久しぶりのブログ更新がこのようなものになってしまったのは複雑なところ。
新年度初回のゼミがあり、終了後に院生・学生諸君との夕食会。
「旅の坊主」を含めて全員で12名。生産的な2時間余を過ごした後、
「さて仕事だ!」と思って研究室に戻りTVを点けたら、熊本で震度7が出た、とのこと。
震源の深さが10km、M6.4(USGSでは深さ23km、M6.0とのこと)ゆえ、
激しい揺れの範囲は比較的狭くて済んでいると思われるのが、せめてもの救い。
震度7とのことだが、計測震度での震度7ゆえ、建物被害が多く出る震度7なのか、
多くは出ない震度7なのか、そこがわからない。
スペクトルが公開されれば判断もつくが、現時点ではキラーパルス成分が弱い地震であったことを願うのみ。
建物被害が多く出る震度7の場合、「2階が1階になる」建物倒壊が2ケタ~百数十棟出ているかもしれない。
TV報道を見る限りではそこまでの被害ではなさそうだが。
全貌が把握できるのは明るくなってからだろうが、それでも、熊本県内の相互支援、
大きく見ても九州地方内部での相互支援でカバーできるレベルの被害であり、
全国規模での動員が必要な災害にはならずに済むであろう、と思う。
そのような防災28年生の初動の印象からすれば、
安倍内閣の災害初動対応は相当低いレベルのものであった、と言わざるを得ない。
以下、一般市民の感覚とはずれることとは思うが、どこがどう問題だったのか、簡単に述べておく。
ここで書くことが、後日すべて「旅の坊主」の間違った判断によるものであった、と、
謝罪せざるを得ない事態になることを願いつつ。
1 レベル感の間違い
震度7の揺れを受けた熊本市益城町の人口は約3万5千人、とのこと。
被害の全貌は明るくなってからでないとわからないとは思うが、
メディアによれば倒壊家屋数は2ケタ前半のオーダーなので
(現場の記者さんが層破壊を正しく理解しているかは大いに疑問だが)、
生き埋め閉じ込めの人数は多く見積もっても100に届くか否か、というレベルであろう。
とすれば、中央政府が非常災害対策本部を設置すべき事態かどうか大いに疑問。
少なくても「国の総力を挙げて」というレベルではない。
選挙向けに「がんばっています」というパフォーマンスをしたい気持ちはわかるが、
プロの端くれとして言わせてもらえば、いわゆる「バカ丸出し」級のレベル感の間違い。
レベル感(注:スケール感・オーダー感・規模感など表現は幾つもあろうが)を間違えているということは、
本質を見誤っているということ。これではお話しにならない。
2 災害対応は現場に任せよ!
震源情報を見れば、国の総力を挙げなくてはならない事態なのか、局地災害なのかは、すぐわかる。
今回の地震は局地災害。局地災害とすれば、周囲からの支援の投入は十二分に可能。
そして、東日本大震災を経験した日本の実働省庁であるからして、
中央政府からの「督戦」抜きでも、現場は十分動く。
この種の局地災害に際して中央政府がとるべき行動は、まずは「現場の邪魔をするな」であろう。
「念のため、現場から上がってくるであろう要望を予見し、それに応えられるような準備はしておくように」
という中央省庁に向けた指示は意味あるものとは思うが。
現場を知らない中央の素人集団が「全力を尽くせ」と言ったところで、
モラルとモラールを下げるのみ、と心得るべきである。
何せ我が国は、現場の人間に「ディスターブしないで下さい」と言わせてしまった、情けない過去を持つ国なのだから。
首相が言うべきは、
「早急に被害状況を把握すること、地方自治体とも緊密に連携をし政府一体となって災害応急対策に全力で取り組むこと、
国民に対し避難や被害等に関する情報提供を随時行うこと」、ではないと思う。
私であれば「現場の皆さんの活躍を信頼し任せている」「中央政府の支援が必要な場合は何なりと言ってもらいたい」
「被災を受けた皆さんへ。支援の手が届くまで、お互いに助け合い補い合って今晩一晩は乗り切って下さい」
と言いたい、否、言わせたい。
3 震度7強
我が国において、官房長官は中央政府のスポークスパーソンの役割を果たしている。
そのスポークスパーソンが、何とも情けない失言をしてしまった。
日本の震度階は10段階で、震度5と震度6については強弱の言葉で補っているが、
震度7の揺れは最大であり(震度8以上は存在しない)、強も弱もない。
これは、気象庁HPをはじめ、防災系の小冊子やHP等様々な場所で示されている「防災の常識」のはずなのだが、
国のスポークスパーソンにはその「防災の常識」が欠けていることを、自ら暴露してしまった。
政治家の発言には原稿があることは百も承知。
優秀な日本の官僚ゆえ、震度7強などということを書くはずがない。
その原稿を、己の中途半端な知識で良かれと思って補ったのであろうが、結果は最悪だった。
こういうド初歩のミスをやらかしてしまうと、これから先は何を言っても、
「この人は素人」「原稿を読み上げているだけ」と、現場の人間に信頼されなくなってしまう。
現場を知らないお偉いさんがわかったようなことを言うと、現場が困る。
緊急事態法制など単なるブラックジョークとして笑い飛ばさなければならないはず。
「バカな大将、敵より怖い!」なのだから。
不幸にして、この地震で犠牲者が出てしまいました。
お亡くなりになられた方のご冥福をお祈りするとともに、ご遺族の皆さまに心よりのお悔みを申し上げます。
