バリウム日記 がんの早期発見をめざして

医療に関する話題提供をはじめ、日々学んだことを配信できればと思います。

逆さまの撮影

2008年08月16日 | 胃X線を受診される方へ
今日は、胃透視検査中に行う逆さま(逆傾斜)について触れます。
胃のレントゲンでは、さまざまな角度から、胃を撮影します。その中の一つに、うつ伏せでの撮影があります。胃の解剖学的な関係上、台を逆さまにしないと、うつ伏せ側の胃壁を広い範囲で撮影できません。そのため台を逆さまにせざるをえません。これを理解していただいた上で、検査を受けていただきたいと思います。


私も体験してみましたが、逆さまはしんどいですね…。頭に血がのぼるし、ふらふらな感じになる。撮影される方々には、うつ伏せの撮影は速やかに行っていただきたいと思います。





バリウムと胃カメラの比較5 (胃の外からの圧迫 編)

2008年08月14日 | 胃X線と内視鏡の比較
今日は、胃外性圧迫について触れていきます。
胃外性圧迫というのは、胃の周辺臓器などに病変があった場合、その病変が胃を押すというものです。
バリウムの検査は、胃全体を客観的に診ることのできる検査であります。偶然といったらご幣があるかもしれませんが、バリウム検査で胃以外の病変を指摘できることも稀にあります。バリウム検査後、CT検査などを行って、肝臓などの膿胞を発見できたケースがあります。
一方、胃カメラでは、胃内の粘膜を診ることには非常に長けております。しかし、胃の外にある周辺臓器の病変を指摘するのは困難であります。実際に、バリウムでは異常を指摘されているのにも関わらず、胃カメラでは異常なしとなるケースもわずかに存在しております。
ここでのポイントです。前回同様の結論に達しますが、バリウムと胃カメラは互いに長所もあれば短所もあります。これ自体は仕方のないことだと思います。互いを補うためにも、やはり両方なくてはならない検査であると感じます。

バリウムと胃カメラの比較4 (スキルス胃がん編)

2008年08月13日 | 胃X線と内視鏡の比較
今日は、スキルス胃がんを対象にそれぞれの検査法について比較検討します。スキルス胃がんは、胃がんの中でもっとも予後不良であり、なおかつ発見困難であるがんです。
このがんの早期発見のポイントは専門的にいうと、「胃底腺領域に発生する潰瘍を伴わない2cm以下の未分化型がん」です。
バリウムや胃カメラの進歩によって、以前に比べてこういったがんを発見できるようになりました。しかしながら、依然として早期発見されない場合があります。
バリウム検査では胃を風船のように膨らませ、胃全体像をわかりやすく撮影することができます。この検査は病変があった場合、その病変全体の硬さを診やすい強みを持っております。しばしば臨床では、硬さ全体をみるバリウム検査のほうが、スキルス胃がんを早期に発見しているという事実があります。もちろん胃カメラで早期発見している場合もあります。
ここでの私なりの考えを述べます。毎年、カメラばかりをすることや、バリウムばかり受けるなど…片方に偏った検診は危険なような気がします。たまにはバリウム、またはカメラを受けるなど、交互に受けたほうが良い気がします。

バリウムと胃カメラの比較3 (上手な受け方 編)

2008年08月12日 | 胃X線と内視鏡の比較
こんばんは。
今日は胃X線と胃内視鏡の上手な受け方について触れます。
まず胃カメラを受けたほうが良い例を挙げます。
①胃が痛むなど、すでに自覚症状のある人
②以前に潰瘍やポリープなど病変があると指摘された人 
③ピロリ菌を持っている人などです。
①については、直に粘膜を見ることのできる胃カメラが良いと思います。胃カメラは生検といって、粘膜の組織を採取することができ、その組織を顕微鏡で見ることで、良性悪性の診断が行えます。バリウム検査で、異常を発見しても、結局はがんであるかどうかの判別は、生検結果に委ねることになります。つまり結局はカメラを受けなければならないため、自覚症状がある場合には、最初からカメラを受けたほうが良いでしょう。
②についてもほぼ同じ理由です。経過観察を見るため、カメラが有効です。生検ができますから。
③について、ピロリ菌に感染していると、胃がんになりやすいということがわかっております。リスクの高い人はカメラを選択されたほうが良いでしょう。
ここでバリウム検査の良さについて触れておきます。良いところはどこでしょう。ずばり検査時間の短さだと思います。発見能力は残念ながらカメラに一歩譲ってしまいますが…。
私どもの検診施設では、一日のバリウム検査、多いときには50名を越えます。一人約5分で撮影しております。はたしてこの人数を、カメラでこなせるでしょうか。カメラは倍以上、検査時間を必要とします。極端な話、現在のバリウム検査を廃止した場合、すべての人にカメラを施行することになるわけですが、時間的制約から全員への内視鏡検査は厳しいと思います。仮に行えても検査の質の低下は免れないような気がします。
バリウム検査に適している人は、自覚症状のない人や、今まで特に病変を指摘されていない人だと思います。明らかに健常な人を初めっからカメラをするのも、受ける側から考えた場合、しんどい気もします…。
受ける方の症状によって、バリウム検査と胃カメラを使い分ける、お互いの長所を生かしながらの検査を積極的に行っていきたいものです。

バリウムと胃カメラの比較2 (苦痛 編)

