「旅の坊主」の道中記:常葉大学社会環境学部・小村隆史の防災・危機管理ブログ

日本唯一の防災学部はなくなっても、DIGと防災・危機管理を伝える旅は今日も続いています。

ゼミのスタンスを再確認

2019-04-05 23:49:37 | 小村ゼミ
10日余のポーランドとドイツへの旅を終え
1日の休息の後、年度が代わって初めて大学に出る。

私の研究室には「ぬらりひょん」がいて、
不在がちな家主に代わり、研究室を守っていてくれる。
今日も研究室に顔を出したら、しっかりくつろいでお茶をしていた。
こういう関係性があるのが嬉しい。

遅れて4年生が2人、顔を出してくれ、
この3人を相手に、新年度のゼミの進め方について、改めて考えを整理する。

新年度のシラバスについてはすでに提出済であり、
読み直してみたが、特に卒論執筆に向けた指導については、
改めるべきものは見つからなかった。
ただ……。

昨年度のゼミ活動を振り返ってみる時、
大変残念なことではあるが、ゼミの良き伝統が途絶えようとしている感は否めなかった。
そのことについて、何とかしなくては、という問題意識は共通だった。

文字にしなくては、また、口に出さなくては伝わらないようであれば、
伝統という言葉には相応しくないのかもしれない。
そこまでしなくては分からないのか、伝わらないのか、という議論はあった。
それでも、新年度初回のゼミの場で、このゼミでの学び方、
ゼミ担任とOB・OGの活かし方について、しっかり話をしておくべきであろう、
ということで、意見はまとまった。

フリーランクからはようやく脱したとは聞くものの、
地方私大のマイナー学部で何を粋がっていることやら、との冷笑もあろう。
それでも、やはり、この3つが、小村ゼミのあるべき姿なのだろう、と思う。

 「先輩に学び、後輩を鍛える」
 「出前講座に出て、冷や汗をかく」
 「本を読む者が集うゼミでありたい」

来週木曜日、新年度初回のゼミでは、
「口に出しては、せんない、せんない」とどこかで思いつつも、
これらの言葉に込めた思いについて説明するつもりでいる。

(4月6日、さかのぼってアップ)

1年ゼミ&2年ゼミに思う

2015-10-14 23:52:30 | 小村ゼミ
内田樹先生の本を読むようになったのは、そんなに昔の話ではない。
ただ、1年生や2年生相手に少人数で議論をする時には、
内田先生曰くの「学びからの逃走」というフレーズを思い出さない訳にはいかない。

仮に2038年という尾池説通りに駿河トラフ・南海トラフ地震が発生するとして、
今年の大学1年生は単純計算41才。

社会の格差は増大。高齢化は行くところまで行く。人々からたくましさは失われて久しい。
インフラ老朽化は相当に進み、新規案件はほとんど無理という状況。……。
そんな時の巨大災害である。

そのような「お先真っ暗」な現実は見たくない。理解したくもない。
薄々は気付いていると思うのだが、そのような現実を直視することを避けるべく、
学びから逃げているのではないか、と、そんな気もする。

もちろん、本来ならば、
「それでもなおかつ!」ということを若者が言わずして誰が言う?!と問いたいところだが、
正面切ってその種の議論をすると、またぞろ、逃げられそうで……。
(それでも、教育とは未来に希望を託すことである、と、言いたいのだが……。)

1年ゼミでは、本格始動なったゼミブログと活動カレンダーを示しつつ、
「こういうことをやりたい」「学生にはこういう経験をしつつ自らを鍛えてもらいたい」と、
まぁ、いつもの説教モードになってしまっていたのだろうが、挑発しまくった訳であった。
それが、未来を託すことであると、「旅の坊主」としては思っているが、
意図に反して、結果としては「学びからの逃走」を生んでしまっているのだろうか……。

2年ゼミでは、先週に引き続き、一般企業の採用試験を意識しての、
20分のグループディスカッションに取り組んでもらった。
自己紹介と自己PRの違いについては、「旅の坊主」は(未だに)ピンときていないが、
ディスカッションとなれば、「オンステージ」をやってはダメな訳で、
場を同じくした仲間から、どれだけ引き出せるかの勝負、と思っている。
2年後期から、毎週1回でも、その種の感覚を養う時間を作っていたならば、
就活本番までに、多少なりとも使い物になるレベルへと引き上げることも可能と思う。

