GOVAP便り

プノンペンからモンドルキリに、その前はTAY NINH省--AN GING省--HCM市GO VAP

ジャガイモの来た道

2008-08-24 02:59:57 | 新聞・書籍
岩波新書「ジャガイモの来た道」が昨日届き、早速数ページ捲ってみました。「ジャガイモの世界史」はバンメトートのS君にプレゼントしてしまい、読み返すことができないだけにこの「ジャガイモの来た道」が届いたのはとても嬉しい。S君も言ってましたが、ここでは手持ちの本を何度も繰り返して読んでしまいます。その意味では、経験はありませんが拘置所暮らしに似た精神状態にあるのかも。S君からは代わりに「トップが語るアグリビジネス最前線」を借りました。

題名の「ビジネス」という言葉が呼び起こすイメージからは、例えば本屋で見掛けたとしても手に取ることはなかった本だと思うのですが、S君から渡されたということで読む気にもなり、そして読んでみれば、これまた自分の無知を思い知らされることばかりです。振り返ればナンモクさんや生協関係の数人の知り合いとのほんの短い間の付き合いの会話の瞬間だけでしか農業を考えたことはなかった、ということのようです。しかし、この本は日本の現代農業に携わる人々の苦労とも呼べるものであるわけで、その現実性が今の自分には少々重いものがあります。

「ジャガモの来た道」では早々に「栽培化とは」何か、「雑草」とは何を意味するのかを考えさせられました。その意味では「ジャガイモの世界史」とは趣を異にする内容です。アンデスに通い詰めた著者の姿勢にも好感を抱くというよりは、何処か励まされる思いがしてるみたいです。

ベトナムでは同じ南米産の芋でもタピオカの原料である「キャッサバ」の方が遥かに生産量・栽培面積が多く、痩せた土地でも栽培が可能で手間が掛からず簡単だからのようです。世界の生産量全体は約1億8千万トンでサツマイモより多くジャガイモに次ぐ数字です。

「キャッサバの来た道」は悲惨です。ブラジル原産のキャッサバがポルトガル人によってアフリカに持ち込まれたのは奴隷船用の食糧とされたからだそうです。ベトナムでは天日干しされている光景を見かけます。家畜用の餌に多く使われるようで、飼料工場ではトラックに満載されたキャッサバを何度か見ました。タピオカ製造工場は公害問題を引き起こすため、ベトナム政府は新規工場の設立を許可しない方針だとか。

ベトナムから日本への農産品輸出統計を見ると「グルタミン酸ソーダ」があります。化学調味料の原料としてもこのキャッサバが使われているからです。今はタイやラオスのキャッサバがバイオ・エタノールの原料として中国に輸出されいるようですが、先日タイに行った時はベトナムのキャッサバをタイに輸出する話も聞きました。

べトナム原産の芋もあるわけで、コンニャク芋はインドかベトナム北部原産と言われてます。サトイモ科で学名「Amorphophallus konjac」。北部の山地には自生していると聞きました。小川町の和紙とコンニャク糊と言えば風船爆弾。コンニャク芋にもドラマがありました。



オリンピック

2008-08-22 02:49:22 | 社会
ベトナムに来てからというものオリンピックの不人気がやや不思議に感じたりもしていたわけですが、今年は今までと違った印象です。今までの二回は同じ年に開催されるサッカーのユーロカップの方が遥かに盛り上がりを見せ、カフェにポスターが貼られたり新聞報道も盛んなのとは対照的でした。

ところが今年は大違い。開会式のTV中継の音声が隣の家から聞こえてきました。国名を延々と呼び続けているので直ぐにそれとわかりました。カフェに行くとTV画面はまだ入場行進が映し出され、少ない客の何人かは画面を静かに眺めていました。

TVが家にないので正確なところはわかりませんが、今まではオリンピック中継は部分的にしかなかったと思います。たぶん今回が初めてで、中国政府との関係を感じさせます。ベトナムでの聖火ランナーの時も政府はかなり気を使って「成功」させようとしたようです。それと同時に「国際社会」への参加ということを強く意識する時期に今のベトナムがあるからなのだろ、という気もします。

今日の昼食時にもオリンピックの話題となり、日本のメダル獲得数は何番目なのかと聞かれました。7番目か8番目くらいじゃないの。と答えると、「そんな上じゃないだろう」とやや馬鹿にした反応。ベトナムは60番目だっけ?と切り返すと「54番だよ」とムッとされました。

ベトナムは今大会2日目だかに56キロ級男子重量挙げで銀メダルを獲得したのですが、それから数は増えず、したがって毎日順位を落としています。それを指摘しようかとも思いましたが流石に大人気ないので止めました。2000年のシドニー大会で女子テコンドーで銀メダル。今回がオリンピック通算2個目ということになります。