新年度初回のゼミがあり、終了後に院生・学生諸君との夕食会。
「旅の坊主」を含めて全員で12名。生産的な2時間余を過ごした後、
「さて仕事だ!」と思って研究室に戻りTVを点けたら、熊本で震度7が出た、とのこと。
震源の深さが10km、M6.4(USGSでは深さ23km、M6.0とのこと)ゆえ、
激しい揺れの範囲は比較的狭くて済んでいると思われるのが、せめてもの救い。
震度7とのことだが、計測震度での震度7ゆえ、建物被害が多く出る震度7なのか、
多くは出ない震度7なのか、そこがわからない。
スペクトルが公開されれば判断もつくが、現時点ではキラーパルス成分が弱い地震であったことを願うのみ。
建物被害が多く出る震度7の場合、「2階が1階になる」建物倒壊が2ケタ~百数十棟出ているかもしれない。
TV報道を見る限りではそこまでの被害ではなさそうだが。
全貌が把握できるのは明るくなってからだろうが、それでも、熊本県内の相互支援、
大きく見ても九州地方内部での相互支援でカバーできるレベルの被害であり、
全国規模での動員が必要な災害にはならずに済むであろう、と思う。
そのような防災28年生の初動の印象からすれば、
安倍内閣の災害初動対応は相当低いレベルのものであった、と言わざるを得ない。
以下、一般市民の感覚とはずれることとは思うが、どこがどう問題だったのか、簡単に述べておく。
ここで書くことが、後日すべて「旅の坊主」の間違った判断によるものであった、と、
謝罪せざるを得ない事態になることを願いつつ。
1 レベル感の間違い
震度7の揺れを受けた熊本市益城町の人口は約3万5千人、とのこと。
被害の全貌は明るくなってからでないとわからないとは思うが、
メディアによれば倒壊家屋数は2ケタ前半のオーダーなので
(現場の記者さんが層破壊を正しく理解しているかは大いに疑問だが)、
生き埋め閉じ込めの人数は多く見積もっても100に届くか否か、というレベルであろう。
とすれば、中央政府が非常災害対策本部を設置すべき事態かどうか大いに疑問。
少なくても「国の総力を挙げて」というレベルではない。
選挙向けに「がんばっています」というパフォーマンスをしたい気持ちはわかるが、
プロの端くれとして言わせてもらえば、いわゆる「バカ丸出し」級のレベル感の間違い。
レベル感(注:スケール感・オーダー感・規模感など表現は幾つもあろうが)を間違えているということは、
本質を見誤っているということ。これではお話しにならない。
2 災害対応は現場に任せよ!
震源情報を見れば、国の総力を挙げなくてはならない事態なのか、局地災害なのかは、すぐわかる。
今回の地震は局地災害。局地災害とすれば、周囲からの支援の投入は十二分に可能。
そして、東日本大震災を経験した日本の実働省庁であるからして、
中央政府からの「督戦」抜きでも、現場は十分動く。
この種の局地災害に際して中央政府がとるべき行動は、まずは「現場の邪魔をするな」であろう。
「念のため、現場から上がってくるであろう要望を予見し、それに応えられるような準備はしておくように」
という中央省庁に向けた指示は意味あるものとは思うが。
現場を知らない中央の素人集団が「全力を尽くせ」と言ったところで、
モラルとモラールを下げるのみ、と心得るべきである。
何せ我が国は、現場の人間に「ディスターブしないで下さい」と言わせてしまった、情けない過去を持つ国なのだから。
首相が言うべきは、
「早急に被害状況を把握すること、地方自治体とも緊密に連携をし政府一体となって災害応急対策に全力で取り組むこと、
国民に対し避難や被害等に関する情報提供を随時行うこと」、ではないと思う。
私であれば「現場の皆さんの活躍を信頼し任せている」「中央政府の支援が必要な場合は何なりと言ってもらいたい」
「被災を受けた皆さんへ。支援の手が届くまで、お互いに助け合い補い合って今晩一晩は乗り切って下さい」
と言いたい、否、言わせたい。
3 震度7強
我が国において、官房長官は中央政府のスポークスパーソンの役割を果たしている。
そのスポークスパーソンが、何とも情けない失言をしてしまった。
日本の震度階は10段階で、震度5と震度6については強弱の言葉で補っているが、
震度7の揺れは最大であり(震度8以上は存在しない)、強も弱もない。
これは、気象庁HPをはじめ、防災系の小冊子やHP等様々な場所で示されている「防災の常識」のはずなのだが、
国のスポークスパーソンにはその「防災の常識」が欠けていることを、自ら暴露してしまった。
政治家の発言には原稿があることは百も承知。
優秀な日本の官僚ゆえ、震度7強などということを書くはずがない。
その原稿を、己の中途半端な知識で良かれと思って補ったのであろうが、結果は最悪だった。
こういうド初歩のミスをやらかしてしまうと、これから先は何を言っても、
「この人は素人」「原稿を読み上げているだけ」と、現場の人間に信頼されなくなってしまう。
現場を知らないお偉いさんがわかったようなことを言うと、現場が困る。
緊急事態法制など単なるブラックジョークとして笑い飛ばさなければならないはず。
「バカな大将、敵より怖い!」なのだから。
不幸にして、この地震で犠牲者が出てしまいました。
お亡くなりになられた方のご冥福をお祈りするとともに、ご遺族の皆さまに心よりのお悔みを申し上げます。