GOVAP便り

プノンペンからモンドルキリに、その前はTAY NINH省--AN GING省--HCM市GO VAP

周城縣

2008-05-30 00:17:59 | 地理・歴史
最近はメコンデルタの国道を車で走っている時間が多く、時折店の看板に書かれた住所なども目に入ります。ふと気付いたのは、省が違っているのにHuyen Chau Thanh (周城縣)という地名があちこちに出てくるということです。城市の周りに位置する県、という意味で付けられたもののようで、どこでも省庁都市の周りに位置してます。

メコンデルタ12省の中でこのHuyen Chau Thanhの名がないのは、ビンロン、ソクチャン、バクリュウ、カマウの4省のみ。残る8省には城があったから、ということではないと思うのですが。

中国の四川省よりも面積・人口共に少ないベトナムが64の省・直轄市を持ち、更にその中に県を置くというのは中国から見れば滑稽なことかも知れません。あるいは、ミニ中華帝国を目指した近世ベトナムの名残り、ベトナム民族の気概というものでもあるようです。

この周城縣という地名は、どうやらメコンデルタだけのようで、他の地域にHuyen Chau Thanh の地名は見つかりませんでした。ならば本家中国ではどうなのだろうと検索してみると「周城」はヒットせず、「州城」。府城・州城、県城のように使われ、都市を意味する言葉のようです。

ベトナム語のChau Thanhの発音は「周城」でも「州城」同じなので、どちらなのかはたぶんベトナム人自身も知らないかも知れません。メコンデルタの古いお寺(と言っても三百年ほど前のものでしょうけど)にでも行って訊けばわかるのでしょうか?



初任給90万ドン

2008-05-29 01:32:26 | 工業団地
ティェンザン省にできた二つ目の工業団地、Tan huong 工業団地に立ち寄って来ました。予め地図で位置を確認することもなく、新しい工業団地だからミトー工業団地よりも遠い所だろうと漠然と思っていたわけですが、これが大間違い。ロンアン省を過ぎたと気付かぬ内に工業団地の入り口に着いてしまいました。

メコンデルタ13省・直轄市と区分される中でもロンアン省は地質学的にはメコン河水系によるものではないため異なるのだ、などと何かの本で読んだ記憶もありますが、ホーチミン市から近い距離にあるためか、このTan Huong工業団地の風景も何処となくメコンデルタの他の工業団地とは異なるような印象でした。

建物が完成し操業しているのは、日系の飼料製造工場とベトナム資本の縫製工場の2社のみで、建設中の建物は中国資本のかなり規模の大きな飼料工場。後は今だ広大なる空き地。

数年後にはこの風景も一変してしまうのでしょうけど、こういう広々とした空間に立つのは気分が良いもので、雨上がりの夕暮れに歩いて工業団地の端まで歩くことにしました。

縫製工場に貼られた工員募集の紙には、初任給(最初の2ヶ月間)最低90万ドン(5600円)でしかも経験者と書かれてました。幾ら何でもこの物価高の折にそれはないだろう、と思うわけですが、既に3日前からトレーニングが始まっているようでした。その上、募集横断幕には「未経験者訓練生、昼食支給、手当て月10万ドン」だそうです。

一人でとぼとぼ歩いていると工業団地内の草を食んでいた牛が恨めしそうな目をして道を開けてくれました。多勢に無勢、一頭の大きさからして小牛すらこちらは体力負けだというのに。それを見ていた牛飼いのオッサンに「車はどうしたんだよ」?と冷やかされました。

迎えの車を待たずに門まで歩くのに何の苦もなかったわけですが、通り掛かりのバイクの青年に声を掛けられ、せっかくなので乗せてもらうことに。日ごろは他人に親切にされるということも滅多にないためか、清々しい気分でした。

映画 「Che」

2008-05-28 00:56:08 | 新聞・書籍
Liên hoan phim Cannes 2008: "Mọi cặp mắt đang nhìn về Che"

カンヌ映画際に出品された映画「Che」については数日前もトゥイチェ氏で大きく取り上げられていました。
http://www.tuoitre.com.vn/Tianyon/Index.aspx?ArticleID=259299&ChannelID=57

何しろ高校名にゲバラの名を冠したChe Guevara高校というのがあるくらいですから、その名を聞いただけで熱いものが込み上げて来るお国柄なのかと、こういう時ばかりは60年代のシンパシーが蘇ったりもしています。

きょうの新聞にも主演男優賞を受賞したBenicio Del Toroのコメントが掲載されていました。
Vinh dự này dành cho Che Guevara

「この栄誉をゲバラに捧げる」

プエルトリコ国籍の俳優だそうですが、このコメントはスペイン語だったのでしょうか?