KITAJIMA選手の活躍はトゥイチェ紙でも写真入で報道され、「Kitajima - kình ngư vĩ đại nhất châu Á 」(アジアで最も偉大な京(金)魚」(?)とのタイトルでした。

来年はラオスで東南アジア・スポーツ大会「2009 Southeast Asian Games」の開催が予定されています。ラオスにとっては大変な負担だろうと思うわけですがベトナムの不動産建設会社、HAGL社が援助するのだとか。援助と言ってもやはり援助交際のようで、ゴムの植林用地1万ヘクタール借用等も報道されていました。

雨と胃痛とココア

2008-08-20 01:58:58 | 生活
雨降りの日が続く8月のサイゴン。たぶん日本のSeptember rainより降雨量は多いいに違いありません。死者125名行方不明38名をもたらした北部の洪水被害に対し、日本政府は800万円相当の援助を決定したとのことです。
http://www.mofa.go.jp/mofaj/press/release/h20/8/1182608_914.html

南部でもメコン河の水位が急速に上昇し、警報が発せられているそうです。
http://vietnamnews.vnagency.com.vn/showarticle.php?num=02MIS180808

雨の日のバイク通勤にはウンザリさせられます。昨日は朝夕共に合羽を着ねばなりませんでした。交通量が幾分減るのがせめてもの救いです。もっとも、晴れ上がった今朝はバイクの量も夥しく、下水道工事の終わらないグエンキエム通りは渋滞。排気ガスと苛立つクラクションの音にに包まれてしまいました。

土曜日から胃が痛み出し「パンシロン」を飲んでも効果がありません。それでも朝のコーヒーを飲みながら煙草を吸い、新聞に目を通す一時がなければ一日が始まりそうもなくカフェに入りました。

食後に痛むわけですが、月曜は朝に林檎を少し食べただけで痛み出し、カフェではホット・チョコレートを飲むことにしました。ウェートレスは注文を聞きに来ないままアイスコーヒーを運んできてしまいましたが。

思った以上にホット・チョコレートは効果的で痛みも違和感も消え、新発見に満足。ところがやはり昼食とその直後にコーヒーを飲んでしまうと再び身を屈めたくなる痛みがやって来ました。薬を買いに行こうかと思っても外は雨。このままタクシーで家に帰りたい気もしてきましたが、翌朝再びタクシーで出勤というのも気が進みません。

当然仕事の集中力も失せてしまっているので再びカフェでホット・チョコレートを飲むことにしました。やはり今回もそれで痛みは消えました。それならば暫くコーヒーを止めココアに替えよう、と帰りにスーパーのMAXIMARKに寄ってみましたが、ココアはありません。

メコンデルタでカカオを栽培してるのにスーパーにココアがない。ならばカフェのホット・チョコレートは何処から仕入れているのでしょう?仕方なく薬局で3回分の薬を19,000ドンで買いました。ハイランド・カフェのホット・チョコレート一杯25,000ドンより安上がりでした。


引越し

2008-08-18 00:49:37 | 生活
引っ越し先を探し始めたのは昨年からでしたが、ぐずぐずしてる間に家賃相場は上がり続けるばかり。掃除をするのも面倒な広さのこの家は、通勤に便利なわけでもなく、何より家賃負担を今の半分にしないことには・・・との思いを抱き続けはいるものの適当な引越し先が見つかりませんでした。

昼食時などに職場のべトナム人に訊いてみたりしても「Hさんの家に引っ越せば良いじゃない。家賃も唯になるし飯も作ってもらえるって。ついでに子供ももう一人生んでくれるって言ってたぜ・・・」などとからかわれるのがせいぜい。

この三年間で随分と荷物も増えてしまい、それがまたフットワークを重くしてるわけでもあるようだし、思い切って引越し先を見付ける前に大家に「今月末までで引っ越します」と告げ、「契約清算書」を取り交わしました。

そもそも騒音と排気ガスが充満し、家賃上昇が続くサイゴンに住んでいる必要などないわけで、メコンデルタでも中部高原でも好きなところを見つけて暮らしてこそベトナムで生活する意味があるのではないか・・・などと思わないこともなく、それを先日知り合いの日本人に口走ってしまったところ、「そうか、それじゃ今月末は送別会だな」という話に。

どう考えても今月中に地方移住は無理な話ですが、折角送別会を開いてもらえるのなら、そういう話にしておくのも良いかも。情報紙の「mua ban」を買ってTan Binh区周辺の貸家を探しました。「80平米、月250万ドン」を見付け電話すると大家は個人経営病院の院長。会ってみるとまだ若く、キザな奴で盛んに政府の悪口を言ってました。

