鈴木すみよしブログ

身近な県政にするために。

袴田事件の無罪判決

2024年09月29日 | 議会活動
令和6年9月29日(日)

 27日、静岡地方裁判所は、犯人とされてきた袴田巌さんの再審無罪を言い渡しました。死刑事件で5人目ということです。判決では、証拠のうち三つを検察を含めた捜査機関のねつ造という判断をしています。今後、この判決を受けて、検察側が不服として控訴するか否かにより確定となります。

 静岡県内で1966年に発生した一家4人の殺人事件という凶悪犯罪は、私も子どもながらに記憶していました。犯人として扱われその後の裁判で死刑判決が出ましたが再審となり、半世紀以上経って無罪判決ということになれば、あまりにも長い時間を要し、裁判のやり方に大きな問題があるのではと多くの人が感じたと考えています。

 再審については、昨年、私が県議会副議長の時に、県弁護士会から県議会として再審法の見直し等について理解と協力をして欲しいとの相談がありました。
 これを受けて、県弁護士会の関係者を講師に招き、県議会議員全員を対象に勉強会を開催し、その後、今年の県議会2月定例会にて、国に対して再審法の見直しに関する意見書を決議し提出しています。
 この時点では、全国を見ても都道府県レベルではいくつかの議会が関心を持ち始めた頃で、本県は早い段階での行動となりました。また、県議会での取組は、県内市町にも影響を及ぼし、多くの市町でも同意しています。

 再審とは、「確定した裁判に誤りが見つかった場合に、『裁判のやり直し』をするための手続」のことです。再審を開始するためには、「無罪を言い渡すべき明らかな証拠を新たに発見したとき」とされています。袴田事件では、新たな証拠として見つかった当時被告が身につけていたという衣類資料をこの根拠として再審が始まりました。

 新証拠の「明白性」の判断は最高裁判例昭和50年5月20日の「白鳥決定」があり、確定判決を下した裁判所の審理中になかった新証拠の影響について判例となったもので、「疑わしいときは被告人の利益に」という刑事裁判の鉄則が適用されました。今回の判決により、5人のえん罪被害者が無罪となっています。

 しかし、袴田さんの前、4人目の無罪判決以降はこの再審が激減し、その背景には法の不備が明らかになってきました。その理由には、裁判所ごとの『再審格差』が生じており、再審請求段階における証拠開示手続規定の不存在があり、証拠開示は担当裁判官次第で、開示が遅れることで審理が長期化していることがあります。
 また、再審開始決定に対し、繰り返される検察官抗告(不服申し立て)による長期化も問題となっています。
 加えて、裁判の長期化になった場合、元被告人本人や再審請求人となるその家族が高齢化し、早期の再審が進められることが望ましい理由です。

 袴田さんの無罪確定はまだ先とみられますが、私たち県議会も、再審法に関わる意見書を通じて、冤罪について考える機会をいただきました。今後は、法改正等がどのように進むのか、注視していきたいと思います。
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