「旅の坊主」の道中記:常葉大学社会環境学部・小村隆史の防災・危機管理ブログ

日本唯一の防災学部はなくなっても、DIGと防災・危機管理を伝える旅は今日も続いています。

9月期ふじのくにDIGセミナー

2015-09-12 23:49:13 | DIG
毎月第2土曜日は、静岡県地震防災センターの一室をお借りしての「ふじのくにDIGセミナー」

始めたからには5年は続けなければ、と思いつつも、何とも情けないのは己の情報発信力不足。
今日も何とか開催にこぎつけたような次第。

初年度の2012年度は50名を超える参加者を得た回もあり、セミナーとしてもそこそこ成立していたが、
今日の参加者は「旅の坊主」を含めて9名。残念ながら本学学生の参加はゼロ。
(ここは何とかしなくては、なのだ!)

レギュラーメンバーとして毎月参加して下さっているTさん曰くの「サロン」。
まぁ、サロンにはサロンの意味もある、とは思っている。ともかく続けることが重要、と。

で、サロンであるからには、何かしらの話題がなくてはサロンが成り立たない。
という訳で、毎月「新ネタ」を提供できるか否かが、「旅の坊主」にとっては大きな課題。
今月の新ネタは、一週間前に脱稿・入稿したばかりの防災教育についての拙稿を配布、
「旅の坊主」自身がところどころ補足を入れつつ読み上げる中で、いろいろな意見をいただいた。

都市計画法、農地法等々の既存の法律が穴だらけではないか、との指摘。
古く危険な建物を(代替わりを待つのではなく)いかに早くつぶすかを目指すべき、との提言。
非住居の古い家への課税強化、等々。
大きなスケールでの議論を出来るということを、有り難く思っている。
もちろん、これを具体的な政策レベルまで引き上げるのは、我々プロの仕事。
つまりは、過日の原稿レベルではなく、もっと本気モードのものを書けよ!ということ、なのだが……。
(そして、そのように「旅の坊主」に期待もし、プレッシャーをかけて下さっている人の存在に、
感謝しなくてはならないのだろう。)

終了後、埼玉・さいたま市に帰るKさんに加え、
「サロン」をいわば「出待ち」して下さったIさんOさんも含めて合計6名、
2時間ほど飲み食しまた議論する。
(車ゆえ、ノンアルモードでのお付き合いではありましたが……。)

この輪をどうやって広げていくのか。
しっかりと知恵を出さなくては!

8月期の「DIGセミナー」はダブルヘッダーで実施(その2)

2015-08-02 23:51:04 | DIG
昨日に引き続き、今日は静岡県地震防災センターで「ふじのくにDIGセミナー」。

開催広報の手段に大幅な改善の余地あり、ということで、
毎回、限られた人数での開催となってしまっている。

若干の裏話を言うならば……。
県が例月開催しているDIG・HUG・イメージTENのセミナーは、
県主催ということで、地震防災センターのHPに掲載してあるのだが、
3つのプログラムすべてが毎月行われている訳ではない。
DIGセミナーは、センターがHUGやイメージTENを開催している月(DIGセミナーのない月)も、
地震防災センターをお借りして「自主開催で」行っている。
ただ、自主開催企画まで県HPを拝借してPRするのは筋違いだろう、との思いもあり、
今月のような「自主開催」の月についてはDIGセミナー開催の案内は地震防災センターHPになく、
facebookにセミナーのページを立ち上げて開催案内をしているものの、
一般の方の目にはなかなか開催情報が届きにくい、というのが現状である。

(当然、この部分を何とか変えなくてはならない、ということになるのだが、
先送り先送りで今に至ってしまっている。反省することしきり、だが、「反省だけなら猿でも出来る」か……。)

富士市DIGセミナーでテーブルリーダーを務めて下さっている地域防災指導員の方々のように、
中核となるメンバーを募り、セミナーの中で本気で議論し、
その方なりの「防災の物語」を語れるようになるまでお手伝いして、
で、いずれは、あるべき地域防災をしっかり意識したDIGを拡げて行ってもらいたい、
まずは、そういう希望(というか目標)がある。

「あるべき地域防災の姿とは何か」「本当のDIGとは何か」「今までの防災論議はどこかおかしいのではないか」と、
真剣に考えているが故に迷っている方々が集えるような場所、出会えるような場、
それを実現させなくては、と思う。
まずは、DIGで検索すればひっかかる、まともなサイトを作ることが求められ、
そして、基本となるテキストを作らなければ、ということでもある。

幸いにも、試験とその採点が終われば夏休みとなる。
昨日の拙ブログ更新でも書いたが、この間に、どこまで仕掛けられるか、ということ、なのだろう……。

話を「ふじのくにDIGセミナー」に戻そう。
今日の参加者は10名だった。

議論自体はどこに出しても恥ずかしくない水準のものだとは思っているのだが、
逆に言えば、得てして、「常連さんの間で」マニアックに議論に走り過ぎる傾向は否めない。
その点、今日は、うまい具合にブレーキをかけて下さる方がおられた。