借家はオーナーのキザな格好とは裏腹にボロ長屋。80平米は裏庭を含めた面積のようで、裏庭というのはガラクタ置き場で使える空間ではありません。贅沢を言える身分でもないし、と自分を諦めさせようと努めましたが、トイレを見て考えが変わりました。便器が床にフラットな作りで、これでは折角のウォシュレットも使えません。

それから周辺の幾つかの物件に電話を入れましたが、既に借り手が見つかったとの返事。サイゴンの借家事情は圧倒的に貸し手市場のようです。今の家の大家と顔を合わせると嬉しそうに「もう次の借り手と契約済ませたよ」「月600万ドン」だそうです。1年で50%の値上げも珍しい話ではないようですが。




雨の日にDVD

2008-08-14 12:14:42 | 生活
北部は洪水で死者112名行方不明45名と発表されています。サイゴンも先月下旬から雨続きの日々。6月の雨が少なかった分が持ち越されたかのようです。これだけ降ればダムの水位も上がっただろうと思うのですが、にもかかわらず停電は相変わらず。きょうの昼食時も店は停電でしたし、近所のカフェもロウソクの光が揺れていました。

ここ十年以上も電力供給不足が続いているわけで、電力会社の管理能力のなさを憂えるべきか、あるいは急速な経済成長を感嘆すべきかとも思うわけですが、電力会社の釈明によれば今年の南部の電力不足は火力発電所の原料高騰による燃料不足だそうです。

衣食足りて礼節を知る-という言葉とは反対にここの生活では、不足することで初めて知ることも少なくありません。満たされている状態では疑問を持たずに暮らして行けるからなのでしょう。それに実感としては現代社会では、衣食足りて一層欲深になる、という気がしないでもありません。

先週末からADSLが繋がらずVIETTELに電話をしましたが、放置されたまま。以前は直ぐに点検修理に来てくれたのですが事情が変わったようです。ネットに接続できないのは何かと不便です。最近日本から持ってきて貰ったDVDを一気に観てしまいました。

楽しめたのは韓国映画の「ぼくが9才だった頃」。何れはベトナムでもこういう映画を作れるようになるのだろうか、などとため息混じりに思ってしまいました。「サウスバウンド」も子供の視点だけで構成すればもう少し楽しめたのかも知れません。

「大統領有故」と「それでも僕はやっていない」は一人で観て楽しむという点ではどうにも辛いものがありました。日本人の友人達とビデオ鑑賞会でも開き、あれこれケチを付けたり駄弁りながら観るべきだったようです。どちらもベトナムではコピーが出回ることのない映画に違いないと確信しました。「それでも・・・」はたぶんリアルに描かれているのでしょうけど、留置所の仕出し弁当は今はあんなに立派なものなのでしょうか?

バンコクに行った際、露天の店で「CHE」と「赤壁」を100バーツで買いました。たぶん日本ではまだ公開前だろうし、と少々優越感に浸ろうと思ったのが間違いで、「CHE」は再生不能。「赤壁」は画像のピントが甘く、字幕は英文。しかも「前編」のみ。三国志の知識もないのでさっぱりでした。


遺伝子組替え作物

2008-08-08 20:20:13 | 農業・食品
先月末、Bloombergのニュースレターにベトナム政府が遺伝子組み換え(GMO)作物の生産に踏み切るとの記事がありました。
http://www.bloomberg.com/apps/news?pid=email_en&refer=&sid=az.ZBPxNm8PQ
NNA.ASIAが「3日付タインニエン電子版がブルームバーグを引用して報じた」とありますからベトナム紙でも報道されたようです。
http://news.nna.jp/free/news/20080805icn001A.html

しかし、ベトナム農業省がベトナムのメディアに直接伝えたものではなく、情報ソースは米ベトナム大使館のようで、そのへんがちょっと普通ではありません。

インフレの昂進への対策としても大幅な入超額を減らすために農産物輸入対策が必要ということなのでしょうが、それがGMO作物の生産となるようです。

ベトナムは年間大豆240万トン、トウモロコシ75万トンを輸入しているそうで、日本の大豆輸入量400~500万トンの半分ほどですが、更に輸入が増大する傾向にあることは確かです。政府の「畜産計画」に見合うだけの飼料が必要とされるわけですし、メコンデルタ各地に次々と建設される飼料工場が飼料原料の需要を作り出しています。

