「旅の坊主」の道中記:常葉大学社会環境学部・小村隆史の防災・危機管理ブログ

日本唯一の防災学部はなくなっても、DIGと防災・危機管理を伝える旅は今日も続いています。

富士~湯河原

2005-06-22 23:07:59 | Weblog
 6月22日(水)

 前期水曜の講義は2コマ。都市防災システムについては先に触れたので、
今日は1年教養セミナーの話を。

 要するに高校のホームルームの延長。とはいえ「多少はアカデミックな香りを」
という思いはあり、毎週毎週、ない知恵を絞ることになる。

 2枚のDVDを比較する。
 一つは、かのマイケル・ムーア監督による『華氏911』。
 やはり、ジョージ・ブッシュが、WTCに1機目の航空機が突っ込んだこ
とを知らされた後も予定を変更せず、小学校の子ども達を前に絵本を読んで
いるシーンが見もの。その最中、2機目が突っ込んだことを知らされる。しかし
ながら、藪君は具体的な行動を取ろうとはしない。藪君の頭をよぎったかも
しれない諸々が、ナレーションとしてオーバーラップする。

 「少しは、まじめに報告書を読むべきであったか……」

 ラムズフェルド国防長官とサダム・フセインが親しげに握手を交わしている
シーンが印象的。彼らからすれば、消し去りたい過去ではあろうか……。

 もう一つは『9.11 NY同時多発テロの衝撃の真実』。
 ニューヨーク市消防局のルーキー消防士のドキュメンタリー映画を撮影して
いたクルーが、彼について「たまたま」WTCに行き、その一部始終を映像と
して残してくれたもの。

 たとえトップがどのような人物であろうとも、彼(彼女)がいかにデタラメな
政策を行おうとも、そしてそのデタラメな政策が当然の反発を呼ぼうとも、助けを
求めている人がいる限り、消防士は突っ込んでいく。
 そして、ある者はその場で倒れる。

 NYFDでは、殉職者が出たとき、5点鐘(カーン、カーン、カーン、
カーン、カーンと、鐘を5回連続で鳴らすこと)を4回繰り返したという。
 DVDの最後に、殉職した消防士の写真が現われては消える。

 1年生対象の「ホームルーム」としては、あまりに重い課題だろうか?
 教える側の自己満足???

 同僚のM先生、F先生と富士駅近くの居酒屋で「ノミニケーション」。
                 (この日を思い出しつつ、7月11日に)

湯河原~富士

2005-06-21 23:54:15 | Weblog
 6月21日(火)

 ありがたいことに講義のない日。来客が2組。

 日立製作所デフェンスシステム事業部のHさんとIさん。Hさんとは防衛
研究所時代以来、6年ぶりくらいの再会。防衛用に開発中の小型無人飛行機
を災害用に使うことについて、2時間ほど意見交換。

 県域の被災状況をつかむためには、(ヘリテレにもメリットは多いが)やはり
有人の固定翼機がいい。搭載カメラでハイビジョン級の高画質動画を撮影、
衛星経由で地上に降ろす技術も開発済みという。しかも、被災前と比較しな
くても、かなりの精度で被災規模の算出が可能な画像処理技術もある。

 ただ……。
 残念ながら(当然のことながら)航空機の維持費が悩みの種。空自のU125
でも使えればよいのだが、それには「若干の」政治力が必要か……。

 小型無人飛行機は、市町村や国交省の工事事務所単位にふさわしいと見た。
天候状態(特に風)によるが、時速50kmほどで1時間、よければ2時間
飛べるとのこと。地元に詳しい人の集団が被災前後を比較すれば、相当高い
精度で被災状況の把握が可能となる。こいつは「美味しい!」
 問題は価格&維持費。100万円を切れば可能性はあると思うが、そこは
日立さんがどう判断するか、見ものである。

 引き続き、地元大渕中学校3年部のN先生とM先生。7月7日(木)午前、
総合学習の一環として防災実習に協力をお願いできないか、との申し入れ。
大渕中との付き合いも4年目になろうか。防災実習の支援は2回目となる。
今回の対象は130名。

 「ホットケーキミックスとココアパウダーで作る断層モデル実験」をし、
 「ココア味ホットケーキ」を「さあて不思議な卓上コンロ」で焼いて10時のおやつ。

 さらに「ほのぼのあかり」&「ペットボトル浄水器」を作り、
 お昼ご飯は「ジュース味のハイゼックスご飯」

というメニューを考える。

 防災に関心のない人にとっては「何のこっちゃ?」とは思うが、我ながら
かなり面白いメニューが出来たと自画自賛。ただし「旅の坊主」は先約あり
で当日は参加できず。その分、学生を派遣する旨約束する。

 これから彼らを鍛えなければ!

