<五十猛町大浦>
出雲地方には古くから、龍蛇神信仰
(りゅうじゃしんしんこう)とでも言うべき、
特徴的な信仰が根付いております。
「神有祭」が行われる11月ごろ、
近隣の浜辺に打ち上げられる「セグロウミヘビ」を、
地元の人は龍蛇(りゅうじゃ・りゅうだ)神と呼び、
全国から出雲へとやってくる
八百万の神々の先導役と捉えているのだとか……。
出雲の主要神社で見かける亀甲紋という神紋も、
実はウミヘビのウロコの六角形を模した型で、
別名として「竜鱗紋」との名を持つと聞きました。
また、神有祭の中心地である出雲大社だけでなく、
佐太神社・美保神社・日御碕神社など、
出雲地方では「龍蛇」をご神体
とする神社があちこちに散らばり、
また、西隣の石見国大田のあたりには、
「龍蛇神」を奉納する風習や、
「龍蛇と朝鮮半島」とのつながりを示す
言い伝えが残されているのだそうです。
いずれにせよ、「龍蛇神」への信仰が、
出雲周辺の広い範囲に伝播した、
「特殊祭祀」であることは間違いないのでしょう。