地方私大の准教授が何を言ったところで「ごまめの歯ぎしり」か、と思うことがない訳ではない。
それでも、直接触れ得る範囲についてくらいは、メッセージを発し続けたい、と思うのだが……。

ただまぁ、説教臭くない方法については、「旅の坊主」はまだまだ学ばなくてはならないようである。

(10月20日未明 記す)

【ゼミのブログを見て大学を決める中高生がいることを期待しつつ】

2015-10-12 23:54:23 | 小村ゼミ
この日、三連休の最終日なれど大学は授業のある日。
後期は月曜日が学外研修日の「旅の坊主」ゆえ、研究室に出なくてもよかったのだが、
ゼミ生とブログや情報発信について仕込むべく、10時過ぎから議論&作業。

防災学というのは、日本の中ではまだまだ存在が確定していない学問である。
例えば、災害学は自然科学だが、防災学は本質的に社会科学であるということが、
どれほど認知されているだろうか。
(ちなみに、防災学の一部は人文科学であり、一部は工学でもある。ただ大部分は社会科学。)
まぁ、そのような「学問と言えるだけの体系性を持っているか」どうかもあやしい防災学ゆえ、
「○○大学○○学部/○○研究室で防災学を学ぼう!」と言っても、
中高生にはピンと来てもらえないだろうなぁ、とは思ってしまう。

学内的にも、浮きまくっている小村ゼミではある。
正しくは、真面目に将来を考えている少数の学生には大変高く評価されているが、
そうでない(残念ながら多数派の)学生からは毛嫌いされているのが「旅の坊主」のゼミ。
ただ、声のかけ方によっては何かを考えてくれる学生がまだいるかもしれない、
情報発信の方法によっては、何かが変わる学生もいるかもしれない、ということで、
この日、IT系SNS系に詳しい4年生に手伝ってもらい、ゼミブログを本格始動させることにした。

併せてゼミ生&関心ある学生向けに、出前講座など「旅の坊主」の学内外の活動のうち、
学生が参加可能なものについてカレンダーに入力、予定を入れてもらう際の参考になるようにした。

「一味違う」ゼミとゼミ生の活動でありたい、と思っているが、
ゼミ担が前面に出てばかりでは、学生が乗ってくるとは思えない。
というので、このゼミブログについては、ゼミ生に交代で書き込みをしてもらい、
当方はコメントをするのみにとどめたい、と思っている。

ともあれ、こういうゼミの活動を見て、
自分も、「時代の宿命」と戦う術を身に着けるべく、静岡・富士の地で学生生活を送ってもみてもよいかも、
そう思ってくれるような中高生がいてくれるならば、またそういう若い世代が増えてくれるならば、
「時代の宿命」に遭っても何とかなる日本社会へと変えていけるのではないか、と、思うところ、である。

相手がデカすぎるだけに、そう簡単な話ではないが……。

拙ブログ読者のみなさま、よろしければ、学生ブログものぞいてみて下さいませ。
で、学生諸君に応援メッセージなどいただければ、ゼミ担任としては大変嬉しく思います。

小村ゼミ学生BLOG ~komura seminar~
http://blog.livedoor.jp/komura_bosai_seminar/

(10月19日 記す)

保護者懇談会に思う

2015-09-19 23:55:38 | 小村ゼミ
毎年の恒例行事となった保護者懇談会。

大学生にもなって保護者懇談会かよ、との声があることは百も承知で、
地方私大の教員としては、保護者の方々との意見交換は、大変貴重なもの、と思っている。
ただまぁ、1日で4学年分をやろうというのだから、自ずと面談の時間は限られる。
ゼミ生の半数は欠席としても、単純計算1組当たり15分。これでは実質何も話せない。

(というので、ゼミ生には、それ以外の日に2時間時間を作るから調整するように、と話をしたのだが、
どうも、この指示だけでは動いてくれないようであった……。)

昨年に引き続き、昼食時間前後にかかる保護者の方々に事前に連絡して、
簡単なランチョン含みでの議論の場を設けた。
今回は6名とささやかなものではあったが、いわば本番は10月24日(土)に予定されており、
それに向けた様子見というところ、だったのかもしれない。
(ちなみに本番の?保護者懇談会は、毎度おなじみの「やさい亭」で実施予定。貸切相当の人数が集まればよいのだが……。)