湯河原~東京・茗荷谷~湯河原

2005-06-20 23:55:45 | Weblog
 6月20日(月)

 学外研修日。午前中自宅でたまった雑事。適当に切り上げて東京へ。茗荷
谷の東京法令出版へ行き、同社防災チームのSさん&スタッフと意見交換。
本当は去る6月15日(水)に行われた「東京いのちのポータルサイト」理
事会の場で会うはずだったのだが、仕事が間に合わずドタキャンしてしまっ
たため、今日の意見交換となる。

 地域防災計画のあり方、住民向けワークショップのイメージ、脱「脅しの
防災」への思いなど、いろいろとコメントさせていただいた。Sさんはとも
かく、スタッフにとっては「目が点」になるような話ばかりだったかも。

 生まれて初めて「モダン焼き」なるものをいただく。話には聞いていたが、
こういうものだったのか……。

可児市~名古屋~湯河原

2005-06-19 23:25:57 | Weblog
 6月19日(日)

 岐阜DIG2日目。今日の会場は可児市総合会館。
 前日よりは少ない、それでも80名余の参加者は適性規模の倍近い。指導
者養成ということもあり、なぜ地図を囲むのか、何に気付いてもらいたいの
か、どうやって参加者を導くのかといった説明に重きを置く。しかしこれが
裏目に出た。参加型のワークショップで寝ている人を出すとは、我ながら情
けない。指導者養成と銘打っても、実態は体験コースであったか。
 「人を見て法を説け」とは良く言ったもの。

 6人の学生はがんばってくれた。2人1組で3つのプレゼンをしてもらう。
数字や名前の間違いは、まぁご愛嬌。「教えるは学びの半ばなり」と、今回
がデビュー戦となる4人には何度となく言い聞かせた。人前で話をすると底
の浅さがいやでも自覚できる。このような場を提供してくれた岐阜県と参加
者の皆さんに、改めて感謝。

 終了後、防災支援室のM室長、Kさんに無理を言って参加してもらい、近
くのファミレスで「ダメ出し」。学生諸君はそれぞれ得るところがあったよ
うで、発言が的確なのも嬉しい。M室長、Kさんからもいろいろとコメント
をいただく。「旅の坊主」としても、このプロジェクトが来年もあるなら、
ああしたい、こうしたい、という点が幾つもあった。

 名鉄で犬山経由名古屋へ。駅名が新名古屋から名鉄名古屋に変わっていた
ことに初めて気付く。つい先日も使った駅。注意力が落ちていたなぁ……。
ツインタワーの下で学生と夕食。せっかく名古屋まで来たのだから手羽先と
ビールといきたかったのだが、時間の関係でこれは次の機会に。

 2日間、学生と本音で話せたのが最大の収穫だった。学生諸君、「大化け」
することを期待しているよ!

大垣~神戸(ごうど)町~可児市

2005-06-18 23:23:24 | Weblog
 6月18日(土)

 ここ数年、岐阜県防災局の県民防災力向上プロジェクトのお手伝いをして
いる。題して岐阜DIG。今年は18、19日の土日に、大垣市の北にある
神戸町(「ごうど」と読む)と、可児市の2ヶ所で実施。初日の会場は神戸
町町民体育館。

 学生6名を帯同。貧乏大学の教員には過ぎたることだが、岐阜県が学生に
ついても助手として交通費と宿泊費を出して下さる。学生には「岐阜県が県
費を使って君たちに勉強する機会を提供して下さっているのだ」と「説教」
した上で、100名余の参加者の前で、各自に話をさせることにする。

 体育館の床にはった3枚の地図。

1 東海地震の被害が想定される地域の1/50,000地形図(十二畳くらい)
2 明治期の岐阜県及び周辺の1/50,000地形図(八畳くらい)
3 東京から九州東岸までの1/200,000地勢図(六畳くらい)

 これらの地図を使い、ここ5~10年に東海地震が単独で発生した時の被
災イメージを、あるいは2035年±10年のある日に東海・東南海・南海
の地震3兄弟が連動して発生した時の被災イメージを説明する。

 さらに10名ほどのグループに分かれてもらい、明治時代と現在の新旧地
形図を比較しながら、土地利用の適性を議論してもらう。最後に1/2,500の
都市計画図を用意して、地域の特性や災害への強さ弱さを共有化してもらう。
 以上のプログラムで10時から16時まで。

 うーん。
 DIGを知っている人なら、これだけでピンとくると思うけれど、DIG
を知らない人が読んでも、何のことかわからないだろうなぁ……。

 昼食時、スタッフの方が「ほう葉寿司」をご馳走してくれる。初めての経
験。「ほう葉味噌」は食べたことがあるけれど、青々とした「ほうの葉」の
香りの良さは鮮明だった。寿司ではあるが1週間ほど持つと聞いて、これま
たびっくり。

 終了後、車で翌日の会場となる可児市へ。夕食は学生とお好み焼き。