静岡市駿河区で民生委員としてご活躍中ながら、
災害時の民生委員の役割について具体的なイメージを持つことが出来ず、
それゆえ模索の中におられた在住のKさんがその人。

初参加のKさんを基準と考え、Kさんが加われるような議論(話題設定)になっているか、
腑に落ちていないようであれば、専門用語はかみ砕いて説明しあるいは言い換え、
状況によっては細部あるいは背景を補足して、「今、何を議論しているのか」「その意味は何なのか」を
普通の人にもわかってもらえるレベルにする、それらのことが、
セミナー企画者である「旅の坊主」には求められている。

どこまで理解して下さったのか、腑に落ちたのか、そこはわからないが、
いわゆる「理解している者だけが楽しげに議論をしている様」は、避けられたと思う。

会場のある静岡市のみならず、Kさんがさいたま市から、別のKさんは三島市から、
また別のKさんは県東部の清水町から、さらに別のK先生は浜松から、Mさんは豊橋から、
と、遠方であるにもかかわらず、参加して下さる方々がいることに頭が下がる。
これらの方々をテーブルリーダーとして、一般の方々にDIGを介した地域防災のあるべき姿を考えてもらう、
そのためにも、近々始まる夏休みをどう使うか、そこが問われている、とは思っている。

2日連続となると、さすがに体力的にきついものはある。
この夏の間に、ITの力を借りて、多少なりとも効率的なセミナー運営ができるよう、
知恵を絞らなくてはならない。

幸いにも、やるべき課題は見えている。多少の蓄えもある。
涼しくなるころまでには、少しは前進した「DIGセミナー」の姿を見せたいが、
さて、どうだろう……。

8月期の「DIGセミナー」はダブルヘッダーで実施(その1)

2015-08-01 23:50:25 | DIG
8月期の2つのDIGセミナー、
「ふじのくにDIGセミナー」(於:静岡県地震防災センター)と「富士市DIGセミナー」(於:常葉大学富士キャンパス)は、
前者は例会の会場である地震防災センターの都合で、後者はお盆にぶつかることを避け、
いつもの第2、第3土曜日ではなく、8月最初の週末に連続で行う事になった。

初日(?)の今日は、「富士市DIGセミナー」の8月期開催分。
いつもの本学2101教室で、市内7地区から約50名の参加を得て、にぎやかに行うことが出来た。

有り難いことに、富士市防災危機管理課からは、担当の3名のみならず、
担当の一人Sさんが、同期入庁組や同僚・後輩達にも声をかけてくれたようで、
比較的若手の市役所職員が何人か混じり、さらに、看護師数名も参加して下さっていた。
こういう、多くの職種が入り混じってのセミナーこそ、あるべき姿、と思っている。
7つのテーブルには、それぞれ1名以上、地域防災指導員の方々がついて下さった。
指導員の多くは何度もDIGセミナーに参加して下さっており、
地震防災DIGの流れも、ファシリテーションのポイントも、理解して下さっている。
というので、どこに出しても恥ずかしくない、充実したセミナーになった。

市民向け地震防災DIGで追求すべきポイントは、基本線は変わらない。
(なお今回は、以下で述べる3の位置づけを少し大きくした。)

1 震度6強の揺れのイメージを持たせる中で、災害対応時に自分が果たすべき役割を確認させる。
併せて、その役割を果たすために必要な予防策と事前準備を洗い出させる。

2 地域の地図(1/1500図程度。A0版で横1km×縦1.5km程度)の地図に取り組ませ、
地域のリスク要因と地域の強み&人的物的防災資源の確認をさせる。
その際、地域で覚悟しておくべき被害量について、旧耐震基準時代に建てられた日本家屋
(いわゆる既存不適格の木造住宅)の数を手がかりに見積もりをさせる。

3 1/20万地勢図を用いて、覚悟しておくべき南海トラフ地震(旧称東海・東南海・南海地震)の
被災範囲について、面的な被害イメージを持たせる。
(注:「旅の坊主」の防災論議では、原則的にレベル2の議論はしない。)

4 2と3、つまりマクロな災害理解とミクロな災害理解を踏まえた上で、
①地域で覚悟しておくべき被害量、②地域の強みと弱み、③地域が取り組むべき課題、
④地域の方々へのメッセージ(予防・対応・復旧復興の3つに分けて)、を模造紙に整理させる。

地域防災指導員の方々が、回数を重ねていく中で、勘所を押さえて行ってくれている。
さすがは、富士市の防災仲間、と思うところ。
このような場に多くの参加者・見学者が来てくれることで、
DIGを介した正しい防災の物語の語り部を増やしていければ、と思うのみ。

