富士宮市立病院に勤める親しい方から依頼があり、
同院の防災研修会で1時間半の講演の機会をいただく。
今日明日ということはないが、90年から150年に一度の巨大災害が巡ってくる時代に、私達は生を受けている。
今年が直近の発生から70年目。残り時間は何年だろう。2038年発災説もある。その時「旅の坊主」は……。
東日本大震災では、石巻市立雄勝病院、公立志津川病院、岩手県立陸前高田病院等々、
多くの医療機関が津波により、物理的に破壊された。
ここ富士宮市立病院の場合は、津波リスクは考えなくてよい。
ただ、医療機関は、停電や断水、配管類の破損で、機能できなくなる場合もある訳で、
そのことにはしっかり手を打っておかなくてはならない。
富士宮市立病院ががんばっていることは、地域の方々も交えて災害時の対応を考えていること。
しかし、その方向性に危惧を抱かざるを得ないのも事実。というのは、地域の方々から、
「搬送用にリアカーを用意しています」
「搬送経路にJR身延線の踏切があり、これが障害にならないかが気になります」
等々の発言がなされているので。
そこには、医療機関に担ぎ込みさえすれば何とかしてくれる、という期待がある。
非医療人である一般人に、災害時であればこそ、医療機関への期待があることは当然とは思う。
しかし、現実の医療機関はそこまで万能ではなく、医療人もスーパーマンではない。
そこで仕事をしている医療人も私人としての生活、家庭人としての人生がある。
医療人としての役割と、私人・家庭人としての役割の衝突を、ゼロにすることは出来ないが、
事前にしかるべき対策をとっておくことで、「股裂きに遭う」可能性を低くすることは十分可能。
講演の主旨は、そういうところだった。
震度6強の揺れはあるものと覚悟しておくべき富士宮市だが、それでも、
現行基準で手抜きなしで建てられたものならば、震度6強の揺れには十分耐えられる。
個々の家々についてはともかく、総じていえば水については心配しなくてよい富士宮市。
(何せ、幸いにも湧水は至る所にありますので。)
家々の広さも都会とは違う訳で、少し行けば当たり前に農地もある。
それらを活かせば、何とでも方法はあるだろう。
地域の方々には、現実を見てもらいたい、と思う。
普段のDIGセミナーで使っている資料を抜粋で提供して、地域の被害量を見積もることを勧めた。
もちろん被害量見積もりのポイントは、古い耐震基準時代に建てられた日本家屋、
特に二階建てで瓦屋根のものがどれほどあるか、ということ。
地域の方々が、5分10分で出来るこの作業を一つ行うことで、
「医療機関に担ぎ込めば何とかなる」という思い込みから、脱却してもらえる、と思う。
その時初めて、地域と医療機関との関係について、本気で議論できる環境が整う、というものだろう。
「いざという時、医療機関に助けてもらいたかったら、いざという時は、医療機関を助けなさい」
これが、求められる、地域と医療機関の関係だと「旅の坊主」は思っている。
「がんばります」と言うこと、というよりも自らに言い聞かせることは重要だが、
災害対策においては、往々にして「がんばります」と言うことが、自らの首を絞めることになる。
「助けて下さい」と言うには(いろいろな意味での)力がいるが、でも、それが正しい答えだと思う。
富士宮市全域あるいは富士宮市民全員が被災して、どうにもならなくなる、訳ではない。
自分と家族に深刻な事態が発生すれば話は別だが、
そうでないならば、まず医療機関を助けようではないか。そういう関係性が出来ることを願っているし、
そのために、静岡県東部地域では地侍の「旅の坊主」でもある。お手伝いできることは何かを考えてみたい。
講演では、昨28日、富士市立看護専門学校で教えている「災害看護」の課題レポート添削に行った際、
「これは素晴らしい!」と思った、同校3年Nさんのレポートを、本人の了解を得た上で資料として配布した。
レポートの課題は、講演の演題と基本的に同じで、役割の衝突をどう避けるか、という話。
医療機関の一員として勤めるに当たり、何を考えなくてはならないのか。
Nさんのレポートには、そのことが大変明確に示されている。
富士宮市立病院の職員の方々も、このレポートには、大変感銘を受けていた様子。
紹介してよかった。Nさんにはあとでお礼を言っておかなくては!