驚くべきは、「報告書によれば、ベトナムは20年までに遺伝子組み換え作物による生産を農業生産の約70%に拡大する計画」とのくだり。-Vietnam aims for genetically modified crops to account for about 70 percent of production by 2020-

確かGMO作物というのは、作物から種を取ると収穫が落ちるので毎年種を買い続けねばならないのではなかったでしょうか。日本の大豆は主にアメリカからの輸入ですが、アメリカ大豆は値段が高いので、ベトナムはブラジルやアルゼンチンあるいはインド等からの輸入が多いようです。大豆を輸出するよりも種の輸出の方が利益率は高そうです。

ベトナムの農業は何処に行くのでしょうか?きょうのトゥイチェ紙一面トップは「Dung首相指導:米をすべて買い上げ、農民に40%以上の利益を保証せよ」との見出しでしたが。

デマ

2008-08-06 02:03:39 | 生活
隣の席のTさんが「ガソリンが24,000ドンになるんだって」と呆れ顔で教えてくれました。友人がメールで知らせて来たようで、本人はPCの新聞社のサイトを次々開き「まだ何処にも出てないけど」と付け加えました。

エー?7月に値上げしたばかりなのに?と聞き返し、こちらは原油相場のサイトを開くと先週よりも下がって119ドル。シカゴ大豆もコーンもかなり値を下げています。電卓を叩き、「それでもまだ日本のガソリン代よりは安いけど再値上げの理由は何なの」?と訊くと「政府にお金がないのよ。もう破産直前」。

これで少しは朝夕のバイク渋滞も緩和されるだろう、とかディーゼルエンジンのバイクを開発すべきだとか好き勝手喋り、Tさんは「面白くないからきょうは遊びに行くしかないわね」とのこと。

先月末には農業省がバイオジーゼル燃料としてヤトロファの栽培計画や搾油工場建設を承認したとの記事がありました。昨日はペトロベトナムのバイオエタノール工場建設の記事も。バイオ燃料生産を始めるためにわざわざ石油価格を値上げしたとは考えられませんが。

カンボジア国境ではまだベトナムからポリタンクに入れてガソリンが密輸出されているとの記事も後を絶ちません。タイのガソリンもベトナムより高かったし・・・などと考えていると値上げの噂も何故か次第に真実味を帯びて来ました。

まだ日が暮れ切らぬ帰り道、ガソリンスタンドにはバイクがぎっしりでした。前回の値上げは午前中に料金の切り替えがあったのに・・・と少々不思議に思いながら通り過ぎ、比較的バイクの数が少ないスタンドに寄ってみました。20Lのポリタンクを持って買いに来たバイクもありました。

家に着いてPCを開くと、この「噂」についての記事がありました。トゥイチェ紙の問い合わせに政府工商省は「ガソリン値上げの噂は1000%誤り」だとの答え。デマの出所が何処だったのかには興味が残りますが、メールと携帯電話の普及でデマの伝播も一段と加速しているようです。

これが午前中であったら株式市場は更なる下落を記録したに違いありません。

バンコク雑感

2008-08-04 06:00:24 | 旅行
先週バンコクに二泊し、養鶏場の見学をして来ました。サイゴンからバンコクへはハノイへの飛行時間よりも短く、タイ航空の便を利用したためもあってか機内の雰囲気も何処か国内便に乗るのとは違っているようでした。ベトナムの日常生活から脱出した束の間の解放感。たぶん一人旅ならそうだったかも知れませんが、残念ながらベトナム人四人に僕自身がオマケみたいなもので計五人旅。

バンコクから日本への航空券はベトナムからのそれよりも安いので何度か立ち寄ったことがありました。最近は直行便を利用してるため久しぶりのバンコクでした。この都市では相変わらず日本人の多さが目立ちます。宿泊したホテルのレストランにも読売新聞が置いてありました。

10数年前のことでしたが、ベトナムの政府高官の「公害と格差が大きいタイ経済
社会からはベトナムが学ぶべきものがはない」というような発言を新聞で読んだ記憶があります。それに「汚職」を付け加えても今やベトナム社会の方が遥かにそのネガティブな面では進んでしまっているようです。

初めてサイゴンからバンコクへの便に乗った時、航空機の窓から地上を眺めていました。カンボジアとの国境もタイの国境もそれと分かる地理的特徴は何もなく連続する広大な平野でした。地図のように国境線がペンキで引かれていると思っていたわけではなかったつもりでも国境というものの不自然さを知る思いでした。

ベトナムの出入国管理官の横柄な態度に接したりすると「俺は国境など認めない」などと時には粋がってみたくもなるわけですが、タイへの入国に際してはそんな不愉快な思いにさせられることもありませんでした。