たびたび神社

ライターあかりの神社ブログ

勝坂式土器

2020-06-28 09:56:20 | 古代の出雲

<国立歴史民俗博物館>

 

縄文時代について調べている最中、

信州や武蔵を中心に発掘された、

奇抜なフォルムの土器群が目が留まりました。

「勝坂式土器」と呼ばれるそれらの作品には、

人体や動物を象った奇妙なモチーフが数多く見られ、

以前ご紹介した「顔面把手付土器」などは、

勝坂式を代表する土器のひとつです。

 

そして、顔面把手付土器とともに

勝坂式のシンボルとしてあげられるのが、

「蛇」を施した土器、および土偶でして、

これらの作品は「邪身装飾」と名がつけられ、

他の地域には見られない独自の造形美を

伴う縄文遺物として高い評価を得ています。

 

一説によりますと、この「勝坂式」

の作品に影響を与えたのが、

中国の揚子江近辺にいた

「龍蛇」の信仰を持つ民族だったのだとか……。

 

以前、「縄文」をテーマにした記事内で、

「少なくとも縄文晩期には稲作が始まっていた」

と書きましたが、これらの説を踏まえれば、

「勝坂式」が制作された縄文中期前半

(約5,000年前~約4,500年前)にはすでに、

「龍蛇」を信奉する「海人系」の人々の手によって、

「稲作」が日本へと到達していた可能性もあるのでしょう。