<三瓶山>
古くは、佐比賣山と呼ばれていた三瓶山は、
縄文時代に大きな噴火を起こし、
一帯の地形を大きく変化させたと聞きます。
三瓶山からの噴出物は、神戸川を伝って
当時水辺だった出雲平野の西部に堆積し、
後にその周辺に多くの弥生遺跡が出現したのだとか……。
一方、斐伊川上流部で「鉄穴流し」が
行われていた出雲平野東部では、
大量の土砂が切り崩されて下流へと流出したことが、
現在の地形を形作った最大の要因となったそうです。
いずれにせよ、縄文時代から弥生時代に起こった、
出雲近辺の地形変動や「渡来人の来歴」が、
国引き神話に影響した可能性も高いのでしょう。
ちなみに、三瓶山麓にある縄文遺跡からは、
縄文の各時代の土器が出土し、
また三瓶山の山頂付近には、
中国地方では滅多に見られない
ブナ林の原生林が存在するといいます。
また、遺跡内では東北地方で作られた土偶や、
隠岐島や九州産の黒曜石などが
発見されたことなどを踏まえると、
「弥生」のイメージが強い出雲の中でも、
ひときわ「縄文」を感じさせる場所が、
三瓶山のあたりだといえるのかもしれません。