損害額3000億ドン

2008-05-27 21:36:23 | 農業・食品
各省の水産協会の推計によれば、今年三月から五月中旬までにメコンデルタのチャ魚養殖者が蒙った損害額は3000億ドンに達しているとのこと。

一度上がり掛けた冷凍加工工場の買い入れ価格は再び14,000ドン/kg以下に下落。飼料原料=餌代の高騰で養殖魚の生産原価は16,000ドンにもなるのでkg当たり2,000ドンの赤字。それでもまだ売れれば良い方で、売れなければ更に高利の借金して餌を買わねばなりません。

冷凍加工工場が相次いで建設され、原料チャ魚の供給が追いつかず稼働率が50%などという記事を読んだのは昨年のことだったでしょうか?今や魚は余っていても工場の稼働率は全体で30%にまで落ちているそうです。

その原因は中小の加工工場に資金力がなく、原料の魚を買い入れることができないためで、これまで銀行借入で仕入れていたものが金融引き締め政策で借り入れができなくなったからと言われています。

魚を買い入れてから輸出代金を受け取るまで約3ヶ月間。その間の資金を都合できないということのようです。

先週訪れた幼魚用飼料工場と冷凍加工工場を経営する経営者は、「銀行が800億ドン融資する約束だったのに実際は100億ドンしか実行されなかった」と憔悴し切った表情で語ってました。それでも工場の正門には女工さんを募集する張り紙が貼り出され、一台10億ドンするというHINOの8トン冷凍車が停まっていました。

メコンデルタに4つの工場を持つこの経営者はまだ32歳だそうで、それだけでも「こういうベトナム人も居るのか」と驚きでしたが、こちらも彼のために一肌脱げるものなら脱いでみようか、と現実性のない気にもさせられる人柄でした。






南十字星

2008-05-24 21:42:04 | 仕事
今週も二泊三日でメコンデルタへ。主要な目的は売掛金の回収です。売掛金残高比率がどの程度まで高まっているのかは知りませんが、資金繰りが厳しいことだけは確かな様子。

一日目はロンアン、ミトー、ビンロンに立ち寄りチャビンに一泊。ビンロンからチャビンを通りDuyen Haiに向かう国道53号線の道幅は狭く、水田と椰子の木が茂る風景はメコンデルタの他の国道と同じですすが、トラックなどの交通量は随分と少なくなります。

日が沈み掛けた水田風景には美しいものがあります。気温が下がり、ほっとするだけでも心が落ち着くみたいです。早朝と夕暮れの水田を眺めた時だけは、「ここで暫く暮らしてみようか」という気にさせられます。

道路はビンロン省Vung Liem県を抜けるとチャビン省Cang Long県に入ります。Vung Liem県は世帯数4万弱。内3万が農民世帯。家屋の25%が粗末な木と椰子の葉を使って建てられたものでバイク保有世帯は41%。冷蔵庫保有世帯は8%。水道水か井戸の使える世帯28%。薪を燃料とする世帯85%、と先週買ったビンロン省の統計にありました。

夕食後に出向いた未回収の売掛金は1年以上も前のもので80百万ドンほど。債務者は300万ドンの債権書類を持ち出してきて、これが焦げ付いてるからどうにもならないとの返事。それから延々とお互いの苦境が語られ、僕は席を外して煙草を吸いに外に出ました。

街から離れているため夜空に星が見えました。しかも目の前にあるのは南十字星。前回この星を見たのはニャチャンに向かう夜行列車の窓からですから15年振りのことです。その時と比べるともう少し高い位置に見えます。ここは緯度が低くなるので当然、とは思いつつも念のために周りの星もスケッチしました。






