「旅の坊主」の道中記:常葉大学社会環境学部・小村隆史の防災・危機管理ブログ

日本唯一の防災学部はなくなっても、DIGと防災・危機管理を伝える旅は今日も続いています。

連続更新半年達成

2015-03-31 22:22:07 | 日常の一コマ
己の情報発信量がまったく足りていない、と痛感するようになって久しい。
本職としての大学での講義は当然のこととして、
それなりの数の出前講座はこなしているつもりだが、それにしても……。

というので、昨年6月から『近代消防』誌上で月イチの連載を始め、
10月からはfacebookと連動しつつ拙ブログ「『旅の坊主』の道中記」も毎日の更新を続けている。
その連続更新も今日3月31日、区切りの半年を迎えることが出来た。

防災・危機管理について何かを、と、思いつつも、
例えば今朝の新聞で報道された南海トラフ巨大地震への支援計画をどう評価するか、など、
防災・危機管理関連の時事ネタを毎日1200字程度書き続けるまでには至っていない。
それこそ、朝刊を読んで、10時頃までに気の利いたコメントでも出せれば、と思ってはいるものの、
まだまたそこまで追いついていないのが実態。

というので、雑感に毛の生えた程度の拙ブログであるが、
少し書き溜めた後、再構成してみようという気になった時、
全体量の2割程度はたたき台として使えるかな、くらいの質は目指したい、と思っている。

人間は習慣の動物と言われるのだそうな。
半年で習慣づけられた、とまでは言えないだろうが、
毎日の発信も、そんなに大きな負荷ではなくなってきている。
とすれば、半年連続更新レベルで達成感など持たず、
質と量の双方において、よりまともな情報発信を、である。

明日から新年度。大学教員生活も16年目となる。
新年度開始に先立ち、今日は新2年生、新3年生の何人かと、
ゼミの進め方についていろいろと意見交換をする。
彼らのためにも、現状で満足するなかれ、と、
自らに言い聞かせている年度の替りである。





小田原市内の中学校&地域向けDIG、新年度に向けた検討が始まる

2015-03-30 23:34:03 | DIG
嵐の前の静けさ(?)の月曜午後、小田原市役所にて、
過去3年間続けてきた市内中学校&地域向けのDIGの今後について、
新年度の実施に向けたブレストを行う。

「旅の坊主」も庵に籠(こも)るべき時期が近づいてきているようで、
地侍でもある富士市や静岡県の仕事はともかく、
実施の仕組みまでは作るものの、そこから先は彼の地の「地侍」にバトンを渡す、
それが正しいもの、と思っている。
とはいえ、小田原市のプロジェクトは過去3年間一緒にやってきたこともあり、
また、モデルケースとして育てていきたいという思いもある。
2時間近い議論の中で、新年度に向けての大まかな構想が固まったように思う。

防災対策課ではなく、地域政策課がイニシアティブを取っているのが、
小田原市での市内中学校&地域向けDIG。
ずっと違和感があったが(今もあるが)、まぁ、そこは触れるまい。

一般論としての防災教育の重要性は、教育者であれば否定することはないだろうが、
いざ自分の中学校で、地域の方々と共に地図を囲んでみよう、となると、
「我が校の生徒には難しい……」という意見が出るのは、止むを得ないものなのか?

経験者から「いや、地域の方々との交流は、生徒の成長にも大変役に立つ」という
コメントもあった、とのことであるが、それにしても、どうしても「やらされ感」は否めない。

「中学生になれば地域の地図を皆で囲むのを当たり前にしようではないか」
とは、なかなかいかない、か……。

それでも、過去3年の活動の中で、小田原青年会議所と建設共同組合なども一緒に活動してくれるようになり、
大人(地域)との交流も、DIGの中で演出できるようになってきている。

中学校区を一つの単位とすると、連合自治会が2つくらい絡むことになる。
単位自治会長と防災リーダー(実態としては自治会の防災部長格)、
それにPTA役員や消防団員が加わり、それに対して、中学生が2、3人、というイメージ。
新年度に予定されているI中学校は、連合自治会が2つ、単位自治会が31あるとのこと。
とすれば、どうせやるなら31のテーブルを用意して、と、思うところもあるが、
まぁ、それは、受け皿となる中学校の判断に任せよう。

ともあれ、

①子供たちには、夏休みの宿題として、地域のリスクを地図上に落としてもらう作業をお願いする。

②同じように、地域の役付の方々にも、地域のリスクマップをあらかじめ作っておくことをお願いしたい。

③当日の流れを確認し、その作業の意味について説明する、
 テーブルリーダー養成プログラムを事前に持つ。出来れば2回実施する。

④地震防災DIGの基本的な流れはおさえる。すなわち、
 「震度6強の揺れのイメージを持つ」⇒
 「震度6強の揺れを受けた時の地域の被害量を見積もる」⇒
 「事前に作っておいたリスクマップを参考にしつつ、地域の強み弱みを見える化する」⇒
 「被害量・強み弱みの分析を踏まえた、改善提案と地域の方々へのメッセージをまとめる」
 というのを、当日の基本的な流れとする、ということ。

