<国立民族学博物館>
中国西南部の少数民族・ミャオ族が、
「蛇(龍)」および「牛」への信仰を持つことを、
ここ数日の記事でご紹介しておりますが、
ミャオ族の崇める「龍」とは、
いわゆる中華民族(漢族)の崇拝する
「龍」とは一線を画す存在であり、
牛龍、ムカデ龍、魚龍……など、
多彩なバリエーションが見られるといいます。
つまり、ミャオ族の人々にとって
「龍」という生き物は、唯一神のように
「絶対視」する対象ではなく、
常に「他の生き物と混交しながら」
柔軟に姿を変えて行く対象なのでしょう。
言うなれば、「牛」を信仰する人々や
「ムカデ」を信仰する人々、
あるいは「魚」を信仰する人々など、
様々な信仰形態を持つ人々と入り混じることで、
民族を形成・維持してきた歴史が
イメージできるのですね。
さらに、ミャオ族の「創世神話」に関する物語の中には、
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太古の時代に「蝶」が12個の卵を産み、
山では虎が、川では龍が生まれ、
最後の2つからミャオ族の人間が生まれた。
龍や虎は彼らの同族である。
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楓(ふう/フ)の木から生まれた
蝶のメイパン・メイリュウが、
水の泡と結婚して12個の卵を産んだ。
そのうちのひとつから人間(ミャオ族)が生まれ、
他の卵から生まれた「龍」や「水牛」とは兄弟である。
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などの話も残っておりました。