バリウム日記 がんの早期発見をめざして

医療に関する話題提供をはじめ、日々学んだことを配信できればと思います。

きちんと内視鏡検査を受けて 2

2008年08月30日 | 胃X線を受診される方へ
「今回のバリウム検査結果も要精密検査になってしまった。でも去年、カメラを受けたら異常なかった。だから今回のカメラはしなくていいや。」

こういった考えは危険です。

相手は、がんです。並大抵のものではありません。

一番大切なことは、定期的に検査を行うことです。繰り返し強調します!!


きちんと内視鏡検査を受けて!!

2008年08月30日 | 胃X線を受診される方へ
当センターの胃がん検診では、まずはじめに胃X線を行います。

そして、胃X線で異常を指摘された場合、内視鏡検査を勧めます。



ところで先日、大きな胃がんの症例に出会いました。
この方、実は5年ほど前にうちのバリウム検査をした結果、胃がんの疑いで内視鏡検査を勧められていた人でした。その期間は、うちのバリウム検査を受けにきておりません。

なぜ、こんなに進行したがんになってしまったのでしょうか?
その後の、内視鏡検査をきちんと受けにいったのでしょうか?




当センターの、胃X線検査で精密に勧められる方の割合(要精検率)はおよそ5~10%です。


そのうち内視鏡検査を受けるかたの割合(精検受診率)は約80~90%です。
要するにバリウムでひっかかったのにも関わらず、カメラを受けない人が10~20%いることになります。

この受けない方々のなかには、ごく少数は、胃がんになっている人は必ずいると思います。

現に今年になって、2例あります。確実にがんが成長しておりました!!



「カメラを飲んでください。」と勧められて方は、きちんと受けてください。


がん検診の受診率

2008年08月28日 | 胃(全般)
おはようです。

がん検診の受診率について話します。

調べたところ、平成17年度では、
胃がん(問診+胃X線検査)が12.4%。
肺がん(問診+胸部X線検査及び喀痰細胞診)が22.3%
大腸がん(問診および便潜血検査)が18.1%
子宮がんが(問診、細胞診など頸部の数)が18.9%
乳がんが(「視触診方式」と「視触診方式とマンモグラフィー」)を合わせた数が17.6%となっています。

これらはあまりにも低い受診率だと思います。皆さん、きちんと他の医療機関で受診されているのでしょうか。関心が低いあらわれではないでしょうか。

基本的には、子宮がんは20歳以上の女性からが対象で、あとの検診は40歳以上の方が対象となっています。

我々が検診に携わっていて感じること・・・。それは去年に受診していれば、がんは小さかったのに!!ということです。 年に1度は、検査を受けていただきたいと感じます。

胃勉強会を通して、教えることの難しさ

2008年08月26日 | すきくぴの独り言
今日は施設内で胃の勉強会を行いました。
数カ月前から始めています。なかなか教えるというのは難しいですね。頭でわかっていても、人に教えるときは一度、頭の中を整理しないといけません。けれどそれによって、自分も勉強になると思います。インプットばかりするのではなく、アウトプットする、人に教えていく!これが勉強の極意ではないでしょうか。

夏休み、旅行終わり 

2008年08月24日 | すきくぴの独り言
無事に家へ着くことができました。
角島方面に用があれば、また行ってみたいですね。
この写真は角島にある灯台です。角島に渡ってそのままメインの道を走り続けると、たどり着くことができます。
階段の段数は100段くらいと、けっこう高いです。灯台からの眺めは最高だと思います。機会があれば、角島へ行ってみてください。絶景でしたぁ。



バリウム検査で行う圧迫撮影について(筒で、肋骨のしたを押える方法)

2008年08月23日 | 胃(全般)
今、萩市にあるロイヤルインテリジェントホテルにきております。フロントの近くにはパソコンが3台あるのですが、そのパソコンで無料で、インターネットをしているところです。
さて、今日もひとつだけバリウムについて触れておこうと思います。

今回は立位の圧迫撮影(受診者の立場でいう、筒がでてきて、肋骨のしたを押えながら検査する方法)について考えてみようと思います。
今日では、高濃度バリウム製剤が開発され、撮影手技も一段と進歩し、微細な病変を数多く指摘できるようになりました・・・。しかし、人間ドックや集団検診から考えてみた場合、ずばり圧迫撮影は必要なのでしょうか?二重造影単独でも指摘は可能なのではないでしょうか?一時期、自分の中で、二重造影では指摘困難であるが、圧迫撮影なら指摘は容易である、という考えもありました。
しかし今では、勉強会の兼ね合いもあって、基本どおりの撮影を行うこと、二重造影の盲点を意識した撮影を心がげれば、圧迫撮影はなくても十分に可能であると思うのです。

