鈴木すみよしブログ

身近な県政にするために。

静岡県がCNFのメッカに大きく前進

2024年07月05日 | 議会活動
令和6年7月5日(金)

 3日の水曜日、富士市において「富士市CNFプラットフォーム設立5周年記念シンポジウム」が、関係する行政や研究機関、企業、大学生と一般市民などが参加し、盛大に開催されました。
 私は、静岡県がCNF(セルロースナノファイバ-)に取り組み始めた7年ほど前から関わり、県議会におけるあらゆる機会を通じて調査し提言するなどで、静岡県を「CNFのメッカに」を合い言葉に取り組んでいますが、その目標に大きく近づいていることを実感しています。



(シンポジウム開催を前に)

 今回は富士市が主催するCNFプラットフォームの5周年を記念する行事でしたが、その前日には全国規模の「ナノセルロースジャパン」の会合が同市内で開催され、本県も市内にある県立富士工業技術支援センターを中心に、様々な研究や企業支援を行っており、昨年は7年前に本県が全国に先駆けて立ち上げた「ふじのくにCNFフォーラム」を改組し、「ふじのくにセルロース循環経済フォーラム」と改名して、研究開発をはじめ、社会実装に向けた取組(新産業として成長するための支援)を強化する体制に成長しています。

 CNFとは、植物由来のセルロース(繊維)を元に開発された新素材です。素材ということは、様々な製品の元となるもので、その用途は無限です。既に私たちの身近なところでCNFに関係した製品が出回っており、食品関係から工業用品(例えば日用品や自動車部品など)にも使われ始めました。

 なぜ、CNFに注目が集まったかというと、世界規模の課題となっている温暖化があり、2050年までに温室効果ガス排出ゼロを目指す脱炭素化への挑戦が始まりました。しかし、全く排出しないことは現実的には不可能で、減らす方法として温室効果ガス(代表例として二酸化炭素)の吸収があり、それを自然界で実現しているなかに森林があります。
 森林は二酸化炭素を吸収して成長します。しかし、人間と同じように成長期には食が旺盛ですが、高齢になるにつれその量は減っていきます。木も同じで成長の盛んな年齢の森林を維持することでその効果が最大限発揮できます。これを繰り返すためには、一定の成長期に達した木を伐採し、新たに植林することが必要です。
 さらに、伐採した木の活用が課題で、日本では木材の利用(木造住宅や燃料など)が行われてきました。しかし、海外からの安価な木材の流入により、日本の林業は衰退し、荒廃林が増加する一途でした。そこで救世主となったのは、この木材を原料にCNFが誕生しました。
 冒頭で触れたように、新素材としてのCNFは木材のイメージから大きく飛躍し、食品や日用品、強度や軽量化が求められる自動車などの部品として、全く新しい分野に用途が広がっています。
 CNFだけでなく、強度を増した木材は構造材として利用できるようになり、海外では20階以上の高層建築物に、コンクリートや鉄に代わって使われ、国内でも間もなく17階建てのビルが誕生します。

 CNFの活用はまだ始まったばかりで、SDGsや脱炭素社会実現の追い風を受けて、世界も注目しています。社会実装のため、その研究や開発に取り組むベンチャー企業やスタートアップも誕生する可能性が高く、既にその流れが始まっています。本県も、この動きに注目して様々な支援策を検討しています。

 私がCNFに注目した理由は、高度成長期後、地元富士市が紙のまちとして発展してきた流れの潮目が変わってきたことで、これまで培ったその技術や経験、そして何よりも富士山の恵みの豊富な水と山麓に広がる森林の活用であり、CNFの原料となる森林やそれをCNFに換えていく技術や製造環境、応用製品化していくための「ものづくりのまち」の新たな挑戦ができることを期待したからです。

 現在のところ、その期待は想像以上に進展しているように感じています。今回のシンポジウムでは、これまでお世話になっている研究機関や行政関係者などと直接話す機会があり、その思いを共有し新たな挑戦を目指して取り組むためのきっかけとなる場となりました。
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