ベトナムの先史時代遺跡は最初に発見された地名がその文化の名称とされるようで、中石器時代のホアビン文化はHoa Binh省、これに先行するソンビー文化はPhu Tho省Lam Thao県Son Vi村。ホアビン文化に続くバクソン文化はLan Son省Bac Son県の名に因るようです。
名前が異なり、それぞれ年代と文化的差異が認められるようですが、タインホア省コンモン洞穴からは、下層からソンビー文化、ホアビン文化、バクソン文化の順で重なる遺跡が発掘されているそうです。と、いうことはコンモン洞穴には1万年以上にわたって人々が住み続けていたようです。
コンモン洞穴は、ベトナム語でHang Con Moong。Thanh Hoa省Thach Thanh県Thanh Yên村に位置し、クックフーン(Cuc Phuong)国立公園内にあるとのことです。
3月に発掘調査が行われたダブート文化のCon Co Ngua遺跡からは北西に20kmほどの距離に位置し、その分だけ海からの距離も遠い場所です。
16年前の1997年春、このクックフーン国立公園を訪れたことがありました。知人に高校生の息子のニンビン旅行の付き添いを頼まれてのことでした。ニンビンの農村を訪れ、トイレに入ると新聞紙を切ってトイレットペーパー代わりに置いてありました。子供の頃に日本でも目にした光景です。ナムディンに一泊し、何カ所か観光して最後にコックフーン国立公園に行きました。蝶などの昆虫の種類が多く外国からの観光客も多いそうです。
公園内で奥の方へ歩いて行くと洞窟があり、安全性が気になる岩場を登った記憶があります。洞窟には足元にシジミのような貝殻がたくさん落ちていました。先史時代の貝塚が今も地表に広がっているのだろうかと不思議に思えた記憶があります。海からも離れているわけだし、数万年前は海岸線が数10キロも内陸にあったのだろうか?などと思ったのは、当時は貝は海にあるものと思いこんでいたためですが。
そこがコンモン洞穴だったのかどうかは定かではありません。しかし公園内の洞窟だったことは確かです。