とは言ったものの、各施設や各撮影者の方々の考え方はさまざまだと思います。他の皆さんは、どう思っていらっしゃるのかを聞いてみたいなと、最近感じます。
圧迫撮影はしんどかったというブログを見たため、今日はこのコメントにいたりました。拾い上げの立場から考えた場合、圧迫はいるのかなぁ。



次回も受けようかな。

2008年08月22日 | 早期胃がん発見 Point
胃検診で行われるバリウムは、受診者の方々に話しかけながら誘導していく検査です。
受けられる方々の個性はさまざまです。
ゆっくり話してもらいたい方、
大きな声で話してもらいたい方、
他にはゲップが出そうだから早く検査を終えてもらいたい方、
めまいやふらつきがあり、あまり動けそうにない方など
いろんな方がいます。

バリウムでは、右を向いたり左に向いたりと頻繁に身体を動かします。初めて検査を受ける方は、この左、右が中々スムースにいきません。普段よりもゆっくり丁寧に話すことがポイントではないでしょうか。

私は「少しくらい左や右を間違えても検査には支障ないですよ。」とよく声をかけます。こう言った言葉をかけると安心するのか、緊張感がほぐれるのか、スムースに動いてくれる方が多いです。
私たち撮影者が当たり前だと思っている検査、慣れてない受診者からしてみたら当たり前ではないかもしれませんよ。なんでこんな簡単なこともわからないのだろう、と思うのはナンセンスでしょう。

あと、あまり撮影ばかりに気を取られないで、受診者の健康状態をつねにうかがいながら検査を行っていきましょう。せっかくの検査なのだから我慢しなければ!と思って、つい体調の悪いのを我慢しながら受ける方もいると思います。「気分が悪いときは、遠慮せずに言ってくださいね。」という一言が受ける人を安心させると思います。




「バリウムはしんどいけど、この人になら次回も検査してもらいたい。」と思ってもらえるような撮影者になりたいですね。

高齢者の胃検診

2008年08月21日 | 胃(全般)
バリウム検査は、台の上で回る検査です。高齢の方は正直、身体を動かすことに苦戦しているようです。こちらとしても動きづらい様子を見ると、つらいですね。
動きの困難な方は、胃カメラをお勧めします。今は、鼻から入れるカメラも普及してきております。カメラのほうが楽だと思います。
自分のおじいちゃんやおばあちゃんが、バリウムを飲みにいく気なら、カメラを勧めてあげてください。
市の保健センターなどから検診のはがきが来ると思いますが、動くのが難しい方は、胃透視を避けられたほうが良いと思います。胃カメラのほうが絶対に、がんを捕まえることができます。

胃カメラは、すごい!!

2008年08月19日 | 胃X線と内視鏡の比較
久しぶりに写真を載せます。

胃カメラは、バリウム検査とは違い、直接、病変を見ることができます。
この症例、専門的にいえば、0‐Ⅱc, sig ,早期の胃がんです。
実はこの症例、先に人間ドックのバリウム検査を行っております。バリウム検査で要精密された方の胃カメラ写真なのです。バリウムでも早期の胃がんは捕まえれますよー。


でも胃カメラは、色調で病変のあるなしを判断することができます。しかも、色素散布といって、病変にスプレーを撒くようなことができます。

撒いた写真が下の写真です。より明瞭に病変の凹凸がわかります。胃カメラはすごいです。

ピロリ菌、胃を悪さする

2008年08月19日 | 予防 胃がん 
ヘリコバクター・ピロリ菌。この菌は胃の粘膜を脅かす存在です。感染すると、胃の粘膜が炎症をきたし、いわゆる胃炎になってしまいます。
ピロリ菌は胃潰瘍や十二指腸潰瘍の原因のひとつです。
またピロリ菌は、胃がんの発生にも関与しているようです。
現在の食生活などは、戦後とは違い、衛生面的に改善されてきております。そのため、今の若い人たちはほとんどピロリ菌に感染しておりません。年齢ではおよそ50歳台以上の人に、感染者が多いようです。
一度、ピロリ菌に感染しているかどうかを診てもらい、感染しているようなら今後のためにも除菌されたほうが良いかもしれません。

胃がん検診、2年に一回ではダメ!

