは、ずいぶんと早いお帰りだったのだろう。

翌朝が早い。アルコールで妙に目が冴えてしまったのをこれ幸いと、
完徹で朝を迎える。