⑤出来れば、地域のイベント(例えば地区の2小学校+1中学校の合同講演会)で、
 中学生に地域の方々向けに発表をさせる。

このようなプログラムとして作り上げることを目指そう、ということで、今日の議論は終わる。

防災担当者が異口同音に言っていることだが、「わがこと意識」を醸し出すことは本当に難しい。
これが静岡県内であれば、まだそれなりの下地もあるのだろうが、
発生確率の高さが日本のトップ3(ワースト3?)に入ろうという
神縄・国府津=松田の断層帯をかかえている小田原市においても、
わがこと意識においても、また、まともな防災教育を生徒に行うことについても、
まだまだという感覚は否めない。

それでも、続けていれば、担当者の考え方も整理されてくるし、
他と比べる機会もあれば、何が足りないのかも見えてくる。
それが、継続をしていることの意味、なのだろう、と思う。

11月初旬の実施を目指して、これから具体的な仕込みが始まる訳だが、
何とかしてパッケージを作り、それを横展開させて行かなくては、と思っている。
なかなか難しいことではあるのだが、これからは、この部分に知恵を絞らねば、であるな。

新年度開始前の時間の中で考える:防災の戦術とは何だろう

2015-03-29 23:53:50 | 防災学
来週水曜日からは新年度。
すでに来年度に向けたガイダンス等も始まっているが、それはさておき。

「旅の坊主」自身が提起した、防災の戦略・戦術・戦闘という区分について、
自分自身の中で、「これだっ!」という腑に落ちる区分が出来ていない。
散らかり放題には焼け石に水なれど、仮寓の掃除などしつつ、考えている。

防衛研究所時代に、もっと、いわゆる戦略書を読んでいればよかったのだが、と、
時間を取り戻すことは出来ないが、改めて反省するところが大きい。
「○○の戦略論」といわれても、もちろん何人かの本は読んだものの、
その自分なりの体系性が頭の中に出来上がるほどまでは読み込んでいなかった。
まぁ、他の分野(この場合は防災)に適用可能はほど、哲学的なものがあったのか、
そこについては、いささかの疑問がない訳ではないが、まぁ、それはそれとして。

防災の戦略は予防。これは、きわめてクリアー。
しかし、この戦略目標は、現実的には達成されることはないだろう。
とすれば、予防し切れずに出てしまう被害に対する支援の仕組みを作り、生命と財産を可能な限り守ること。
このような、支援の仕組みを作ることを戦術と考えて良いのだろうか。
この部分が、相変わらず、すっきりしない。

防災は、直接、人の生命・身体・財産に関わる訳で、すぐれて実践的なものなのだが、
つまりは、理屈なんて後付けでよい、要は役に立てばよい、というもの、なのだが、
それでも、いざ、防災の体系性を考えてみると、意外なほど哲学的なものになってしまう。

まぁ、防災に携わっているほとんどの人にとっては、
防災の戦略だろうが戦術だろうが、どうでもよい話に受け止められてしまうのだろうなぁ、
とは思っている。
それがまた、防災という分野の、知的な積み重ねの浅さを示すもの、でもあるのだろうが。

もちろん、無理に哲学とか戦略とかという言葉を使わなくても、
考え方の枠組みをわかりやすく示せれば、それで十分。
実践の学は、まずはわかりやすくてナンボ、なのだから。

「住んではいけない場所に住む」ということが続いているならば、また、続けさせているならば、
どのような支援の枠組みを作ったところで、救える命に限りがある。
生老病死は人の常。今は避難できても、いずれ体の自由は利かなくなる。
医療機関や社会福祉施設の立地を間違うと、
下手をするとその支援者まで巻き込んで、もろともに死を迎えてしまうことになる。
これは何としても避けなくてはならない。

力の入れ方は、戦略に7、戦術に2、戦闘に1、と、
どこかで聞いたような割合であるが、こんな感じになるのだろうか。

こんな、のんびりした、でも、本質的な議論を考えられるのも、
来週からは難しくなってしまいのだろうなぁ、と、思いつつ、
3月最後の週末が過ぎていています。

「ふじのくにDIGセミナーセミナー」新年度第1回は4月11日(土)9時半から

2015-03-28 19:13:28 | DIG
4年目を迎える「ふじのくにDIGセミナー」。

初年度である2012年度は、東日本大震災の記憶も冷めやらぬころ、ということで、
多くの参加者に恵まれたが、それ以降は記憶の風化と共に参加者も減るばかり。
それでも、始めたからには少なくても5年は続けないと!
との思いで、原則として毎月第2土曜日、静岡県地震防災センターで開催している。

