すずしろ日誌

介護をテーマにした詩集(じいとんばあ)と、天然な母を題材にしたエッセイ(うちのキヨちゃん)です。ひとりごとも・・・。

医者様Ⅱ(バックナンバー)

2007-04-17 21:25:20 | じいとんばあ
   医者様Ⅱ

「うちは救急病院やからね
たびたび連れて来られても 困るんだよね
お宅で 看取るって決めてんでしょ
だったら きっちりターミナルケアすれば?
はっきり言って 迷惑だよね」

あなたの言うことは 分かります
私たちだって 最後までお世話したいです
でも 家族の事情も 私たちの事情もあるのです
無医村に近い田舎で 唯一頼れるこの病院だから
くやしくても 我慢しているのです

かつて 友人の父親は あなた方に
殺されかけました
「苦しんで死ぬか 楽に死ぬかなら 
楽に死なせたいでしょ」 医師はそう言った
正直なインターンが 
「実は方法が分からないんです」
お陰で 転院して 助かったのです

かつて 友人は父親が急変した時
長時間待たされた上に
駆けつけたのは 酒臭い当直医でした
誤診があったのでは と思っても
家族が頼れるのは ここだけだから
震えるこぶしを おさめたのです

いいえ 勿論 いいお医者様もいるのです
感謝しているお医者様もいるのです
でも 不思議ですよね
そんな医師(せんせい)は すぐ転勤してしまう

私たちのふがいなさを あなたの不徳に
すりかえるつもりは ありません
私たちの不徳は あくまでも私たちのものです
でも 言葉の暴力は私たちだけにしてください
患者や家族には 酷すぎまず
その一言で 希望もなにも 奪うのですよ

「長生きしたから もういいでしょ」
だれが 寿命を決めるのですか?
「安心しないでね これで死んだ患者山ほど診てるよ」
何の・・・自慢なのでしょう
「早く転院先探してね うち救急やし」
搬送された その日に言わなくても・・・

この世の中には 神の手と心を持つ
そんなお医者様が 確かにいます
でも 私たちは知っています
そんな医師と出会うのは 奇跡だと
悪魔だって 山ほどいるのだと
そして もっと悪いことに
ご自分がそうとは 気づいてらっしゃらないのです  


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コメント (2)
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