今年も、前期毎週月曜の3限、1年生向きに防災&防災学についての入門科目、
「災害と人間社会」を担当している。
時の流れとは本当に早いもので、この科目を担当するようになって16年になる。
1、2年目は、「この種の全般的な話は、もう少し年が行ってからのほうがよい」などと思っていたが、
15年生ともなれば、それなりのことは語れるようになったつもり。
今日は、先週に引き続き、阪神淡路大震災とは一体何だったのか、
そして、その教訓として何を学ぶべきかについて話をする。
たかだか90分やそこらの時間で語りつくせるはずもないが、
平成の時代の防災を決定づけた災害ゆえ、
東日本大震災について触れる前に、やはり、一通りのことには触れておきたい、と思う。
40代半ば以上の防災研究者にとっては、阪神淡路大震災はいわば原体験(の一つ)であろう。
「旅の坊主」にとっても同じこと。
年1回、この講義のために過去の諸々を見直す時、改めて、今に至る原点だった、との思いを新たにする。
まだ、モノが見えていなかった。今から思い起こせば、恥ずかしいほどにモノが見えていなかった。
防災研究者の端くれという自覚はあったものの、本当に情けない限り。
その自戒も込めて、学生には、まずは建物の耐震性があってナンボ、との議論を展開している。
「間違った防災教育による刷り込み」の悪影響は、大変大きい。
耐震性に欠ける旧耐震基準時代に建てられた日本家屋は、ものの8秒で一階が潰れる。
幸いにもEディフェンスでの実験映像があり、学生には多少のイメージを持たせることも出来る。
富士市在住の人口が約26万人。約9万棟の建物があるのだそうな。
そしてその中の約2万棟が、古い耐震基準時代に建てられたもの、とのこと。
Eディフェンスでの実験によるものだが、阪神淡路大震災の揺れを2回ぶつけてみたら、
1回目の揺れには耐えた補強済の旧基準家屋であっても、残念ながら持たなかった。
90年から150年に一度の周期でこの地域を襲ってきた巨大災害。
今の大学1年生が40代になるころ、次が来るだろう。
建物の耐震性確保は、補強ではなく建て直しによって、と思っている。
この時代ゆえに強調しなくてはならないのが格差社会との関連。
「長期蓄積能力活用型」(つまりは幹部候補生の正社員)か
「高度専門能力活用型」(つまりは高度な専門能力を持つスペシャリスト)になれればよい。
しかし、Fラン地方私大の現実をしっかり見つめておかないと、
「雇用柔軟型」(つまりは使い捨ての檄安い労働力)になってしまう。
(以上の表現は雨宮処凛『排除の空気に唾を吐け』講談社現代新書、による)
一方で、「おはしも」「非常用持ち出し袋」「避難場所・避難経路の確認」等々ではどうにもならない現実を、
他方で、ボーナスも時給アップも望めない派遣や請負になったら、まともに住居費も出せないんだぞ
(=耐震性が確保された家に住める保証はないのだぞ)、という現実を、
新入生諸君にはしっかり見つめてもらいたい、と思う。
そして、先に生まれた者として、かつ防災を専門とするのみならず妙に現代社会に関心を持つ者としては、
それを伝えるのが己の義務だ、とも思っている。
次週からは東日本大震災の話に入る。
「鉄は熱いうちに打て」の1年生相手の防災&防災学入門科目。こちらのスタンスも問われている。
「災害と人間社会」を担当している。
時の流れとは本当に早いもので、この科目を担当するようになって16年になる。
1、2年目は、「この種の全般的な話は、もう少し年が行ってからのほうがよい」などと思っていたが、
15年生ともなれば、それなりのことは語れるようになったつもり。
今日は、先週に引き続き、阪神淡路大震災とは一体何だったのか、
そして、その教訓として何を学ぶべきかについて話をする。
たかだか90分やそこらの時間で語りつくせるはずもないが、
平成の時代の防災を決定づけた災害ゆえ、
東日本大震災について触れる前に、やはり、一通りのことには触れておきたい、と思う。
40代半ば以上の防災研究者にとっては、阪神淡路大震災はいわば原体験(の一つ)であろう。
「旅の坊主」にとっても同じこと。
年1回、この講義のために過去の諸々を見直す時、改めて、今に至る原点だった、との思いを新たにする。
まだ、モノが見えていなかった。今から思い起こせば、恥ずかしいほどにモノが見えていなかった。
防災研究者の端くれという自覚はあったものの、本当に情けない限り。
その自戒も込めて、学生には、まずは建物の耐震性があってナンボ、との議論を展開している。
「間違った防災教育による刷り込み」の悪影響は、大変大きい。
耐震性に欠ける旧耐震基準時代に建てられた日本家屋は、ものの8秒で一階が潰れる。
幸いにもEディフェンスでの実験映像があり、学生には多少のイメージを持たせることも出来る。
富士市在住の人口が約26万人。約9万棟の建物があるのだそうな。
そしてその中の約2万棟が、古い耐震基準時代に建てられたもの、とのこと。
Eディフェンスでの実験によるものだが、阪神淡路大震災の揺れを2回ぶつけてみたら、
1回目の揺れには耐えた補強済の旧基準家屋であっても、残念ながら持たなかった。
90年から150年に一度の周期でこの地域を襲ってきた巨大災害。
今の大学1年生が40代になるころ、次が来るだろう。
建物の耐震性確保は、補強ではなく建て直しによって、と思っている。
この時代ゆえに強調しなくてはならないのが格差社会との関連。
「長期蓄積能力活用型」(つまりは幹部候補生の正社員)か
「高度専門能力活用型」(つまりは高度な専門能力を持つスペシャリスト)になれればよい。
しかし、Fラン地方私大の現実をしっかり見つめておかないと、
「雇用柔軟型」(つまりは使い捨ての檄安い労働力)になってしまう。
(以上の表現は雨宮処凛『排除の空気に唾を吐け』講談社現代新書、による)
一方で、「おはしも」「非常用持ち出し袋」「避難場所・避難経路の確認」等々ではどうにもならない現実を、
他方で、ボーナスも時給アップも望めない派遣や請負になったら、まともに住居費も出せないんだぞ
(=耐震性が確保された家に住める保証はないのだぞ)、という現実を、
新入生諸君にはしっかり見つめてもらいたい、と思う。
そして、先に生まれた者として、かつ防災を専門とするのみならず妙に現代社会に関心を持つ者としては、
それを伝えるのが己の義務だ、とも思っている。
次週からは東日本大震災の話に入る。
「鉄は熱いうちに打て」の1年生相手の防災&防災学入門科目。こちらのスタンスも問われている。