みちのくの山野草

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昨今でも書き放題の一部研究者たち

2019-09-07 16:00:00 | 子どもたちに嘘の賢治はもう教えたくない
《ルリソウ》(平成31年5月25日撮影)
〈高瀬露悪女伝説〉は重大な人権問題だ

 さて前回、常識的に判断すれば、巷間流布している〈悪女・高瀬露〉はおかしいところがありそうで、少なくともあやかしであると言えるということを私は知ったのだが、あにはからんや、山下聖美氏は、
 感情をむき出しにし、おせっかいと言えるほど積極的に賢治を求めた高瀬露について、賢治研究者や伝記作者たちは手きびしい言及を多く残している。失恋後は賢治の悪口を言って回ったひどい女、ひとり相撲の恋愛を認識できなかったバカ女、感情をあらわにし過ぎた異常者、勘違いおせっかい女……。
とか、あるいは澤村修治氏は、
 無邪気なまでに熱情が解放されていた。露は賢治がまだ床の中にいる早朝にもやってきた。夜分にも来た。一日に何度も来ることがあった。露の行動は今風にいえば、ややストーカー性を帯びてきたといってもよい。
と、それぞれの著書『賢治文学「呪い」の構造』(平成19年、59p)、『宮澤賢治と幻の恋人』(平成22年、145p)の中で、何の躊躇いもなさそうに書き放題に、露をとんでもない〈悪女〉にしている(私には、これらのことを裏付ける確たる証言や資料が見つけられない。だから、これらは裏付けを取ったものとは思えない。まして検証した上でものだとも私には思えない。それは、私が検証したところによれば露が〈悪女〉にされる客観的な根拠はないからだ)という現実が昨今でもある。

 一方、平成27年のことだが、遠野市在住の菊池忠一郎という方が拙宅をを訪ねて来られたのだが私は不在だったため会えなかったということがあった。そこで同氏は郵便受けに、「露先生の教え子です」というメモを書いたご自分の名刺を入れて帰られた。もちろん、私は押っ取り刀で遠野市の同氏宅を訪問した(平成26年7月14日)。
 すると同氏からは、
 恩師のあの優しい露先生が「悪女扱い」されていることを最近になって初めて知り、今はびっくりしている。決してそのような先生ではないのでそのことを知ってもらいたく、先日鈴木さんお訪ねしたのです。
と言われた。そして、「最近になって初めて知り」とは、宮澤賢治生誕100周年(1996年、平成8年)の際に作られた賢治の映画を観て知ったのだそうだ。
 そこで、その時の映画の一つ、『宮澤賢治 その愛』(松竹、平成8年制作)を私も観てみたならば、映画の中の高瀬露は「押しかけ女房」のような「悪女扱い」をされていた。これでは露の教え子たちは、露先生に関して創り放題のこの映画に憤懣やるかたなかろうと、私は納得し同情したのだった。

 それにしても、その典拠を作者等は明示していないのでしかとは判らぬが、これらの「書き放題」「創り放題」ともみえる行為に私は悲しくなる。まかり間違うと、今の時代は昔と違って、このような「書き放題」「創り放題」は重大な人権問題となるのではなかろうか。
 はてさて、先の清六の証言内容等とは正反対とも言える、露の人格を貶め、尊厳を傷つけているとしか思えないようなこれらの記述等の典拠は一体何であったのであろうか。前掲の著者等はそれを明記していないから特定できないのがもどかしい。これが私にはしばらく気掛かりだった。
 そこで思いついたのが、読むに堪えないような表現をも弄しながら露のことを書き散らしていると私には見える儀府成一のあの『宮沢賢治その愛と性』(芸術生活社、昭47年)だ。そう、もしかすると前掲の作者等の引例した典拠は「昭和六年七月七日」の他に、この著書もあったのではなかろうかと私は推理したのだ。
 なんとなれば、「昭和六年七月七日」には書かれていないが、『宮沢賢治その愛と性』の中に書かれていることであれば、「感情をむき出しにし、おせっかいと言えるほど積極的に賢治を求めた高瀬露について、賢治研究者や伝記作者たちは手きびしい言及を多く残している。失恋後は賢治の悪口を言って回ったひどい女、ひとり相撲の恋愛を認識できなかったバカ女、感情をあらわにし過ぎた異常者、勘違いおせっかい女……」というようなことを書くことに躊躇いはないかも知れないな、と私には考えられたからだ。

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 賢治の甥の教え子である著者が、本当の宮澤賢治を私たちの手に取り戻したいと願って、賢治の真実を明らかにした『本統の賢治と本当の露』

             〈平成30年6月28日付『岩手日報』一面〉
を先頃出版いたしましたのでご案内申し上げます。
 その約一ヶ月後に、著者の実名「鈴木守」が使われている、個人攻撃ともとれそうな内容の「賢治学会代表理事名の文書」が全学会員に送付されました
 そこで、本当の賢治が明らかにされてしまったので賢治学会は困ってしまい、慌ててこのようなことをしたのではないか、と今話題になっている本です。
 現在、岩手県内の書店での店頭販売やアマゾン等でネット販売がなされおりますのでどうぞお買い求め下さい。
 あるいは、葉書か電話にて、『本統の賢治と本当の露』を入手したい旨のお申し込みを下記宛にしていただければ、まず本書を郵送いたします。到着後、その代金分として1,620円(本体価格1,500円+税120円、送料無料)分の郵便切手をお送り下さい。
      〒025-0068 岩手県花巻市下幅21-11 鈴木守
               電話 0198-24-9813

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