ビンロン省統計

2008-05-20 20:19:45 | 農業・食品
Vĩnh Long(永隆)省は面積1,477km²。ベトナム南部の省の中では最小で土地の80%が農地。人口105万人中90万人が農村人口。省内GDPの53%を農林水産業が占めています。

と、いうことまではネットを検索すれば直ぐ分かるのですが、もう少し詳しい内容と数字を探すのは面倒なので地方に出向いた折には統計局に立ち寄って省の統計を買い求めようと思っていました。

何度かチャンスはあったもののついうっかり忘れてしまったり、役所の勤務時間を外れてたりで果たせずにいましたが、やっとビンロンでは買うことができました。統計局を探すのはやや面倒で、普段の生活ではあまり縁のない役所のためか土地の人に聞いても曖昧な返事しか返って来ません。その前に、僕のThống Kê(統計)という発音の何処が悪いのかなかなか聞き取って貰えません。

この数字の羅列を印刷しただけの殺風景な冊子が115,000ドンというのは高過ぎる値段です。滅多に買う人間もいないようなので、たぶん発行部数が少ないせいだろうと思います。インターネットで申し込んでコンビニ受け取りができればもう少し売れるのでしょうけど。

統計数字を眺めて、特に何を知りたいということがあったわけではありません。ビンロン省の歴史や文化についてあれこれ書かれた文章を読む根性がなく、それと比べれば数字を追うほうが遥かに楽な作業だし、それもまた一つの理解の仕方というものです。もっとも女性を体重身長等の数字に置き換えてもその女性の理解に繋がらないのと同様ですが。



Elephant Ear Fish

2008-05-17 00:24:34 | 農業・食品
Tra魚やBasa魚は普段あまり食べたことはありません。日本語版ウキペディアには「カイヤン」の名で「原産はタイのチャオプラヤ川やメコン川で、現地では食用であり、近縁のメコンオオナマズやパールムといったナマズも多く生息している。一般にパンガシウスの仲間は目が大きく背びれが高く泳ぎが上手いので、扁平な日本のナマズとは似つかない」と書かれてます。

一度養殖池の見学に行った時に、嫌というほど食べさせられました。無理強いされたわけではなく、ビールが飲めないので酔っ払い相手にひたすら食べ続けるしか間が持たなかったわけです。

ミトーに行くと観光客用レストランで必ず出てくるのが、「像の耳」魚のフライ。エレファントフィッシュの直訳、というよりベトナム語の Cá Tai Tương が語源のようで、Osphronemus gouramyLacepede という学名だそうです。この魚も今は殆どが養殖だそうです。

メコンデルタで養殖されてる魚で街の食堂でも多く目にするのは、Cá Điêu hồng。
一匹200g位ですから一人前用に適してます。メコン河の生簀などで養殖されているのを目にします。稚魚から3ヶ月で出荷されるので飼料代もチャ魚の半分以下で済む計算ですが、生簀なので大量には飼育できません。

昨日はビンロンへ行き、一泊して来ました。身体がまだベトナムのペースに戻らず、食欲もわかずで少々辛いものがありました。河沿いのクーロンホテルの部屋からの眺めは良かったのですが、夜明けのメコン河を見るつもりで早く寝たものの何故かなかなか寝付けませんでした。

ビンロン市場周辺で後片付けをしている時間にフラフラすると、改めてメコンの豊かさと活気を感じます。果物の種類も増える時期でドリアンが目立ちました。一人で食べる気にはなれないので、ジュース屋の露天に立ち寄ってドリアン・ジュースを初めて飲んでみました。飲み終えて物価上昇の折ですから恐る恐る値段を聞くと「Cho em xin 6 ngâng a 」とその安さばかりか、滅多に聞かぬご丁寧な返事には感動でした。

ロシア向け水産輸出

2008-05-15 01:12:40 | 農業・食品
ベトナム語でCá traと呼ばれる養殖魚は、 Order: Siluriformes ナマズ目、Family: Pangasiidae パンガシウス科、Genus: Pangasius パンガシウス属という学名に分類される魚だそうです。Cá Basaが Pangasius bocourtiで、Cá traはPangasius hypophthalmus。