「継続は力なり」ではあるが、平行して、世の中で当たり前に活用されているレベルまでは、
HP等をしっかり充実させなくては、である。
それはこの夏休み期間中に、ということになりそう。

朋あり、遠方より来る、また楽しからずや。

2015-07-18 23:49:03 | DIG
毎月第3土曜日は、富士市DIGセミナーの日。
大学近くの総合運動公園で野球とサッカーの大会があり、渋滞が予想されるというので、
今日は会場を変更、富士市社会福祉協議会のある建物群「富士市フィランセ」大ホールで9時半から16時半まで。
加えて終了後、いつもの「丸天」へと場所を変えての意見交換会、という一日であった。

午前中と午後と、それぞれ、素晴らしいゲストが顔を出して下さり、
大変幸せな気持ちで、セミナーを進めることが出来た。

午前中のゲストは、8月14日実施予定の土砂災害理解教育DIGのプロジェクトでもお世話になっている、
「一般社団法人防災ジオラマ推進ネットワーク」のグループのお三方。
http://bosai-diorama.or.jp/

段ボールを使った防災ジオラマ(立体地図模型)を作ることで、地域理解教育なり防災教育に活かせないか、とご活躍中。
時間の関係で、午前中のみしかおいでいただけなかったが、
DIGの雰囲気なり、地域防災への思いなり、持ち帰っていただけたならば何より、と思っている。

お三方それぞれに、地域防災への思いをぶつけてもらいたかったのだが、
代表して、石巻からわざわざおいでになったKさんに、ショートスピーチをお願いした

石巻では、ご自身も工場も被災されたのだが、その話は時間の制約もあり、さらっと触れたのみだった。
だが、被災されつつも、Kさんとそのお仲間は、本業である強化段ボールの製造業というノウハウを活かし、
強化段ボールを使った学校への備品提供でご活躍された。

被害を受けた学校は、別の学校の空き教室や体育館・武道館等を間借りして、仮の教育を再開させた。
その際、下駄箱やロッカー、パーテーション等々も、可能な限り揃えたい、と思うのは当然のこと。
強化段ボールは、そのような期待に十分応えられるだけの強度を持ち、
何より、現場採寸から納品まで1日とか2日という、ごくごく短時間で対応してきた、とのこと。

一般の方には少し縁遠い話だったかもしれないが、同席して下さった市の防災危機管理課のSさんなり、
Sさんの同期入庁組の皆さんには、「これは良い話を聞いた!」ということになったのでは、と思う。

今日のセミナーは、市内在住在勤の地域防災指導員の方々など約40名が参加してくれた。
拡大小村ゼミからは2名が助っ人として参加。他に旧知の三島のSさんも。
基本的にはいつものパターンなるも、新ネタを2つ盛り込んでのセミナーを展開させてもらった。

参加者の中で特筆すべきは、市内の建築士会の方が4名ご参加下さったこと。
10月には、「富士市DIGセミナー」の一環として、建築士の方々向けのDIGセミナーも実施予定。
今回の参加は、それに向けた下調べ、ということだったのだが、1日お付き合いいただけたこと、本当に嬉しく思う。
地域の人的資源の掘り起しは、防災を考える上で必要不可欠なこと。次の展開が大変楽しみである!

午後は、こちらは文字通りのサプライズだったのだが、
(facebookにメッセージをいただいていたのだが、当方が確認していなかったのが問題だったのだが)、
災害医療・救急医療・危機管理に情熱をもって取り組んで下さっているA先生が顔を出して下さった。

最初は、「市の方が情報提供してくれたから顔を出してくれたメディアの人なのだろうが、
それにしても良く似ているなぁ」という、何とも間の抜けた反応だったのだが、
近づいてよくよく見れば、A先生ご本人。これは本当に嬉しかった。

地域防災はいかにあるべきか。「旅の坊主」流のメッセージについて、何かしら、感じてくれたならば、
学会帰りに途中下車して下さったとのことだが、その価値もあったもの、と思う。

参加された方々には、4つの「正しく」を追求したい、とのテーマ設定をお伝えした。

・揺れのイメージを「正しく」伝えたい
・被害の全体像を「正しく」伝えたい
・被害の見積もり方を「正しく」伝えたい
・対策の方向性を「正しく」伝えたい

いずれも、もう少し整理することが必要、とは思っているが、大きな修正は必要ないだろう。
いずれのテーマも「覚悟しておくべき、巨大災害の姿を思い浮べつつ」というのは共通。

そして、対策の方向性については、試行的ではあるが、
「予防」「対応」「復旧・復興」の3つに分け、3つのメッセージとしてまとめてもらえないか、
との課題も投げてみた。

