「旅の坊主」の道中記:常葉大学社会環境学部・小村隆史の防災・危機管理ブログ

日本唯一の防災学部はなくなっても、DIGと防災・危機管理を伝える旅は今日も続いています。

静岡県総合防災訓練に思う

2012-09-02 23:09:58 | 防災訓練
朝が早いことはわかっていたが、3時過ぎまで
NHKの「シンサイミライ学校 楽しく!真剣に!学ぼうBOSAI」を見ていた。
先生役は見知った顔ばかり。
(この番組についても、いずれこのブログで触れなくては、である。)

眠い目をこすっての朝。
でも、めずらしく、ホテルの朝食をいただく。

8時少し前に、静岡空港へ。
空港ターミナル直近の、防災ボランティアのための訓練会場に着く。

8月30日の政府・静岡県共同の防災訓練に引き続いての防災訓練参加。
この日は、静岡県ボランティア協会らボランティア関係者による訓練の
記録係兼チェッカー役としての参加。

訓練(というよりもイベントでありデモである)の企画意図は極めて明確。

つまりは、静岡空港を広域防災拠点として位置付けたい、
そのために、しっかりデモをしよう・させよう、という話。

長さ2500m幅60mの滑走路一本の地方空港ゆえ、
拠点としての整備といってもおのずと限度はあるが、
周辺は空き地ばかりゆえ、自由に絵を描けるならば確かに魅力的ではある。

ではあるが、普段は何に使うのかが明確でないものは、
本当に役立つものとはなり得まい。
そこが、今後の注目点であろう。

藤枝のボランティアグループが支援に来てくれていた。
中に見た顔が一人、教え子Y君であった。
地元のおばさま方にかわいがってもらっているようで何より。

静岡ボラ協の主要スタッフが全員参加しての訓練であった。
本番の時、この静岡空港で、誰が受け皿の中心役を担うのか。
極めて大きく難しい課題である。

この日の訓練で特徴的だったのは、
陸上自衛隊の君塚栄治幕僚長ご自身が視察されたことと、
米軍(陸軍・海兵隊)関係者の視察が目立ったこと。
そういうことなのだろうなぁ、と、背景も容易に想像できた。

終了後、川勝知事は、磐田市長と共に滑走路を背に記者会見。
この時、記者の質問に答えてのものだったが、妙な発言があった。
来年度の防災訓練は、南海トラフ沿いの巨大地震の被害想定でやる、と。

本気で南海トラフ沿いの巨大地震・津波の被害想定でやるならば、
全国各地から救援に来る消防・警察・自衛隊・DMAT等々のメンバーも
当然のことながら他の被災地にも行かなければならない訳で、
静岡県内への投入量は、自ずと小さいものにならざるを得ない。
その、全国規模での割り振りのむずかしさを
十分理解した上での発言だったのだろうか……。
まぁ、仕込みの時間は十分ある。
しっかりと議論させてもらおう。

訓練終了後、静岡県立大学のY先生を静岡駅まで送る。
その後、東名経由(途中のPAで午睡)、富士の仮寓へ。
翌日からの3泊4日の宮崎ツアーに備える。



(9月13日 さかのぼってアップ)

NHKの「防災の日」特別番組にも、にこチャンあり困ったチャンあり、か

2012-09-01 23:29:09 | 災害
9月1日、防災の日。
幸いにも仕事のない土曜日、夕方まで仕事場で雑事。

翌早朝からの静岡県総合防災訓練(於:富士山静岡空港)に備え、
夕方から愛車プラドで、東名経由、吉田IC近くのホテルへ移動。
途中、静岡ICで降りて、盟友、パシフィック・コンサルタンツのYさんと合流、
静鉄日吉町駅近くの、いかにもの洋食屋「キッチンうち山」にて夕食。

結局この日は、NHKの防災番組を3本見ることになった。

率直に言って、「釜石の“奇跡” いのちを守る特別授業」
これはひどかった。少なくても、玄人受けするものではなかった。

http://www.nhk.or.jp/special/detail/2012/0901/index.html#hosogo

http://www.nhk.or.jp/special/eyes/13/index.html

「避難で命は守れるかもしれない。
しかし、避難で人生は守れない。まちも救えない。」

この番組を見て、この厳然たる事実を改めて確認した。

片田先生は、口癖のように、
「10年経ったら大人になる。20年経ったら親になる。」
そう言っておられたはず。
であれば、この番組の中で、
「大人になったら、何ができるおとなになるか。」
それを問うて欲しかった。

番組の中に、
避難しようとしない祖父母を必死になって説得しているシーンが出てきた。
静岡の地震・津波防災を考える上では、そんな時間的余裕はない。
そもそも、東日本大震災では、「ダブルパンチ」、
つまりは、「家がつぶれるような揺れの直後の津波」はなかった。
見ている人に、
揺れが収まってから津波の襲来まで(避難の是非を議論するくらいの)時間的余裕がある、
と思わせてしまいかねない「メタ情報」もあった。
静岡で防災教育をやっている身としては、勘弁してくれ、であったが……。

12月、例の高知県黒潮町でワークショップを行う。
メインテーマは、
「執行猶予の25年をどう使い、災害に強い黒潮町へと変えていくか」
にするつもりである。
子どもたちには、「避難で人生は守れない。まちも救えない。」ということを
徹底的に教え込みたい。

「でも、大きな地震は今すぐ来る訳ではない。
平均すれば20年以上の時間の余裕がある。
だから、その時間をかけて、地震と津波に耐えられるまちに変えて行こう。
そのためのアイディアを、これから一緒に議論しよう。
そして、大人になったら、それを形にしてほしい。」

そんな話をしたいと思っている。

長くなった。
他の2つの番組については、稿を改めて。

(9月13日 さかのぼって記す)