日本にも輸出されていて、魚フライとかフィッシュ・バーガーなどに使われているのかもしれません。統計に寄れば、4月30日から5月6日までの一週間に日本へは5.57トンの冷凍フィレのチャ魚が、単価3.61ドル/kgで出荷されていました。

この一週間に輸出されたチャ魚は39カ国計767トン。日本へはその内わずか0.7%に過ぎず、ロシア、ウクライナ、ブルガリア、ルーマニアの4カ国が計183トンで24%を占めています。

この週は水産品全体の輸出は日本向けが最も多く、1,130トン5,885,350ドル。金額では水産輸出全体の20%。次にアメリカ、中国と続きます。トン当たりの平均単価を見ると日本へは5,206ドル、アメリカ4,458ドル、中国3,977ドルですから「日本人はお金持ち」との印象を持たれてしまうのも仕方ないようです。

これと反対に買い叩かれているのか、あるいは別の理由に因るのかは分かりませんが単価を下げているのがロシア向け輸出。

今年の第1四半期は前年比で60%も輸出トン数を増やしているのに金額は29%増にしかなっていません。水産品の89%を占めるチャ魚の冷凍フィレは単価が16%も下落して僅か1.72ドル/kg。日本への輸出価格3.61ドルの半分以下とはどうしたことでしょう。

冷凍加工工場の養殖魚買い入れ価格は0.86~0.94ドル/kg。歩留まり50%ですから1.72~1.88ドルが原材料費となり、どう足掻いても赤字を増やすだけ。しかも先週はこの輸出価格が1.58ドルにまで下がってしまってました。


出生数年間150万人

2008-05-13 02:53:54 | 社会
増やそうとする日本では減り、減らそうとするベトナムでは増える出生数。足して2で割れば良いのでは、と思うのですが。

今年第1四半期の出生数は昨年度より18,000人多い7.2%の増加だそうで、今年の予想出生数は150万人に達するのだとか。地域的な不均等があるようで、64省中39省で増加とありますから、25省では減少ということのようです。ハノイ27%増、ホーチミン市30%増、ソンラー省40%増、ソクチャン省41%増とあり、また第3子出生数も昨年比17%増とのことです。

戦後33年で第2次ベビーブームを迎えているからなのか、とも考えてみたのですが、第3子出生数の増加率が高いのでそういうわけでもなさそう。ハノイとホーチミン市の増加は人口流入によるもので、減少した省は人口流出ではないかとも思いますが、その他のデータは示されてないので何とも言えません。それに西北部のソンラーとメコンデルタのソクチャンでの増加は人口流入で説明できるものでないことだけは確か。

何れにしても今年の出生数の増加傾向が示すものは、社会的に否定的な要因によるものであるような気がします。貧困世帯での出生数の増加ということなのではないでしょうか。

それにしても人口は日本の70%で、出生数が1.5倍近くですから活気を感じる社会であることには違いありません。


NH0931便

2008-05-12 04:28:50 | 交通
二週間振りにサイゴンに戻りました。日本に帰ってあれもこれもと考えていたことは、いつもながらその半分ほどしか果たせず仕舞い。成田までの高速バスはちょうど良い時間のものがなく、出発時刻の3時間以上も前に空港に着いてしまいました。持て余す筈の時間は、会うつもりで会えなかった友人に電話を掛け捲っている内にいつしか過ぎ、テレフォンカードや百円玉も使い果たすことに。

タンソニャット空港での待ち時間では缶コーラが3ドルもして腹を立てていましたが、成田の自販機飲料は外と変わらぬ値段。しかしNTTの公衆電話料金はベトナムより割高のようです。

47番ゲートに着くと全日空NH0931便は出発時間が遅れるとのアナウス。機内のトイレが故障したそうです。変更時刻を過ぎてもトイレの故障は直らず、結局2つのトイレが使えないままでの出発でサイゴン着は30分遅れの11時30分。GW後で乗客数も少なかったためかトイレ故障は大した問題にはなりませんでした。

一晩寝て起きれば再びベトナムの日常生活なのでしょうけど、今はまだ日本とは異質の世界に舞い戻ったばかりの違和感に包まれています。