まだまだ、洗練しなくてはならない点は多いが、こちらも、多分この線で大きな間違いはない、とは思っている。

午後の部には、富士市防災危機管理課から内閣府に出向中(単身赴任中)のOさんも、
三連休ということもあって富士に戻って来ており、DIGセミナーに顔を出して下さった。

で、こういう方々と一緒に、いつもの丸天で飲み交わしつつ、
終了後のクーリングダウンも兼ねて議論できる、というのが、嬉しい。

富士市の防災人の素晴らしいところは、
市の担当者も災害ボランティアも、地域防災指導員も普通の市民も社協職員も、もちろん大学教員も学生も、
「一杯やろうよ!」で集まれること。
もちろんそのような人間関係は、一朝一夕にして出来たこと、ではない。
でも、こういう方々と一緒に活動が出来ているからこそ、まだまだがんばらないと、という気になろうというもの。

A先生も懇親会に参加して下さり、富士市の防災人との議論に混じって下さった。有り難い話。
大きな課題も見つかった。「がんばれ、は、自分に言い聞かせる言葉。」改めてかみしめる。

A先生を新富士駅まで送り、学生2人をそれぞれ自宅まで送った後は、さすがに疲れた。
というので、レポート添削があることは十分認識しつつも、かなり早い時間にベッドへ。

7月期の「ふじのくにDIGセミナー」無事終了なれど、課題は多し!

2015-07-11 23:51:22 | DIG
毎月第2土曜日は、静岡県地震防災センター(静岡市葵区)での「ふじのくにDIGセミナー」。

「やるからには5年間は続ける!」との思いで始めて何とか4年目に入っている。
今回のセミナー、外見的には今までと同じなのだが、ある重要な部分が実は異なっている。

同じ「ふじのくにDIGセミナー」の名前を使わせてもらってはいるのだが、
今回の開催は地震防災センター主催(=県主催)のセミナーではない。
いわば「チーム小村」のボランティア開催であり、その会場に地震防災センターを拝借した
(無料で使用させていただいた)、というのが実態。今後、この形態の開催が増えると思っている。

この種の企画をボランティアでもやりたい、否、やらなくては、と思っている身としては、
使いやすいセミナー会場を無償で提供して下さっていることは、ありがたい限り。
ただ、大きな課題となるのが、参加者を集めること。

午前の部は9名、午後の部は10名の参加を得て、しかも県外の方の参加も得て、
無事に終わらせることが出来た。
それでも、参加人数のみならず、幾つもの課題がそのまま残っている。

手前味噌ではなく、質の良いセミナーを行っている自信はある。
しかしながら、メディアへの露出の問題か(つまりはメディアへの頼み方が下手ということなのだろう)、
あるいはHPが未整備なのが問題なのか、理由は幾つもあろうが、
何人かのレギュラー陣は固まりつつあるが(皆さんには本当に感謝している)、
その輪ももう一つ大きくならない。

その一方で、「そのDIGは、地域防災の上で大変大きな間違いがあるだろうに?」と思うようなDIGに、
また、(考案者が関知していない)DIGファシリテーター養成講座なるものに人が集まっている現状もある。
(そう簡単にDIGのファシリテーター養成が出来れば、地域防災など苦労しないのだが……。)

ともあれ、潜在的なセミナーのニーズはあると思うのだが、
彼らの目の届く範囲に、このセミナーの情報が届いていない、ということ、か……。

少し前、ようやく、FB上でDIGセミナーのページを開くことは出来た。これが一つの前進。
しかし、「DIG【検索】」「DIGファシリテーター養成講座【検索】」「DIGマニュアル【検索】」等々でひっかけてもらえるような物が
「旅の坊主」の側には、未だにない。まぁ、そこが最大の問題か。

現時点でも片手ほどの原稿を抱えてしまっている。我ながらその種の原稿の進まなさ具合は情けないほど。
学期中であれば、毎週の課題レポートの添削にも、かなりの時間を取られてしまう。
ただ、それらのことは、この稼業にいる者であれば、当たり前にこなしていること、ではある……。
やはり、具体的にはまずはHPの充実、ということ、なのだろう。
手応えある議論が出来た1日だっただけに、もっと多くの人達に向けてメッセージを発するための工夫を、
そのことを考えざるを得なかった。

もう一つ、大きな課題は、月1回ながら丸1日という少なからぬ時間を費やして、セミナーに参加して下さっている方々へ、
何らかの形で「出番」を作りたい、ということ。
つまらんお免状ビジネスに堕すつもりは毛頭ないが、それでも、何らかの技能認定の仕組みは、
考えなくてはならないのかもしれない、とは思っている。
また、飲み代の多少になるくらいは、お礼の気持ちを形に表したい、とも思っている。
とすれば、こちらはスポンサー探し、ということ、か。

いずれにしても、がんばらねば、であることは間違いない。