DIGについては、ホンモノとは言い難いDIGもはびこっているように思われてならない。
で、そのことを、考案者である「旅の坊主」としては、何とも悔しく思っている。
せめて、毎月第○何曜日に何処に行けば、正しいDIG、あるいは、
正しい「DIGを介した地域防災論議」を誰でも聞くことが出来る、
そういう環境を作らなくては、ということで続けているのがこのセミナー。

新年度第1回は、4月11日(土)9時半から16時半まで
いつものように静岡市葵区の静岡県地震防災センターで実施します。

今回は久しぶりにフルバージョンを行います。
午前中に地震防災DIG初級編(所要時間約2時間半)を体験してもらった上で、
午後、その解説を含めて、DIGを介した地域防災論議について、
参加の方々との意見交換を通じて、より深い理解に達することが出来れば、
と思っています。

遠方からスペシャルゲストも来ていただけるとのことですので、
その方々のウェルカム・パーティーも含めてのアフターも企画中です。
ご関心ある方、多くの参加をお待ちしています。

申し込み・お問い合わせは、
静岡県地震防災センター、あるいは、「旅の坊主」こと小村隆史までご連絡下さい。

【静岡県地震防災センター】
静岡県地震防災センター 〒420-0042 静岡市葵区駒形通5丁目9番1号
電話番号:054-251-7100 ファックス番号:054-251-7300
メール:eq-center@amethyst.broba.cc
ホームページ:http://www.pref.shizuoka.jp/bousai/e-quakes/

【常葉大学社会環境学部:小村隆史研究室】
〒417-0801 静岡県富士市大渕325
電話 0545-36-1133(代)/0545-37-2046(直:ほとんどいませんが……)
FAX 0545-36-2651(共用) 携帯 090-3400-7936
E-mail komura@fj.tokoha-u.ac.jp/dmkomura@nifty.com

富士市DIGセミナー(仮称)月例開催が固まる:毎月第3土曜日は富士市でのDIGの日

2015-03-27 18:55:18 | DIG
午後から、富士市防災危機管理課の旧知の方々4名が研究室を訪問され、
もうすぐ始まる来年度の地域社会向けDIGセミナーのあり方について議論する。

8月にDIGマスター養成講座として2日間のプログラムを2回やってくれないか、
とのオファーだったのだが、
当方から、かねてから考えていた富士市におけるDIGセミナーを第○何曜日と決めて開催することを提案、
本学(小村研究室)と富士市のコラボで、月例のDIGセミナーを実施しようとの方向で、
話がまとまる。

4月は準備期間として、5月16日から原則として毎月第3土曜日に、
まずは本学(常葉大学富士キャンパス)を会場にスタートさせることになった。
(8月期のみ8月1日(土)に実施、また1月はお休み)
最初の3回は本学で実施、その後は要望があれば市内の「地区センター」への出前も検討しつつ、
地震・津波防災(状況により風水害・土砂災害)の基本的なところについて、
6時間といういささか長時間ではあるが、基本的なところをゆっくりと説明出来れば、
と思っている。

聞けば、富士市のハザードマップは好評とのことで(そりゃぁそうだろう!素晴らしい出来なのだから!)
これをほぼコピーする形で富士宮市のハザードマップも発行されるとのこと。
(某航空測量会社は、富士市の担当者からしっかり勉強させてもらったのだが、
そのことをしっかりと自覚していると良いのだが。)
その中にもDIGのページがあるのだが、見開き4ページというコンパクトなものだが、
大変質良くまとめて下さっていることに感謝。
これが雛形になっていけば、とも思っている。

富士市や静岡県東部では地侍の「旅の坊主」ゆえ、
一度始めれば5年は続けないと、と、思っている。
人を集めることが大変だということはわかっているが、富士市にもお手伝いいただき、
ともかく、静岡and/or富士に行けば、しっかりしたDIGとDIGを介した地域防災論議が聞ける、ということ、
そのような定評を得られるまでは続けなくては、である。

防災危機管理課の親しいOさんが、内閣府(防災担当)に1年間出向されるとのことで、
富士市の防災危機管理に携わる者としてはちょっと残念ではあるが、
内閣府防災にしっかりとした地侍の意気込みを伝えてもらいたいなぁ、と願っている。

セミナーの内容については、前半の3時間でパッケージ化されたDIGのプログラムを行い、
後半の3時間ではその解説を兼ねて、地域防災のあり方について説く、
そのようなものにする予定。

というので、ご関心ある方々、遠慮なくお問い合わせ下さい&
富士市内に限りませんので、多くの方のご参加をお待ちしておりますm(_ _)m