終了後、副院長K先生ほか、防災のメンバーと共に、いろいろと議論をすることが出来た。
久しぶりにかの「久保田 万寿」もいただく。さすが、素晴らしい飲み口。
良い議論が出来た、と思うし、良い課題もいただいた。
こういう場こそ、エネルギーの源であると思っている。
富士宮市立病院のみなさま、特にGRMのIさま、また富士看のNさん、ありがとうございました。
多くの課題をいただきましたが、しっかりとお返ししていきたい、と思っています。
引き続き、よろしくお願いします。
同院の防災研修会で1時間半の講演の機会をいただく。
今日明日ということはないが、90年から150年に一度の巨大災害が巡ってくる時代に、私達は生を受けている。
今年が直近の発生から70年目。残り時間は何年だろう。2038年発災説もある。その時「旅の坊主」は……。
東日本大震災では、石巻市立雄勝病院、公立志津川病院、岩手県立陸前高田病院等々、
多くの医療機関が津波により、物理的に破壊された。
ここ富士宮市立病院の場合は、津波リスクは考えなくてよい。
ただ、医療機関は、停電や断水、配管類の破損で、機能できなくなる場合もある訳で、
そのことにはしっかり手を打っておかなくてはならない。
富士宮市立病院ががんばっていることは、地域の方々も交えて災害時の対応を考えていること。
しかし、その方向性に危惧を抱かざるを得ないのも事実。というのは、地域の方々から、
「搬送用にリアカーを用意しています」
「搬送経路にJR身延線の踏切があり、これが障害にならないかが気になります」
等々の発言がなされているので。
そこには、医療機関に担ぎ込みさえすれば何とかしてくれる、という期待がある。
非医療人である一般人に、災害時であればこそ、医療機関への期待があることは当然とは思う。
しかし、現実の医療機関はそこまで万能ではなく、医療人もスーパーマンではない。
そこで仕事をしている医療人も私人としての生活、家庭人としての人生がある。
医療人としての役割と、私人・家庭人としての役割の衝突を、ゼロにすることは出来ないが、
事前にしかるべき対策をとっておくことで、「股裂きに遭う」可能性を低くすることは十分可能。
講演の主旨は、そういうところだった。
震度6強の揺れはあるものと覚悟しておくべき富士宮市だが、それでも、
現行基準で手抜きなしで建てられたものならば、震度6強の揺れには十分耐えられる。
個々の家々についてはともかく、総じていえば水については心配しなくてよい富士宮市。
(何せ、幸いにも湧水は至る所にありますので。)
家々の広さも都会とは違う訳で、少し行けば当たり前に農地もある。
それらを活かせば、何とでも方法はあるだろう。
地域の方々には、現実を見てもらいたい、と思う。
普段のDIGセミナーで使っている資料を抜粋で提供して、地域の被害量を見積もることを勧めた。
もちろん被害量見積もりのポイントは、古い耐震基準時代に建てられた日本家屋、
特に二階建てで瓦屋根のものがどれほどあるか、ということ。
地域の方々が、5分10分で出来るこの作業を一つ行うことで、
「医療機関に担ぎ込めば何とかなる」という思い込みから、脱却してもらえる、と思う。
その時初めて、地域と医療機関との関係について、本気で議論できる環境が整う、というものだろう。
「いざという時、医療機関に助けてもらいたかったら、いざという時は、医療機関を助けなさい」
これが、求められる、地域と医療機関の関係だと「旅の坊主」は思っている。
「がんばります」と言うこと、というよりも自らに言い聞かせることは重要だが、
災害対策においては、往々にして「がんばります」と言うことが、自らの首を絞めることになる。
「助けて下さい」と言うには(いろいろな意味での)力がいるが、でも、それが正しい答えだと思う。
富士宮市全域あるいは富士宮市民全員が被災して、どうにもならなくなる、訳ではない。
自分と家族に深刻な事態が発生すれば話は別だが、
そうでないならば、まず医療機関を助けようではないか。そういう関係性が出来ることを願っているし、
そのために、静岡県東部地域では地侍の「旅の坊主」でもある。お手伝いできることは何かを考えてみたい。
講演では、昨28日、富士市立看護専門学校で教えている「災害看護」の課題レポート添削に行った際、
「これは素晴らしい!」と思った、同校3年Nさんのレポートを、本人の了解を得た上で資料として配布した。
レポートの課題は、講演の演題と基本的に同じで、役割の衝突をどう避けるか、という話。
医療機関の一員として勤めるに当たり、何を考えなくてはならないのか。
Nさんのレポートには、そのことが大変明確に示されている。
富士宮市立病院の職員の方々も、このレポートには、大変感銘を受けていた様子。
紹介してよかった。Nさんにはあとでお礼を言っておかなくては!
終了後、副院長K先生ほか、防災のメンバーと共に、いろいろと議論をすることが出来た。
久しぶりにかの「久保田 万寿」もいただく。さすが、素晴らしい飲み口。
良い議論が出来た、と思うし、良い課題もいただいた。
こういう場こそ、エネルギーの源であると思っている。
富士宮市立病院のみなさま、特にGRMのIさま、また富士看のNさん、ありがとうございました。
多くの課題をいただきましたが、しっかりとお返ししていきたい、と思っています。
引き続き、よろしくお願いします。