「旅の坊主」の道中記:常葉大学社会環境学部・小村隆史の防災・危機管理ブログ

日本唯一の防災学部はなくなっても、DIGと防災・危機管理を伝える旅は今日も続いています。

沼津市災害ボランティア・コーディネーター養成講座研修、無事終了

2015-06-28 23:43:39 | 防災ボランティア
昨年度に引き続いての沼津市&沼津市社協からの頼まれ仕事、13時間のプログラムが無事終わる。

宮城県南三陸町に襲いかかってきた津波の映像を見せることから始まった今回のセミナー。
津波映像に圧倒されてしまった感があったが、この映像には表れていない2つの事柄こそが、
静岡・沼津で地震防災・津波防災を語る際の最重要ポイント。
つまり、「震度6強の揺れはあるものと覚悟しておけ!」と「目の前で起こる津波ゆえ時間がない!」ということ。

災害ボランティア・コーディネーターというと、
ボランティアセンターにおいて、ボランティア希望者をさばくことが主な活動と思われがち。
養成プログラムにしても、その種のボラセン運営のノウハウ伝達に留まっている講座が多数であろう、と思いつつ、
でも「それでは全く足りないんだよなぁ」「そうじゃないプログラムをやりたいんだよなぁ」というのが、
沼津市&沼津市社協から依頼を受けた時に最初に思ったこと。

家が倒れるかもしれない揺れの直後の津波、という「ダブルパンチ」をいかにイメージさせるか、
そして、そのイメージを持たせた上での、ボランティアとしての支援活動を展開させるか。
沼津市危機管理課と沼津市社協、それに「旅の坊主」の三者で、まぁ、
いろいろと議論しつつ積み上げてきたものを、今回、ぶつけてみたという訳である。

養成講座では、現場を知っている災害ボランティア経験者にアドバイザーとして参加してもらっているが、
今回は、ADRAジャパンのW氏がお手伝いして下さった。
W氏には「何もしなくてもいい。突っ込んでくれればよい」という話をしていた訳で、
ある意味自業自得だが、まぁ、情け容赦ない突っ込みにえらい目に遭った。
でもその分、受講された方々、下は高校生から上は70歳超までの約40名は、
長時間ではあったが、刺激的な時間を過ごしてくれたもの、と思っている。

昨年同様、『岩手日報』に掲載された、発災2週間後、2ヶ月後、6ヶ月後の被災者インタビューを元に、
避難所生活者と在宅避難者に分け、被災者が求めるものがどのように変化していくか、
それについてもイメージしてもらった。
インタビューによって洗い出されたもの、記録されているものは、「困りごと」の1割にも満たないだろう。
表に出た「困りごと」の水面下にどれほどのものがあるのか、それを察した上で手を打つのがコーディネーター。
そんなことを言ってはいるものの、言うは易く行うは難しは百も承知。
でも、やはり、そのことにこだわりたい、と思っている。

2日目になったが、この「困りごと」について一つだけ、今回は「子ども」を取り上げたのだが、
「困りごと」を深掘りして、どのような対応が求められるのか、考えてみようというワークも行った。
やってみると、時間が足りなくなるのが常。
もっと段取り良く取り組んでもらえれば、とは思っているが、ここは「旅の坊主」の大きな課題。

ボランティア・センターの運営者としてのボランティア・コーディネーターについては
ボランティア本部の機能&レイアウト、安全衛生面での配慮、避難所支援に入る際の留意点、
といった点について、議論をしてもらった。
沼津市で活躍中の災害ボランティア・コーディネーター協会「はまゆう」のメンバーには、
活動の概要紹介、また、勧誘もしてもらった。

初日プログラムの終了後、1時間ほど、軽食をつまみつつの意見交換会が出来た。
さらに有志10名余が参加しての「アルコール燃料」付きの意見交換会も出来た。
そういう場の演出も、この手のセミナーを企画する側の仕事だろう、と思っている。
名刺交換は、それなりに行ってもらえたのだろうなぁ。
沼津市危機管理課は初日は2名、2日目は3名が付き合ってくれた。
ただ、沼津市社協は、担当Yさんを除けば顔を出さずだったのは残念。
(顔を出したくでも仕事仕事で顔を出せず、だったのだろう、とは思っているが……。)

とまぁ、駆け足で説明すれば、このような2日でありました。
後期には、フォローアップの機会ももらえるのでは、との話。
静岡県東部においては地侍である「旅の坊主」、その辺りまでは面倒を見なくては、と思っている。

ご参加いただいたみなさま、特に遠路おいでいただいたWさんと三重県伊勢市からのTさん、
ありがとうございました&またお会いしましょう。




1 コメント

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腑におちて (あやこ)
2018-01-30 18:42:31
先生。FBでMさんの沼津VCフォローアップ研修会のご報告を拝見して、興奮がおさえられませんでした(笑)
このような経緯とお考えがあった上での積み上げだと、遅まきながらブログを辿って知りえました。貴重なブログ記事をありがとうございました。

自分のこのところずっとのモヤモヤの原因も、ビジョン提示がなく、その先のCommon Operational Pictureづくりにも繋がっていない故だと感じるところです(この言葉を初めて知りました笑)。

ありがとうございました!

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