10月1日は国際高齢者の日とのこと。ベトナムの新聞各社のサイトには関連記事が載っていました。65歳以上人口が7%を超えると高齢化社会と呼ばれるそうで、恐らく今年はベトナムも7%に達するようです。日本で7%を越えたのは1971年のことらしく、41年前を振り返っても当時「高齢化」という言葉を聞いた記憶がありません。それ故、今の若いベトナムの人々にとって実感が湧かない言葉であっても不思議ではない、などとも思いつつ・・・
「国際高齢者の日:高齢になるほど貧困」
ベトナムの人口構成は急速に高齢化社会に踏み込みつつあるが、これに向けた準備の歩みが不十分であるため多くの問題をもたらしている。現在全国で高齢者の39%は仕事に就いており、殆どは低収入で不安定である。その中17%は貧困水準以下である。
これらの内容はハノイので開催されたセミナー「高齢者のケアと役割」で明らかにされた。
ハイズン省キンモン県クアンチュン村に住む65才のグエン・タット・ボーさんが一つの例である。ボーさん夫婦には3人の子供があり、それぞれ家を出て遠くで独立して生活している。したがって高齢であるが村の他の同年齢の人よりも恵まれ毎月110万ドン(4,100円)の支給を受けている。しかし夫婦は自身の健康状態に見合った仕事を探さねばならない。国家から支給される金額は夫婦二人の生活費の40-50%を満たすに過ぎず、また医療保険に加入していないため不慮の病気に備えて支出を減らさねばならない。
この問題について国民経済大学のグエン・ディン・クー教授は、ベトナムの高齢者は女性比率が高く、72%は農村部に住んでおり、60%の高齢者は年金や恒常的な社会的支給を受けていない、と言う。2011年ベトナム人口高齢化の考察の結論は、我が国高齢者の70-80%は蓄えや年金がないため依然として自ら生きる糧を探すか子供による世話に頼らねばならないことを示している。また、高齢者に関する国家委員会の報告によると高齢になるほど貧困率が高くなる。男性の高齢者の貧困率は女性の高齢者よりも低くなっている。農村部の高齢者は都市部の高齢者よりも貧困に陥り易い。
保健省の人口・家族計画総局ズン・クオック・チョン局長によれば、もし「積極的な高齢化」プロセスが実現できれば、われわれは到来する高齢化社会にたいするこれらの懸念を完全に解消することができる。「人口学には『積極的な高齢化』という概念がある。単純に理解すれば、高齢化段階を積極的に準備するということだ」。具体的にはこの人口高齢化の段階を準備するために、国家は積極的な役割を担わねばならない。高齢者への社会保障サービス体系と都市部から農村部に至る幅広い高齢者ケアを確立することである。
一人一人が、働いている時には自分自身で積極的に自分の老後のために、十分な年金を得られるように社会保険料を納めるべきである。子供が居ない場合や子供が親を世話する条件を持たない場合、社会サービスシステムが年老いた時に担任する。
ベトナム駐在の国連人口基金(UNFPA)Brucce Campell氏は、この見解に同意し、医療、教育への投資と青年層の安定的な参加が将来の高齢者の要求を解決するために重要な役割を果たす、と言う。
各専門家はまた、高齢化を積極的に迎えるにあたって人々は若い時からタバコや酒から離れて健康を維持することを勧めている。同時に仕事に励み、任意保険や貯蓄によって蓄積することも快適な晩年を迎える方法である。