研究室で2組の親子と食事をしながら議論する、というのは、
本学では小村ゼミのみが行っていること、と思う。
親御さんと学生クンが本気になってくれるならば、ゼミ担任としては本気で対峙したいと思っている。
これまでもそうしてきたし、これからもそうしていくつもり。

学生によっては、こういう時間を共に過ごす意味をわかってくれないだろうなぁ、とは思っている。
また、ごくまれなことではあるが、親御さんによっては、現状を理解してもらえないこともある。
都合の良い話を聞きたい、都合の良くない話は聞きたくない、というのは、人の性としては理解できる。
しかし、それが人間の本性だからといって、聞く人に都合の良い話ばかりをしていては、
人生を狂わせてしまうのは学生本人、となる。
保護者からすれば、自分の息子・娘の社会人としての自立(自律)を失敗させてしまう訳だから、
イコール子育て失敗であり、ゼミ担任として関わったからには、何としても避けなければならない。
という訳で、現実は現実として、はっきりと言わなくてはならない。

ランチョンに顔を出して下さるような学生&親御さんであれば、話は楽。
同僚各位も同意見だと思うが、気になる学生の保護者ほど、顔を出すことはない。
(もちろん、例外がない訳ではない。親御さんが思うくらい、本人が考えていてくれれば、と思う時も……。)

まぁ……。
成人年齢を18歳に引き下げようという時代、
大学生にもなれば、自分の将来くらい自分で作れるようになりなさい!と言いたい訳で、
そこからすれば、親御さんが出てくる幕はない、というところ、なのかもしれないが、
現実はそうではない。特に就職活動については!

就活については、親御さんと一緒になって取り組む、というのが、現実的なように思う。
(子供の側が情けなくなった、ということではあるのだろうが……。)

親御さんの側に、就活についての正しい認識があってくれるならば、
就活において、苦戦することは当然あるだろうが、大きく間違えることはないだろう。

そのためにも、保護者懇談会に出て下さい、と言うのはどういうものかなぁ、とも思うが、
少なくても、保護者懇談会の時間を活かしてくれた親御さん&学生クンがいてくれた訳で、
そういう学生クン&親御さんのためならば、週末の1日を使うのも、意味あることなのだろうなぁ、と。

1、2年生向けゼミも本格始動

2015-09-16 23:50:08 | 小村ゼミ
何人かの下級生とは、先週金曜日の拡大ゼミ出陣式で一緒したが、
水曜2限の1年ゼミ、3限の2年ゼミで、下級生向けゼミも本格始動となった。

(ちなみに、妙なもので、出陣式への1年小村ゼミの出席はゼロ。
その代わりに?他ゼミ所属の1年生が3名、顔を出してくれている。面白いものである。)

小規模大学最大の持ち味は、1年生からであれ、ゼミのような少人数教育が可能なこと。
ただ、本来求められる、基礎本を読んで議論をするというレベルの教育を実施出来ているか、を問われるならば、
「ごめんなさい、その域まで達していません」と言わざるを得ないところが情けないところであり、
学生に対して申し訳なくも思うところでもある。

初対面の人と雑談ができるくらいまでのコミュニケーション力をどうやってつけるか。
ゼミの場で近況報告を行わせることで、その力を育もうとしているところではあるが、
もう少しうまい方法があるのではないか、との思いはある。

目指しているのは、過日のDIGセミナーではないが、サロンのようなゼミ。
もっとも、サロンのようなゼミでありたい、などと言うと、本学の教務関係者は怒り出すだろうか。
談論風発の雰囲気こそが学びの雰囲気である、と、「旅の坊主」は信じているのだが……。

基礎的な文献はしっかり読み込んだ上で、時事ネタも含めてお互いに知的な刺激となるような議論を行う。
それこそが、ゼミのあるべき姿。
1、2年生が相手の時間は、3年生以降、そのような時間・空間に耐えられるよう、
しっかりと基礎的な力をつけさせなくては、というところ、なのだろう。

後期最初に読むべき文献も決めた。文字通り、これから本格始動である。