2008年08月12日 | 胃X線と内視鏡の比較
私は、過去バリウムを4回くらい飲んだことがあります。
昨年には、胃が痛かった時期もありまして、初めて胃カメラを体験しました。
さて、飲むのはどちらが楽なのでしょうか?私はバリウムのほうが楽でした。カメラの管を飲むのは正直しんどいです。
検査する側として考えた場合、自覚症状があれば話しは別ですが、ない場合はバリウム検査で対応したいですね。カメラを受けて、そう感じました。
今日も胃X線のレベルが上がるように頑張ります。

バリウムと胃カメラの比較 (早期胃がん 編)

2008年08月11日 | 胃X線と内視鏡の比較
今週からは、内視鏡検査(胃カメラ)を意識したときに感じることについて触れようと思います。
ずばり、X線検査と内視鏡は、どちらが良いのでしょうか?
単純に小さながんを見つけるなら、直接、胃の粘膜を見ることのできる内視鏡が優れると思います。
けれど、立場上もありますが言わせてもらうと、私はX線検査も負けてはいないと思います。検査中の胃内のバリウムの流れをしっかり見ることや、小さながんの形を熟知していれば、内視鏡的治療可能な早期胃がんを、X線でも見つけれると思います。
しかし残念ながら、影絵であるX線検査で早期胃がんを発見するのは、熟練してこないと難しいようです。多くの医者は、治療可能な内視鏡に力を入れ、X線離れが広がっています。
今や胃X線の存続は、放射線技師の腕に掛っているといっても過言ではありません。最近思うに、撮影者の力量で早期胃がんの発見能にかなりの差があるように思います。
私だったら絶対に見つけてくれる人に検査をしてもらいたいです。その気持ちで日々腕を磨いていますが、皆さんはどうでしょうか?


定期的に受診しよう

2008年08月11日 | 胃X線を受診される方へ
胃がん検診に限ったことではないですが、毎年、定期的に検診を受けていただきたいと思います。去年受けて入れさえすれば、小さな段階でがんを発見できていたかもしれないのに…と思わせる症例を、現場ではときどき眼にします。
毎年受けられる方は、見つかっても早期の段階でとどまっていることが多いですね。

なぜ、今年もバリウム?

2008年08月09日 | 胃(全般)

こんばんは。

ブログ名を胃透視日記から、バリウム日記に変更しました。そのほうが一般の人は

わかりやすいと思いましたので。

さて今回も、集団検診で発見された早期の胃がんの話しです。

実は以前もX線検査で、異常を指摘されていたのにも関わらず、
今年度もX線検査を受けてにこられました。
過去と今回の写真を見比べると、少し病変が大きくなっていました。

精密検査である胃カメラを受けていなかったのが、原因であるようです。

集団検診で異状を指摘された場合には、その後きちんと胃カメラを受けて頂きたいと思います。
前に精密検査として胃カメラを飲んだら、異状なかった。だから今年は受けなくても良いという考えは危険です。


相手は「がん」です!!

きちんと検査を受けていただく、そして私たちはその受けられる方々のために、全力で異常を発見する。

その気持ちが大切だと思います。

ゲップについて

2008年08月08日 | 胃X線を受診される方へ
今日はゲップについて触れます。
胃X線検査では、胃を風船のように膨らませて撮影します。縮んだままだと、胃がしわしわになってるため、病変があっても見えにくいです。
なので検査中には、できるだけゲップを我慢して頂きたいです。

次は撮影手技について話します。寝台は水平のときよりも起きているときのほうが、ゲップが出やすいです。したがって、台を立てている時間は少なくするよう心掛けましょう。受ける人の苦痛を軽減させながら検査を進める、それがプロだと思います。

検査中はなぜ、台の上でグルグル廻らないといけないの?2

2008年08月07日 | 胃X線を受診される方へ
黄色い部分が、がんのおもな範囲です。がんは粘膜にできます。がんができると、その部分が、へっこんできたりします。へこんでくると、このようにバリウムがうっすらと溜まります。


さて、基本的には、グルグル廻るのが胃透視(胃X線検査)なのですが、年配の方々には苦痛のようです。思ったように身体を左右に動かすのが難しい人も多いようです。身体をあまり動かさないように撮影することは可能ですが、写真の質が低下してしまう恐れがあることを知っておいていただきたいと思います。


その点、胃内視鏡検査は、身体を動かす必要性がないため、動くのが難しい人は、胃カメラをお勧めします。


とは言っても、X線もカメラも苦痛を伴う検査だと感じます。実際に私は両方、経験しましたが。どっちかというと、私はバリウムのほうが楽でしたが。

いずれにしても、胃の検査はもっと楽にできないものかと毎日のように思いますね。

施設見学

2008年08月06日 | すきくぴの独り言
今日は、当センターに見学へこられた技師さん達の病院へ行って、もっとキレイに撮影できるコツなどを話してきました。
その病院の熱心さには感動しました。私自身もこの気持ちを忘れずに、また明日から検査にあたっていきたいと感じました。

検査後について

2008年08月05日 | 胃X線を受診される方へ
検査後、バリウムは糞便として体外へ排泄されるわけですが、中々排泄されずに困る方が多いようです。
特に高齢の方や、普段から便秘ぎみの人にその傾向が強いようです。
下剤を飲むことはもちろん大切なのですが、検査後は水分をたくさん採る、食べ物をしっかり採り、排便を促すことが大切です。今までの検査では、大丈夫でも油断せずに検査後のアフターケアーをしっかり行ってもらいたいと思います。
個人差はありますが、検査翌日、もしくはその次の日になっても、白い便が出ないようなら、すぐに近くの医療機関に相談したほうが良いと思います。