2008年08月18日 | 胃X線を受診される方へ
今日は残念ながら、進行した状態の胃がんが発見されました。
前回の受診歴は2年前でした。去年に受診されていたら、早期の段階でがんを発見できたかもしれません。
胃がんにはさまざまなパターンがあります。粘膜の下を張って進行するスキルス胃がんや、粘膜の高範囲に存在しても早期で留まっている胃がんなど、いろんなケースがあります。
今回の方は、急に大きくなるパターンの胃がんだったのかもしれません。2年前の写真では指摘不可能でした。
がんは、自覚症状のないことが多いです。健康であっても必ず毎年、検査を受けましょう。

がん検診の意味

2008年08月18日 | 胃X線を受診される方へ
先日、がん検診の受診率を50%に引き上げる!と 政府の発表がありましたが、現在の受診率はどれくらいなのでしょうか。
県によっても様々なようですが、およそ10%くらいではないでしょうか。
がん検診は、検診センターをはじめとして、最寄りのクリニックでも行えるとこがあります。
1番大切なのは、検診を年に1回きちんと受けていただくことではないでしょうか。

お盆休み終わり。

2008年08月17日 | すきくぴの独り言
長いような短いような、お盆休みが終わりそうです。
また明日から検査業務ですね。私はおもに胃がん検診と肺がん検診に従事してます。



胃がん検診は、病変を発見したときにはその病変に対して追加撮影を行います。
二重造影の第1法、2法。あと側面像、そして圧迫法。この4つをおもに撮影します。時間的に余裕があれば、空気の多量と少量の写真も撮影して、より詳細に病変を検討したいですね。




ルーチン撮影(集団検診)で、このような追加撮影を行っている施設、または撮影者はどれだけいるのでしょうか?




がん手術の進歩、抗がん剤の進歩、それぞれあると思いますが、やはり一番進歩、進化しなければならないのは、検診施設が小さな病変、特にがんを見つけることだと思いますね。バリウム検査でいえば、透視観察です。早期の胃がんでもっとも多い0‐Ⅱcは、うっすらとバリウムが溜まる!!つねにこれをイメージして検査を行うこと!!そしてたくさんの0‐Ⅱc写真を見ること!!
今日は、明日からの業務の確認みたいな内容になってしまいました。ようし、明日からも頑張るぞ!!



明日、受けにきていただける方々、よろしくお願いします。


ポリープとがん

2008年08月17日 | 胃X線を受診される方へ
今日はポリープについて検討します。
ポリープには胃底腺ポリープ(fundic gland polyp)と過形成性ポリープ(hyper plastic polyp)があります。
胃底腺ポリープは、胃粘膜の委縮がない、年齢でいえば比較的若年の方に多いです。胃がんのリスクであるピロリ菌に感染していない胃の人に多いです。
一方、過形成性ポリープは、胃の粘膜が荒れている方に多く発生します。一般的に年齢が進むにつれて、胃の粘膜は委縮していきます。高齢の方のほうが過形成性ポリープができやすいです。

さて、ポリープは命を落とす危険なものなのでしょうか?


実際には危険ではありません。なので検診で発見されたとしても、すぐに手術というわけではありません。
定期的に経過観察はしますが、まず命には別状はないため、見つかっても安心して良いと思います。ポリープは良性です。ある程度のところで増殖が落ち着くといってよいでしょう。


がんは無限に増殖していきます。がん検診を定期的に受けていただきたいですね。




集団検診、バリウム検査からみた病変その1(潰瘍傷あと編)

2008年08月16日 | 胃X線を受診される方へ
平日は業務の支障にならない程度に、要精密となった方々の内視鏡検査結果を集計したりしております。1次検査であるバリウムで、確実にその病変をとらえていたかを知りたいからです。
集計した結果、もっとも多いのは胃潰瘍瘢痕や十二指腸潰瘍瘢痕です。瘢痕(はんこん)とは、わかりやすく言えば潰瘍した後の傷あとのことです。
以前に潰瘍ができた方は、基本的には胃カメラがお勧めですね。
検診施設的には、バリウム検査後、結局は、胃カメラを勧めることになりますので。胃カメラで定期的に傷あとを診てもらったほうが良いと思います。